伝説の商人たち ～エルフの商人レイオン～

五つ目の商店

２７

～森の入り口～


エルフの魔法兵が待機する森の入り口に、マルゲリータ率いる第１騎士団とすれ違うように馬車を走らせてきた、ハロルドたちが到着したようだ。
そのすぐ後を追うように追ってきたベローチと、ムーンフェスト騎士団長率いる第１２騎士団も馬車が止まるのと同時に、馬車に追いついていた。


騎士団員が馬車に駆け寄るより早く、ハロルドは証拠の品を持ち馬車から飛び出し、エルフの魔法兵に声をかける。


『リリアスさん、レイオンです。
　約束通り、証拠の品を見つけてきました。』



エルフの言葉を巧みに使い、エルフの魔法兵に声をかけたハロルドに、魔法兵たちは少し怪訝そうな表情を見せるが、すぐに理解したのか笑顔で駆け寄ってきた。


『レイオンなのか、この１０年ですっかり老けてしまったな。』
『人間は不便だな、そんなに老けてしまって。』
『だけど、よく見ればレイオンだよな。』

エルフたちは、嬉しそうにハロルドに声をかけてくる。


『みなさん、お久しぶりです。
　リリアスさんは何処に？』


ベローチと第１２騎士団は、エルフの言葉でエルフの魔法兵と話をしているハロルドを馬車の付近から見守っていた。
そんな中、ハロルドとエルフの魔法兵は、話を続ける。


『リリアス大隊長は、先ほど報告の為、国に戻ったぞ。
　我々は、レイオンが来るかもしれないからと大隊長に言われてココに待機を命じられていたんだ。』

『そうなんですね。
　あの、ドワルゴ商店のルルジアさんは・・・？』


『さっきの女か。
　あいつなら、いま森の中で拘束しているところだ。』

『そうなんですね。
　証拠の品を持ってきたので、解放してもらえませんか。』


そう言って、ハロルドは証拠の品をエルフの魔法兵に手渡す。
そして、証拠の品の説明を始めた。


『この仕入れ先と配給元なんですけど・・・。』


ハロルドは、それぞれの月の月間請負依頼表と年間作業計画書の木材使用量、それとドワルゴ商店の台帳にある、木材の購入数について説明を始めた。
ハロルドの説明によれば、作業に使う木材と正規ルートで購入した木材の数に相違がない点などを説明だった。

『以上のことから、余分に木材を伐採する必要がなかったことが言えると思います。』


ハロルドの説明に、エルフが質問をする。

『しかし、さきほど後ろの男が説明した二重台帳の話だと・・・。』

エルフは、ベローチが説明したルルジアが犯人の一人であるという説明をハロルドにも伝えた。
すると、ハロルドは笑いながら答える。