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一章 ヒールが否定されるだけの簡単な世界

戦争という選択肢

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「ようこそ、革命軍レジスタンスへ」

と言われたもののどうすればいいかわからず話を聞いて見ることにした。

「私たちは心がない」

いきなりどうしたのだろうか

「魔法というのは心が魔法の威力と内容にに大きく依存する、元々はこの革命軍レジスタンスの人々も魔法使いの集まりでな、牢屋に入れられた際心を失ったんだろうな」

「正確には廃人アンデッドというものだよ!そうなってしまうと感情はあっても心というものがなくなってしまうんだ」

「心がなくなってしまうと魔法が使えなくなるんだよ!」

「だからこの軍の多くは魔法に頼らない剣術などそういったものに頼るものが多い」

なるほど、心=感情と思っていたのだがどうやら別と捉えていいらしい。

「だが最近君のように魔法を使えるものが多くやって来たんだ、そういった者達をこの軍に引き入れているんだ」

多くやって来る?自分のように転生してやって来るということだろうか。

だがそのことよりももっと気になる点がある。

「どうして魔法を使える者をこの軍へ?」

「それはだな…」

空気が重くなるような気がした

「戦争を起こすからだ」

予想外の回答に少々驚いてしまった、重い空気が軽くなった。

「どうして戦争を?」

「心水晶を取り返す」

「し…ん…水晶?」

「ああそうだ。廃人になった俺たちだが心はまだ浮遊している、そういった物をあの王国「バーメル」は集めている」

どうやら失った心は消失せずに世界に浮遊するらしい、それを王国の魔法使いは水晶として固体化し、集めているらしい

「その心水晶を集めるのに何の意味が?」

「魔王軍の無条件降伏」

「はい?」

「いいか、この王国軍と魔王軍の力は互角でな、両者ともに軍が少なくなっていてな、一時期休戦中なんだ」

両者互角とは珍しいこともあるものだ、よくあるものなら片方が押している状況なのだが

「その間に王国一級魔法使いを除くヒールを使える魔法使いを牢屋に閉じ込めることで廃人化させ、心水晶を集めることでヒールの威力を高める」

「威力を高めるってどうやって?」

「心水晶と自身の同化だ」

またまた訳のわからないことが出て来た

「王国の魔法使いは研究熱心でな、その浮遊した心を自身の心に追加してしまう魔法を作ってしまったんだよ」

「すごい話だよねー、私だったらもっと面白い魔法作ったのになー」

「お前は少し黙っていろ!」

「…2人とも見回りいってこい」

渋々うるさい男女はドアを開けて外へ行く

「…話を続けるぞ」

「先程も言ったが魔法というのは心が魔法の威力と内容にに大きく依存する、よってその心水晶と同化することで魔法の威力を高めることができる」

「でもヒールなんかの威力を高めても意味はないのでは?」

「強いヒールは凄いぞ~?」

そのまま軽い口調で続ける

「どうやら周りを巻き込みたくなるぐらい死にたくなるらしい」

今の言い方からして想像できない問題だった

「だからそれを魔王軍の一部を除き全体に使うことで勝手に内戦が起こる、だから戦力差で勝てるんだよ」

あまりにも非道な話だここの王様は真の意味で心がないのではないだろうか

「そもそもこの戦争が間違っているんだ!理由は領地の拡大を争うだけだぞ?そんなことでこんな争いをするなんて!!」

「……」

「すまない、取り乱してしまった。だが今言ったことは本当だ、じゃあ次は少し考えてもらおうか、片方が戦争に勝利して領地を得たらどうなると思う?」

「えーっと…」

この戦争の目的は領地ということは、考えられるのは資源の獲得だ、だがその資源もいつかは枯渇してしまう。

よって…

「その勝利した軍が敗北した軍の領地を奪ってしまう?」

「おぉ、正解だ」

あっていたらしい

ちなみに今考えていた資源の話をするとそれも正解だったらしい、今後何か悪いことが起こらなければいいが


「つまりその戦争を防ぐために活動するという訳ですか」

「そうだ」

「わかりました、そういったことなら私も協力させてもらいます」

この軍に入ることを決意した、何故なら戦争を防ぎたい、というのもあるのだが、今の今までちゃんとしたところで眠れていない。

落ち着いた場所が欲しかったのかもしれない

「ありがとう、じゃあ早速なのだが」

「はい、何すればいいでしょう」

「戦争を起こすぞ」

矛盾した話だった




















__________


「一応聞くのですが」

「なんだ?なんでも聞け」

「戦争の目的は?」

「国同士の戦争を防ぐというのもあるが一番の理由は…」

「理由は?」

「心を取り返す」

なんとなくわかっていたことだった

「人の心を奪ってまで戦争に勝とうという神経が許せん!まずはバーメルからぶっ潰してやる…」

「は、ははは…」

内容はこうだ。

バーメルをぶっ潰すために魔王軍に協力

バーメルがなくなったら次は魔王軍をぶっ潰す

落ち着いたところで心水晶を取り返す


「…といったところだ、お互い頑張ろう」

「あのー、心水晶はもう同化してるのでしょうか」

「ああしている、あとは軍を集めるだけらしい」

「同化したならもう取り返せないのでは?」

「ふっふっふ」

「?」

「監禁するんだ」

やられたことと同じことをする訳らしい、このバーメルはとても怖い国らしい

「だが1年も2年も待っていられないからとあることをする、こい!ブルーム!」

「ん?今行くよ」

なにやらとても動きが遅いようだ、マイペースな性格なのだろうか

「このブルームというやつはとても優秀でな、時魔術師というものなんだよ」

「はぁ」

「その魔法の範囲を牢屋内にすることで牢屋内の時間だけ早く進む、よって早く廃人アンデッド化する訳だよ」

「僕頑張るよ」

「は、はぁ」

「他にも優秀な人たちはいるんだがそれは任務を行なっている最中にでも挨拶しておいてくれ」

「わかりました」

「じゃあまずは戦闘練習だ」

「え?」

「ついてこい!ブルーム!マサ!」

こんな状況で大丈夫なのだろうか?




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