不憫な推しキャラを救おうとしただけなのに【幼児ブロマンス期→BL期 成長物語】

はぴねこ

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周遊編

125 ナタリアの誕生日 02

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「其方は本当に其方の従者とナタリアが好意を寄せ合う仲だと思っているのだな」

 オーロ皇帝が呆れたようにため息をついた。

 この反応はオーロ皇帝としてはナタリアの相手がカルロでは不服ということだろうか?
 舅的な立場のオーロ皇帝に歓迎されていない状況というのはカルロにとってよくない。
 もしかして、ゲームでカルロの攻略が難しかったのはナタリア側のこうした裏事情があったからではないだろうか?

「カルロは王子という地位ではありませんが、エトワール王国の侯爵家を継ぐ者ですし、魔力量も多く、魔法の才能も高くて優良物件です! もしも、侯爵家では不服ということでしたら、私の弟として現王の養子にしてもらえるように働きかけてみますので時間をください!」

 私の力説にオーロ皇帝は「そうではない。落ち着け」と言った。

「其方は根本から間違えている」
「何がでしょうか?」
「ナタリアが好きなのは……」

 そこまで言って、ぐっとオーロ皇帝は言葉を飲み込んだ。

「ナタリア様が好きなのはカルロなのはちゃんとわかっていますよ?」
「それは誤解だ! ナタリア本人が言うべきことだからこれ以上のことは言わぬが、其方は誤解をしている! それだけは伝えておくぞ!」

 あんなに仲が良さそうな二人を見ていて、なぜ誤解などと言うのだろうか?
 私はオーロ皇帝が本当は何が言いたいのかを考えた。
 そして、ハッと気づく。

「ナタリア様に思い人がいるなど、祖父としてまだ認めることができないのですね!」

 そうか、なるほど。
 それは納得だ!
 しかし、これからナタリアはモテモテになるのだ。
 オーロ皇帝には心構えが必要だろう。

 祖父心に納得した私は、何やらものすごく渋い顔になっているオーロ皇帝に言った。

「今回は王子という立場の私が、カルロの代わりにナタリア様のパートナーを務めましょう」

 私であればよくて友達枠で、想い合う二人が並んでいるところを見るという衝撃は薄れることだろう。

「まぁ、今はそれで良い……」

 やけに疲れたような表情でオーロ皇帝はそうため息をついた。
 どうやら、本当に仕事が忙しいようだ。

「ナタリア様の誕生日への出席はカルロ同行でも構いませんか?」

 なぜか再びオーロ皇帝から呆れたような視線を向けられた。

「それは構わん。なんなら、エラーレの王子や元ティニ公国の公爵家の子息を連れてきてもいいぞ」
「あ、それは大丈夫です」

 ナタリアとカルロの交流を深めるのに他の攻略対象を連れて来ては邪魔にしかならないだろう。
 二人にナタリアを会わせて二人がナタリアを好きになっても困るし、ナタリアがどちらかを好きになっても困るのだ。
 しかし、そうなるとフェリックスとライオス、そしてヘンリックの未来の想い人を奪うことになる……
 三人にもいい相手ができるといいのだが……

「お誕生日パーティーにはルシエンテ帝国の貴族の子息や令嬢が参加するのでしょうか?」
「そうだな」

 それならば、フェリックスやライオス、ヘンリックの相手探しもできるかもしれない。
 そうだ。三人がナタリアに会う前に婚約者を用意してしまえばいいのだ!
 今度、元ティニ公国やエラーレ王国の令嬢たちと他の攻略対象が出会う機会を作ることができないか考えてみよう。

 しかし、ティニ公国がなくなってしまったのは前公爵のせいだ。
 ライオスは悪くないが親族という意味であまりよくは思われていないかもしれない。
 ライオスの相手は他国の者の方がいいかもしれない。

「衣装はこちらで用意する。準備に時間がかかるだろうからパーティー前日に来てこちらで一泊するように」

 オーロ皇帝の言葉に了承を返して、仕事の邪魔にならないように、私は魔塔主と共に早々にオーロ皇帝の執務室を後にした。



 私はフェリックスとハンナにオーロ皇帝がエラーレ王国に視察に来た際にグライダーの研究成果を発表し、オーロ皇帝の興味を引くことができれば支援してくれるということを伝えた。
 翌日からフェリックスは研究に勤しみ、ハンナと私は研究のフォローにあたった。

 オーロ皇帝には現状を知らせたため、たとえエラーレ王国がオルニスに侵攻しても私の行動のせいでエトワール王国が誤解されることはないだろう。
 そう判断した私はフェリックスの研究のフォローのために、フェリックスが住まうエラーレ王国の城の離宮に足を踏み入れた。

 フェリックスが住まう城の離宮は本宮からかなり離れていた。
 そのため、正門から入るよりも西門から入った方が近いのだと私たちはフェリックスに連れられて西門へと来たが、そちらにいた門番は老兵だった。
 椅子に座って見張りをしているのか居眠りをしているのかよくわからない様子の門番は「坊ちゃん、おかえりなさい」と椅子から立ち上がることもせずに言った。
 しかも、老兵は我々の身元を確認することもなく、王子の友人ということでそのまま城の中に通してしまった。

「フェリックス様、あの者が見張りで大丈夫なのでしょうか?」
「じぃは襲撃があった際にとりあえず鐘を鳴らせばいいだけだから大丈夫だ」

 私の質問にフェリックスは軽く笑ったけれど、それはつまり、西門に一番近いフェリックスが住まう離宮は最初から切り捨てられる予定だということではないだろうか?

 ゲームで魔法学園を留年していただけあって、フェリックスは要領が悪かった。
 グライダーの研究を行っていた部屋の中には資料が散乱し、図面はあるものの、これまでの試行錯誤を文章化したものはなかったし、フェリックス自身、過去に自分が試行錯誤してきた箇所についての記憶が明白ではなく、オーロ皇帝に発表するための資料作りは難しそうだった。

 ただ、何度も書き直された図面はしっかりしているので、おそらく文章にするのが恐ろしく苦手なだけで、数字には強そうだった。

 ちなみに、グライダーという言葉はこの世界にはないし、おそらくグライダーを作っているのもフェリックスだけだと思うのだが、フェリックスは自作のグライダーを「空飛ぶくん」と呼んでいた……
 オーロ皇帝に発表する際に「空飛ぶくん」と呼ぶのもなんだか妙な感じがしたので、フェリックスに他の名前を考えてみないかと聞いたのだが、「なんで?」と純粋な眼差しを向けられてしまった。
 皇帝に発表するものの名前として不適切とも言えずに、私は名前の変更を提案することを諦めた。

 そうこうしている間にナタリアの誕生日パーティーの前日となった。








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