【完結・続編別立】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ

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「【迷宮創造者の神の宝玉】使用!」

 冒険者ギルドを退職して、これまで貯めていたコインにものを言わせて島をひとつ購入した。
 島は佐渡島くらいの大きさで、無人なために人工物はなく、自然豊かで、魔物も豊富な島だ。
 その島の中心地にダンジョンを作った。

 神の宝玉とは職業の根本的能力を出現させてくれる特別な石のことで、美しい球体の石だ。
 神の宝玉を使用して迷宮創造者の能力を手に入れた俺は早速、能力を使ってダンジョンを作る。

「まず入口は遺跡っぽい感じにしたいから、遺跡っぽい建物を建てて……って、これ、迷宮創造者の能力だけじゃ建物は建てられないのか!」

 ということは、【大工の神の宝玉】を手に入れるためにさらなるコインが必要! と、素人ならなるだろうが、俺はこのゲームをやり込んでいるし、プレイヤーの人たちの視点を知るために全てとは言わないけど、結構色んな職業を体験済みなのだ!
 その中に大工も含まれているし、いずれはダンジョンを作ってみたいと思っていたから、迷宮創造者に必要な能力は前もって調べて大抵手に入れている!

 あ、ここで誤解してほしくないのだが、俺は『異世界 アルカディア』の制作会社の社員である特権で制作チームから情報をもらうなんてズルは決してしていない!
 あくまでもプレイヤーの一人として、コツコツ地道にやってきたのだ!

 まぁ、社長の秘書という仕事柄、前もって大規模イベントがいつあるかとかは知っていたから、その日に社長に会食が入らないようにとかスケジュール調整をして、早めに家に帰ってイベントに備えていたりはしたけれど……

 その辺のズルは許してほしい!
 社長にスケジュールが入ったら、大規模イベントに参加できないし、そうすると大規模イベントで得られる報酬が手に入らずに成長が遅れるのだ!

 『異世界 アルカディア』の制作会社の一員として、プレイヤーの皆さんと一緒に『異世界 アルカディア』を開拓し、不備があれば真っ先に気づき、運営に報告したいのに、それができなくなってしまう!
 ということで、私は現実世界のスケジュール調整というズルでゲーム内のイベントだけは欠かさずに参加した。

 もちろん、時間のある時にはできるだけログインしてクエストをこなしてきたけれど、多忙な社長の秘書も当然多忙なわけで、毎日のようにログインすることは難しかった。

 だがしかし、ひたすらにコツコツとゲームを進めて来た俺は、なんとか初期から精力的にゲームを楽しんでくれているプレイヤーの皆さんに振り落とされることなく、成長できていると思う。

 ……いや、実際には攻略上位5%のプレイヤーはプロゲイマーなのか、このゲーム以外にしていないのかな? というくらいのスピードで攻略を進め、成長しているので、振り切られてはいるのだが。
 しかし、その後に続く上位10%のプレイヤーの末席にはなんとかしがみついているので許してほしい。

 とにかく、迷宮創造者に必要な能力はなんとか揃えている俺はダンジョンを張り切って作っていく!
 まずは入り口となる遺跡を建設!
 その次は一階層を作るわけだが、一階層はよくあるレンガ作りダンジョンにする。

 そうして、二階層目、三階層目と順調にダンジョンを作り始めたのだが……いや、全然順調じゃなかった!

「素材が足りねーよ!!!」

 当然だが、何かを作成するためには能力だけでなく素材が必要だった。
 しかも、ダンジョンなんていう大掛かりなものを作ろうとしているのだから、その素材は種類も量もとても多い。

 結局のところ、ダンジョン作りにだけ集中するというわけにもいかずに、俺は素材採集のための冒険に繰り出すことになった。



「ナオキじゃないか!」
「ナオキ! 久しぶりだな!」
「元気にしてたか?」

 ナオキというのは俺のプレイヤーネームだ。
 このゲームを始めた当時に見ていたアニメのキャラクターの名前だ。

 ダンジョン用の素材採取のついでに何か手頃な依頼でも受けようと冒険者ギルドに行き、その扉をくぐるとすぐに冒険者たちや受付にいた元同僚からそうした声がかかった。
 冒険者ギルドでしばらく受付として働いていたために多くの冒険者が俺の顔を覚えてくれていたようだ。
 それはプレイヤーもNPCもどちらもだ。

 ちなみに、ここは始まりの街の冒険者ギルドだ。
 全てのプレイヤーが一番最初にゲームを始めることになる街だ。
 生産特化したプレイヤーはこの街に集まっていることが多い。
 最初の街であるために、冒険者ギルドのNPCや商業ギルドのNPCなどが非常に親切だと評判だ。

 逆に攻略を進めて他の街や国へと進むと、徐々に街や国の特色というかクセのようなものが強く出てきて、コミュニケーションが取りにくいNPCなんかも出てくる。

 俺は顔見知りのプレイヤーやNPCに挨拶を返しながら依頼が張り出された掲示板へと向かう。

「ナオキさん、依頼を受けるんですか!?」
「うん。ちょっと素材採取がしたいから、ついでに依頼も受けようかなって」

 そうすれば、素材も手に入り、同時に報酬も手に入るからだ。

「ダンジョンに行くなら俺も一緒に行きたいです!」
「俺も!」
「僕も行きたい!」
「私も連れていってください!」

 一緒に行きたいというプレイヤーがわらわらと寄ってきた。
 俺と一緒に行ったら攻略が楽だと思っているのだろう。
 俺はソロで活動している割にはランクはAで、さらに元ギルド職員だから親切さには定評がある。

 俺は一枚の依頼書を手にして一緒にダンジョンへ行きたいというプレイヤーたちに見せた。

「虚空のダンジョンに行けて、50層に入れる人ならいいですよ」

 俺の言葉を聞いた彼らは顔色を変えた。

「虚空のダンジョン……」
「俺、まだ7層……」
「僕はそもそも国に行けない」
「私も……」

 周囲がしゅんと肩を落とす。
 虚空のダンジョンはこの国から海を渡った国にあるダンジョンだ。
 転移魔法や転移スキルがないと行くのさえも難しいのだ。

 さらに、ダンジョンレベルも今のところは最高レベルのため、ダンジョンに入れるプレイヤーでも下層まで突破できるプレイヤーはなかなかいない。

「ナオキ、一人で行くつもりか?」
「実力者でも虚空のダンジョンの50層は危ないわ!」
「俺たちも一緒に行ってやるよ」

 SSS級パーティーのレッドバードが声をかけてきた。
 彼らの姿に周囲が再びざわつく。

「アレクたちも始まりの街に来ていたんだな」

 アレクはレッドバードのリーダーだ。

「ナオキが久しぶりにログインしてたから、ナオキに会おうと思って冒険者ギルドに来たのに、冒険者ギルドを辞めていて驚いたんだからな?」
「ごめん」
「それで、どんな依頼を受けるの?」

 俺は依頼書をレッドバードのシーフ、ミルルに渡す。
 レッドバードのメンバーはミルルが持つ依頼書を覗き込んだ。

「不死鳥の羽を十枚……蘇生薬でも作るのかしら?」
「古くなって落ちたものでもいいなら、とりあえず50階層まで行ければなんとかなるかな」

 俺は同行してくれるというレッドバードと一緒に虚空のダンジョンへと向かった。
 俺は転移スキルを取得済みだし、レッドバードはメンバーに魔法使いがいる。

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