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最悪なコンプリート
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とても小さな古い2階建のアパートだった。1階の玄関入ってすぐ台所。人がすれ違えないような狭い台所を過ぎると6畳部屋が2部屋。手前の部屋は布団が敷いてあった。奥の部屋にはテレビや机、大きな窓があり、窓の外は小さなベランダだった。洗濯竿が置いてあった。これからここで暮らすらしい。
父と母は私が産まれてすぐ離婚し、最近再婚したらしい。離婚後すぐ私は父の実家に預けられ、私をお仕置き部屋へ閉じ込めるあの女は、父の妹だった。彼女はまだ22歳だったのに、いきなり兄の子どもを押し付けられたのなら、それは災難でしかない。髪を引っ張られたり、お尻を叩かれたのは、私が邪魔だったのだ。
夏から保育園へ途中入園し通い始めた。父と母をどう呼んでいいのか分からず、しばらくは話しかけなかった。ある日、母から
「お母さんと呼んでね」
と言われ、徐々に普通の家庭のように『お母さん』『お父さん』と呼べるようになった。
年長になった夏休み、父の実家に3人で行った。久しぶりに会う父の妹の顔を、この時認識したのを覚えている。あれが嘘なんじゃないかと思うぐらいにこやかで優しかった。そしてとても美人だった。
大人達が難しい話をしているので、1人で庭に出て遊んでいると
「よう」
とニヤニヤしながら近づいてくる従兄弟に声を掛けられた。その男の子は父の兄の息子。歳は私の6つ上だ。大きな敷地内にはもう一軒家があり、そこに一家で住んでいた。
「こっち来いよ」
と私を引っ張り、誰も見えないところで私の身体をベタベタ触る。私は何なのか分からず、ぎゅっと唇を噛み耐える。耳元で何か言われているけど気持ち悪くて早く逃げたかった。私は彼が大嫌いなので、とてもとても耐えられなかった。
「あ、お母さんが呼んでる!」
彼の手がスカートの裾から直接太ももに触れた時、私は嘘を付いて走って逃げた。大人達の元へ戻っても、何も言えなかった。彼だって同じ子どもなのに、何か変だと感じてた。
――こんな幼少期を私は過ごした。
犬の尻尾を掴んでお仕置き部屋へ閉じ込められる前の記憶は無い。きっと自分の知らない嫌な事がたくさんあっただろうけど、覚えてないから大丈夫。
父と母と3人で暮らしで私は小学生になった。
とても悍ましく私の記憶に一生残るであろう、そんな日が、8歳のある冬の日曜日だった。父も母も仕事で不在だったため、1人で近所の公園へソリ滑りに行くために、スキーウェアを着て赤いソリの紐を引っ張り出掛けた。
朝に降り積もった雪で道路は圧雪。朝、仕事に行く母から
「今日は雪が積もったけど、いい天気だから、公園でソリ滑りでもして遊んで来なさい。お昼ご飯は置いておくからちゃんと食べてね。」
と言われたのだ。
雪が積もっていたために、お気に入りのソリはとても軽く軽く引っ張れた。しばらく歩くと
「どこに行くの?」
と、大きなダンプのスコップで雪掻き中のおじさんに声を掛けられた。
「もみじ公園でソリ滑りするの」
私が答えると
「連れて行ってあげるよ」
と、にこやかに大きなダンプスコップに乗れと指を差した。私の返事を聞かずに
「ちょっと待っててね。家の鍵閉めてくるから。」
一度、自分の家へ戻ってすぐ帰って来た。
自分で歩くと断ったが、もみじ公園はもうすぐだし、こっちの方が速いからと半ば強引に乗せられた。自分のソリを両手に抱えて、落ちないように体育座りをした。そのお兄さんはとても太っていて、とても大きな体だったので結構なスピードで走ってくれた。ソリ滑りを楽しみにしていた私は道路でのスコップ滑りが楽しくてキャーキャーはしゃいだ。
公園の入り口に着くと、おじさんは喉が渇いたからお水飲もうねと、公園の向かいに建っている公民館の大きなガラス戸の前でポケットから鍵を取り出してガチャガチャ開けた。長靴を脱いで先に入ったおじさんから
「入って」
と言われて、暗くて寒い公民館の中は何だか怖かったので断ったが、おじさんは私のソリを持っていた。
「ソリ返して」
と長靴を脱いで中に入ると、私を抱き上げて台所まで運び蛇口を上向きにして水を飲ませた。水の勢いが強くて首をつたってウェアがビチャビチャに濡れた。
「あーあ。濡れちゃったね。乾かすからウェアを脱ごうね」
と強引にウェアを脱がされた。何だが嫌なことをされそうだと感じ私はおじさんに少し強めに
「ソリ滑りしたいから、このままもう公園行く」
と言ったら
「ダメだよ」
と私を抱っこして、入り口の大きなガラス戸が見えない奥へ連れて行かれた。動けない私の服脱がせ、身体を撫で回わし、気持ちの悪い舌で舐め回された。何をしてるのかさっぱり分からない私は、ただ気持ち悪くて目をぎゅっと瞑ってた。本当に長い時間舐めまわされた。巨体が覆い被さって小さな私は逃げれない。暫くして目を開けると、お兄さんが裸になっていた。
「僕のここも舐めて」
と自分の右手に持っているそれを私に見せてきた。そんなのイヤ!絶対にイヤ!帰りたい!お家に帰して!心で強く思ったが、私は震えている事に気付かれないように、涙が出そうなのを堪えて、なるべく可愛く小さな声で
「今おトイレ行きたいの」
お願いした。裸の私が逃げるなんて思ってもいない彼は
「いいよ、そのまま行っておいで」
と言いながら裸で歩く私を舐め回すように見ていた。
ゆっくり、なるべく不自然でないように台所でウェアを持ってトイレに行くふりをして、入り口近くまでゆっくり裸で歩いて玄関が見えたら思いっきり走った!
転ばないように裸で長靴を履き、ソリを持って外に出て電信柱の影でウェアを急いで着た。まだ泣かない!
中の下着や洋服は置いてきたけど、しょうがない。
彼は裸だったからすぐには追いかけて来ないだろうと考えた。ウェアは濡れていて冷たかったけど、寒さは感じなかった。
今思えば、その時に大人が通りかかっていたら、もしくは車が通りかかっていたら、泣きながら近所の家へ助けを求めていれば……。でも、あの日は誰も居なかったし、とても静かだった。そして一刻も早く家に帰りたかった。
近道を抜けて家に帰ったけど、もちろん家には誰も居なかった。すぐにお風呂で身体を洗った。ヌルヌルしてて気持ち悪くて大声で泣きながら洗った。
夕方、母が仕事から帰ってきて、今日の出来事を伝えようか迷っていると
「今日はカレーだよ」
といつもの笑顔で言われたので、何も言えなかった。服が無くなっている事に母は気付かなかった。
もし聞かれたら、全部話そうと思っていたけど、そのタイミングは結果としてやってこなかった。その頃から父の帰りは夜遅くなっていて、顔を合わせる事は全く無かった。
たまに登下校であの男が犬の散歩をしている。ニヤニヤしながら私を見るし、たまに両手を広げて
「おいで」
と言うけど、いつも逃げた。私が誰にも言っていないことを喜んでいたのだろう。
こんな幼少期だ。人間不信、大人不信、男不信コンプリート達成。
父と母は私が産まれてすぐ離婚し、最近再婚したらしい。離婚後すぐ私は父の実家に預けられ、私をお仕置き部屋へ閉じ込めるあの女は、父の妹だった。彼女はまだ22歳だったのに、いきなり兄の子どもを押し付けられたのなら、それは災難でしかない。髪を引っ張られたり、お尻を叩かれたのは、私が邪魔だったのだ。
夏から保育園へ途中入園し通い始めた。父と母をどう呼んでいいのか分からず、しばらくは話しかけなかった。ある日、母から
「お母さんと呼んでね」
と言われ、徐々に普通の家庭のように『お母さん』『お父さん』と呼べるようになった。
年長になった夏休み、父の実家に3人で行った。久しぶりに会う父の妹の顔を、この時認識したのを覚えている。あれが嘘なんじゃないかと思うぐらいにこやかで優しかった。そしてとても美人だった。
大人達が難しい話をしているので、1人で庭に出て遊んでいると
「よう」
とニヤニヤしながら近づいてくる従兄弟に声を掛けられた。その男の子は父の兄の息子。歳は私の6つ上だ。大きな敷地内にはもう一軒家があり、そこに一家で住んでいた。
「こっち来いよ」
と私を引っ張り、誰も見えないところで私の身体をベタベタ触る。私は何なのか分からず、ぎゅっと唇を噛み耐える。耳元で何か言われているけど気持ち悪くて早く逃げたかった。私は彼が大嫌いなので、とてもとても耐えられなかった。
「あ、お母さんが呼んでる!」
彼の手がスカートの裾から直接太ももに触れた時、私は嘘を付いて走って逃げた。大人達の元へ戻っても、何も言えなかった。彼だって同じ子どもなのに、何か変だと感じてた。
――こんな幼少期を私は過ごした。
犬の尻尾を掴んでお仕置き部屋へ閉じ込められる前の記憶は無い。きっと自分の知らない嫌な事がたくさんあっただろうけど、覚えてないから大丈夫。
父と母と3人で暮らしで私は小学生になった。
とても悍ましく私の記憶に一生残るであろう、そんな日が、8歳のある冬の日曜日だった。父も母も仕事で不在だったため、1人で近所の公園へソリ滑りに行くために、スキーウェアを着て赤いソリの紐を引っ張り出掛けた。
朝に降り積もった雪で道路は圧雪。朝、仕事に行く母から
「今日は雪が積もったけど、いい天気だから、公園でソリ滑りでもして遊んで来なさい。お昼ご飯は置いておくからちゃんと食べてね。」
と言われたのだ。
雪が積もっていたために、お気に入りのソリはとても軽く軽く引っ張れた。しばらく歩くと
「どこに行くの?」
と、大きなダンプのスコップで雪掻き中のおじさんに声を掛けられた。
「もみじ公園でソリ滑りするの」
私が答えると
「連れて行ってあげるよ」
と、にこやかに大きなダンプスコップに乗れと指を差した。私の返事を聞かずに
「ちょっと待っててね。家の鍵閉めてくるから。」
一度、自分の家へ戻ってすぐ帰って来た。
自分で歩くと断ったが、もみじ公園はもうすぐだし、こっちの方が速いからと半ば強引に乗せられた。自分のソリを両手に抱えて、落ちないように体育座りをした。そのお兄さんはとても太っていて、とても大きな体だったので結構なスピードで走ってくれた。ソリ滑りを楽しみにしていた私は道路でのスコップ滑りが楽しくてキャーキャーはしゃいだ。
公園の入り口に着くと、おじさんは喉が渇いたからお水飲もうねと、公園の向かいに建っている公民館の大きなガラス戸の前でポケットから鍵を取り出してガチャガチャ開けた。長靴を脱いで先に入ったおじさんから
「入って」
と言われて、暗くて寒い公民館の中は何だか怖かったので断ったが、おじさんは私のソリを持っていた。
「ソリ返して」
と長靴を脱いで中に入ると、私を抱き上げて台所まで運び蛇口を上向きにして水を飲ませた。水の勢いが強くて首をつたってウェアがビチャビチャに濡れた。
「あーあ。濡れちゃったね。乾かすからウェアを脱ごうね」
と強引にウェアを脱がされた。何だが嫌なことをされそうだと感じ私はおじさんに少し強めに
「ソリ滑りしたいから、このままもう公園行く」
と言ったら
「ダメだよ」
と私を抱っこして、入り口の大きなガラス戸が見えない奥へ連れて行かれた。動けない私の服脱がせ、身体を撫で回わし、気持ちの悪い舌で舐め回された。何をしてるのかさっぱり分からない私は、ただ気持ち悪くて目をぎゅっと瞑ってた。本当に長い時間舐めまわされた。巨体が覆い被さって小さな私は逃げれない。暫くして目を開けると、お兄さんが裸になっていた。
「僕のここも舐めて」
と自分の右手に持っているそれを私に見せてきた。そんなのイヤ!絶対にイヤ!帰りたい!お家に帰して!心で強く思ったが、私は震えている事に気付かれないように、涙が出そうなのを堪えて、なるべく可愛く小さな声で
「今おトイレ行きたいの」
お願いした。裸の私が逃げるなんて思ってもいない彼は
「いいよ、そのまま行っておいで」
と言いながら裸で歩く私を舐め回すように見ていた。
ゆっくり、なるべく不自然でないように台所でウェアを持ってトイレに行くふりをして、入り口近くまでゆっくり裸で歩いて玄関が見えたら思いっきり走った!
転ばないように裸で長靴を履き、ソリを持って外に出て電信柱の影でウェアを急いで着た。まだ泣かない!
中の下着や洋服は置いてきたけど、しょうがない。
彼は裸だったからすぐには追いかけて来ないだろうと考えた。ウェアは濡れていて冷たかったけど、寒さは感じなかった。
今思えば、その時に大人が通りかかっていたら、もしくは車が通りかかっていたら、泣きながら近所の家へ助けを求めていれば……。でも、あの日は誰も居なかったし、とても静かだった。そして一刻も早く家に帰りたかった。
近道を抜けて家に帰ったけど、もちろん家には誰も居なかった。すぐにお風呂で身体を洗った。ヌルヌルしてて気持ち悪くて大声で泣きながら洗った。
夕方、母が仕事から帰ってきて、今日の出来事を伝えようか迷っていると
「今日はカレーだよ」
といつもの笑顔で言われたので、何も言えなかった。服が無くなっている事に母は気付かなかった。
もし聞かれたら、全部話そうと思っていたけど、そのタイミングは結果としてやってこなかった。その頃から父の帰りは夜遅くなっていて、顔を合わせる事は全く無かった。
たまに登下校であの男が犬の散歩をしている。ニヤニヤしながら私を見るし、たまに両手を広げて
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