女たちの㊙ストリー〜秘密の花園〜

橘希帆

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親友の夫と関係を持った略奪女の末路

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「 じゃあ、またね」
「帰りたくないなぁ」
「わがままだなぁ、紫乃は」 
私の名前は紫乃、29歳会社員。親友の里帆の夫である卓也と不倫関係になり半年になる。
きっかけは以前使っていたマッチングアプリだった。
「タクト」と名乗る男性と意気投合し、頻繁に連絡を取るようになった私達は会う事になり日程を決め近くの公園で待ち合わせをしたのだった。
先に待ち合わせ場所の公園に着き、タクトを待っていたその時だった。
「紫乃…ちゃん?」
私は衝撃を受けた。タクトの正体は卓也だったのだ。
「卓也?」
とりあえず場所を変えようと私達は遠く離れた郊外のカフェに入った。卓也はなんと既婚者の身でありながら独身と偽りマッチングアプリを利用していたのだ。
「…どういう事?里帆がいるのに…」
この時私は卓也が里帆を裏切っている事が許せなかった。親友として里帆には幸せになってほしかったから。
「ここ半年…俺らうまくいってなくてさ。この前結婚記念日だったのに…出来なかったんだ」
卓也はレスに悩んでいた。
「俺から誘っても、疲れてるって拒否られるし。寝る部屋も行動とかも別々だしさ。俺ら、何の為に一緒にいるんだろう…」
駄目だとわかっていながらも、悩んでいる卓也を私は放っておけなかった。里帆がこの頃多忙だったのは知っていたけど、卓也がこんなに悩んでいるなんて知らなかった。
「…あたしで良かったら、話聞こうか?」
最初はほんの軽い気持ちだった。
「じゃあ…良い?」
それからというもの、私と卓也は頻繁に連絡を取るようになっていった。
そんなある日、卓也から一本の電話が入った。
「もしもし…?」
「今から…会わない?今、里帆実家に帰ってて帰ってくるの明日なんだ」
一瞬、脳裏に里帆の顔が浮かんだが卓也からの誘いに魔が差したのか私は卓也に会う事にした。
「良いよ、今どこ?」
電話を終えると、私は待ち合わせ場所に向かった。その日の待ち合わせ場所は、郊外にあるラブホテルだった。
「紫乃?こっち」
卓也は先に着いていて、受付を済ませるとすぐに部屋へ向かった。
「ごめん遅くなって」
「大丈夫、俺もさっき着いたばっかだから。じゃあしよっか」
「えっ?」
その流れでベッドに押し倒され、キスを交わした。
「ちょっと待って、ねぇ…」
スカートの中に手を入れてきたかと思うと、そのまま卓也の手が下着の中に入ってきた。
「…濡れてる。もうびちゃびちゃだよ」
私の身体は彼を欲しがっていて、もう抗えなくなっていた。
「紫乃…俺もう我慢出来ない」
私はとうとう、卓也と関係を持ってしまった。
罪悪感はあったがこの日以来、彼の温もりを求めずにはいられなくなってしまっていた。
それから卓也と不倫関係になり、会う度に身体を重ねるようになった。親友の夫と不倫…いつの間にか私は罪悪感を感じなくなっていた。
しばらく経ったある日、里帆から相談があるとランチに誘われた。久々に会った里帆はあまり元気がない様子だった。
「元気ないね、どうしたの?」
「卓也が…浮気、してるみたいなの。出掛ける事も多くなったし、メールも電話も、履歴が消されてて…カーナビの履歴も全部なくなってた…」
私は確信した。里帆は気づいている。
「それは、さすがにないんじゃない?」
「そうだと良いんだけど…」
この時、私は知らなかった。里帆が既に強硬手段に出ようとしていた事を。
その日の夜、卓也が私の家を訪ねてきた。
「卓也!?どうして…」
「終わりにしたいって、さっきのメールどういう事?ちゃんと言ってくれないとわからないよ」
里帆に会った後、私は卓也に「終わりにしよう」とメールを送っていた。
「今日、里帆に会ってきた。多分…気づいてる。私達の事」
そう言うと、インターホンの音と同時に扉を叩く音がした。
「開けなさいよ!いるのわかってるんだからね!」
紛れもなく里帆の声だった。
「話してくる、待ってろ」
卓也が玄関のドアを開けると里帆が家の中に入ってきた。
「里帆…違うの、聞いて」 
「何が違うのよ!泥棒猫!」
怒り狂った里帆は私の頬を平手で殴ってきた。
これまで生きてきて人に殴られたのは人生で初めてだった。
「里帆!帰って話そう」
「庇う気!?卓也だって浮気してたくせに!こんな女のどこが良いの!?」
「帰るぞ」
「触らないで!」
卓也が里帆の手を掴むと、里帆は卓也の手を振り払った。
「里帆、違うんだ」
「何が違うのよ!開き直る気!?」
卓也と里帆が言い合っていると、警察官が家に駆けつけてきた。近隣住民から通報があったようだ。
しかし、本当の地獄はここからだった。卓也と不倫関係にあった事実は会社にも広まり、仲良くしてくれていた同僚達は私を避けるようになり職場で孤立した私は退職届を出した。
上司の話によると、里帆は夫を寝取られたと私の職場に乗り込んできたらしい。

その後、里帆とは絶縁状態になり慰謝料を請求された。
貯金を崩し何とか払えたが精神的にダメージは大きかった。
卓也からは何件も電話がかかってきたが、出る気にはなれず私は携帯も番号も新しくした。 

一ヶ月後、アパートを引き払い実家に戻った私はアルバイトをいくつか掛け持ちして細々と日々を過ごしている。
実家に戻って一週間は部屋に引きこもる日々が続いたが不倫で仕事も友達もお金も失った私は惨めな自分でいるのが嫌だった。
しばらくして卓也と里帆は離婚したらしいが卓也に会いたいとは思わなかった。離婚寸前、里帆の妊娠が発覚したものの里帆はシングルマザーとして子供を育てる選択をしたらしい。

いつか、こんな私も幸せになれるんだろうか…?
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