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デートDVに悩まされる男性と浮気した二股女の末路
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「またその話?このレベルの事で喧嘩とか、マジでだるいんだけど」
「はぁ!?こっちの台詞だわ」
私は小春。29歳、小さなスーパーマーケットの店舗スタッフ。かつて同僚だった彼氏の聖人とは交際して半年になるが、ここ最近些細な事で喧嘩になる事が多くなっている。
友達や同僚達からはただの倦怠期だと言われるが、正直自分でも聖人を本当に好きなのかこのまま交際を続けたいのかわからなくなっている。
喧嘩をした翌日、聖人からしばらく距離を置こうと一通のメールが届いた。返信をする気にもなれず、そのまま放置する事にした。最近喧嘩も多くてストレスになっていたし、しばらくは自分の時間を有意義に過ごそうと思っていたが思いもよらない出会いがあったのは数日後の事だった。
仕事帰り、職場から少し離れたところにあるカフェに何気なく寄ってみると新人らしき男性店員がメニューを持ってきた。
「あっ」
男性はメニューを落としてしまった。彼の右手に貼ってある湿布が、何となく目についた。
「…大丈夫ですか?」
「申し訳ございません」
彼氏がいる身でありながら、綺麗な顔立ちをしたその男性店員に惹かれその日から私は時々お店に行くようになった。ただ、お店に行く度顔や手に怪我を負っている彼がどうしても気がかりだった。
そんなある日、風邪を引いて仕事を休んだ私は病院に向かった。受付を済ませ待合室に入ると、目を疑った。
「ごめんね、本当にごめんなさい」
「良いよ…大丈夫だから。本当大した事ないって」
いつもカフェで見かける男性店員が彼女らしき女性と病院に来ていた。この日、彼は右目に眼帯を当て左手には包帯が巻かれていた。
彼がいつも身体のあちこちに怪我をしていた理由は、あの彼女。彼に惹かれていた私はいつしか、彼女から彼を守りたいと思うようになっていった。
数日後、聖人から会って話したいとメールが来たが体調が悪くて会えないと返信した。会ってもまた喧嘩になると思うと憂鬱だった。仕事帰り、カフェに向かうと私服姿の彼が店内から出てきた。
「あ…どうも」
彼が先に私に気づいたが、この日は左目の瞼に痣があった。
「その左目の痣、彼女さんが原因ですよね?私、この間病院で見たんです」
「ああ…まぁ、実はそうなんですけどね。でもいつもの事なんで大丈夫ですよ」
「私で良かったら…話聞きますよ。あの、連絡先聞いても良いですか…?」
それから私は、彼とプライベートでも会うようになっていった。だめだとわかっていながらも、彼に夢中になっていた。
「え、俺と会ってて大丈夫なの?」
「はい。しばらく距離置こうって言われて連絡も最近取ってなくて」
本当は、時々聖人から電話やメールがきている。返信も折り返しの電話もしていない。だけど今は彼だけ見ていたいという気持ちが大きかった。
そんなある日、私は彼から話したい事があると誘われ指定された場所に向かった。
「えっ!?ここって…」
指定された場所は、何と郊外にあるラブホテルだった。
「小春ちゃん」
彼は先に出入り口の前に来ていた。
「行こっか」
「あの、ちょっと…」
「ごめん、どうしてもここしかなくて」
言われるがままに中に入り、受付を終え彼が選んだ部屋は最上階の一番広い部屋だった。
「話って…?」
「驚かせてごめん…実は彼女と別れたんだ」
耳を疑った。
「さすがに俺とは付き合えないよね。君の事は好きだけど、小春ちゃんには彼氏さんがいるし」
この日を待ち望んでいた。彼が私を好きって言ってくれる事を。
「私も、好きです」
互いに激しく身体を求め合い、ついに私と彼は結ばれた。
携帯には聖人から電話がかかってきていたが、私も彼も携帯をマナーモードにしていた。この時、彼が他にも会っている女性がいるなんて私は夢にも思っていなかった…。
次の日、いつものように出社すると同僚の英里から話があると声をかけられた。
「どうしたの?」
「聖人から昨日電話あったんだけど、連絡無視してるんだって?」
「距離置こう、って聖人から言われて…」
英里が聖人の女友達なのは、新人の頃から知っていた。
「まさか、浮気なんかしてないよね?」
思わず本当の事を話してしまいそうだった。
「してないよ…」
英里が勘づいている事を察した私は、その日の夜彼に電話をかけたが彼は電話にでなかった。
あれからしばらく経つが、彼は電話に出なくなりメールの返信も来なくなっていた。カフェに行き、思いきって他の店員に彼の事を聞くと家庭の事情で退職したとの事だった。
それから彼と連絡がつかない日が何日も続き、私は彼の住む自宅アパートに出向いた。敷地内まで行くと、駐車場から男女の揉める声が聞こえてきた。
何と彼が、病院で見かけた彼女とは違う女性と揉めていたのだ。女性はどこかへ立ち去っていった。
「小春ちゃん?」
久々に会う彼はまるで別人のようだった。黒かった髪を金髪に染め、白い無地の半袖Tシャツに半ズボンを着用し、両耳にはいくつかピアスをつけていた。
「どうしたの?その格好…さっきの誰?」
「は?関係ねぇだろ。てか、何なんだよ」
彼の豹変ぶりに、背筋が凍りついた。
「あの…連絡、しばらくなかったから…気になって…」
「連絡ないって俺ら付き合ってないよね?」
「だって、あの日…私の事好きって…」
彼は深い溜息をついた。
「小春ちゃんて鈍いんだね。そんなんだから彼氏とうまくいかないんだよ。付き合おうなんて、俺言ってないし」
「じゃあ、私との事は遊びだったって事!?私の事好きって言ったのも嘘だったの!?」
「遊びも何も、あんたから近づいてきたんじゃん。そうだよ、あんたの事なんか最初から好きじゃなかったし。てか、一回寝たくらいで家まで来られるとかマジだるいし面倒。早く帰ってくれない?」
私は思わず彼の腕を掴み、近くの公園まで連れ出すと彼を突き飛ばし思うがままに彼の身体を何度も強く叩いた。
「こうやって、今まで痛めつけられてきたのにまだわからないの!?」
「…何すんだよ!」
気付くと私は、彼の背中を思いきり踏みつけていた。
「ちょっと、やめなって!どうしちゃったの!?」
誰かに後ろから両腕を掴まれた。
「離して、離して!」
必死に抵抗した。止めに来たのは、英里だった。
「英里…」
英里の顔を見た瞬間、私は我に返った。
「もう、やめてよ急なキャラ変!暴力はだめだって!」
英里は聖人を連れてきていた。聖人に会うのは久々だった。
「聖人…」
「お前、どういう事だよ…そいつと寝たのか!?」
聖人は彼の胸ぐらを掴み平手打ちした。
「…何だよ、彼氏と続いてたんじゃん」
彼の頬は赤く腫れていたが、そんな事どうでも良かった。
彼にはもう、恋愛感情は全くない。本当に私が好きなのは聖人だけ。みるみる目が覚め、私は泣き崩れていた。
「てめぇ…人の女に手ぇ出しやがって…もう二度と小春の前に現れるな!」
聖人が叫んだ途端、パトカーが駐車場に止まり警察官が駆けつけてきた。
「こいつです」
聖人が彼を指差すと、その場で彼は逮捕されパトカーに乗せられていった。
「…ったく、本当に何も知らなかったんだな」
「どういう事?」
「これ見てみろ!」
聖人の携帯には彼の写真と名前が載った画像が表示されていた。なんと彼は闇バイトに加担し、詐欺幇助罪で指名手配されていたのだ。
その後、私は英里の助けもあって聖人と和解し今まで通り付き合おうという事になった。私の浮気を疑った聖人は距離を置いている間にこっそりあとをつけ、彼が指名手配犯だったという事はすぐに気づいていたらしい。
半年後、刑務所内で彼が突然亡くなったとニュースで報道されたが悲しくなかった。あの時病院で見かけた彼女も彼が逮捕される前に亡くなったらしいが、何故亡くなったのかそこまではわからなかった。それから彼は鬱状態になりカフェを辞める前から闇バイトに加担していたとの事だった。
彼はきっと、犯罪者になってからも彼女を心から本気で愛していたのだろう…。
翌年、私は聖人と婚約し同棲を始めた。英里とはあの日から友情が深まり休みが合う日は一緒にランチをしたり映画を観に行ったりする仲になった。今でも同僚として一緒に働いている。
私は今、人生で一番の幸せを噛み締めている。
「はぁ!?こっちの台詞だわ」
私は小春。29歳、小さなスーパーマーケットの店舗スタッフ。かつて同僚だった彼氏の聖人とは交際して半年になるが、ここ最近些細な事で喧嘩になる事が多くなっている。
友達や同僚達からはただの倦怠期だと言われるが、正直自分でも聖人を本当に好きなのかこのまま交際を続けたいのかわからなくなっている。
喧嘩をした翌日、聖人からしばらく距離を置こうと一通のメールが届いた。返信をする気にもなれず、そのまま放置する事にした。最近喧嘩も多くてストレスになっていたし、しばらくは自分の時間を有意義に過ごそうと思っていたが思いもよらない出会いがあったのは数日後の事だった。
仕事帰り、職場から少し離れたところにあるカフェに何気なく寄ってみると新人らしき男性店員がメニューを持ってきた。
「あっ」
男性はメニューを落としてしまった。彼の右手に貼ってある湿布が、何となく目についた。
「…大丈夫ですか?」
「申し訳ございません」
彼氏がいる身でありながら、綺麗な顔立ちをしたその男性店員に惹かれその日から私は時々お店に行くようになった。ただ、お店に行く度顔や手に怪我を負っている彼がどうしても気がかりだった。
そんなある日、風邪を引いて仕事を休んだ私は病院に向かった。受付を済ませ待合室に入ると、目を疑った。
「ごめんね、本当にごめんなさい」
「良いよ…大丈夫だから。本当大した事ないって」
いつもカフェで見かける男性店員が彼女らしき女性と病院に来ていた。この日、彼は右目に眼帯を当て左手には包帯が巻かれていた。
彼がいつも身体のあちこちに怪我をしていた理由は、あの彼女。彼に惹かれていた私はいつしか、彼女から彼を守りたいと思うようになっていった。
数日後、聖人から会って話したいとメールが来たが体調が悪くて会えないと返信した。会ってもまた喧嘩になると思うと憂鬱だった。仕事帰り、カフェに向かうと私服姿の彼が店内から出てきた。
「あ…どうも」
彼が先に私に気づいたが、この日は左目の瞼に痣があった。
「その左目の痣、彼女さんが原因ですよね?私、この間病院で見たんです」
「ああ…まぁ、実はそうなんですけどね。でもいつもの事なんで大丈夫ですよ」
「私で良かったら…話聞きますよ。あの、連絡先聞いても良いですか…?」
それから私は、彼とプライベートでも会うようになっていった。だめだとわかっていながらも、彼に夢中になっていた。
「え、俺と会ってて大丈夫なの?」
「はい。しばらく距離置こうって言われて連絡も最近取ってなくて」
本当は、時々聖人から電話やメールがきている。返信も折り返しの電話もしていない。だけど今は彼だけ見ていたいという気持ちが大きかった。
そんなある日、私は彼から話したい事があると誘われ指定された場所に向かった。
「えっ!?ここって…」
指定された場所は、何と郊外にあるラブホテルだった。
「小春ちゃん」
彼は先に出入り口の前に来ていた。
「行こっか」
「あの、ちょっと…」
「ごめん、どうしてもここしかなくて」
言われるがままに中に入り、受付を終え彼が選んだ部屋は最上階の一番広い部屋だった。
「話って…?」
「驚かせてごめん…実は彼女と別れたんだ」
耳を疑った。
「さすがに俺とは付き合えないよね。君の事は好きだけど、小春ちゃんには彼氏さんがいるし」
この日を待ち望んでいた。彼が私を好きって言ってくれる事を。
「私も、好きです」
互いに激しく身体を求め合い、ついに私と彼は結ばれた。
携帯には聖人から電話がかかってきていたが、私も彼も携帯をマナーモードにしていた。この時、彼が他にも会っている女性がいるなんて私は夢にも思っていなかった…。
次の日、いつものように出社すると同僚の英里から話があると声をかけられた。
「どうしたの?」
「聖人から昨日電話あったんだけど、連絡無視してるんだって?」
「距離置こう、って聖人から言われて…」
英里が聖人の女友達なのは、新人の頃から知っていた。
「まさか、浮気なんかしてないよね?」
思わず本当の事を話してしまいそうだった。
「してないよ…」
英里が勘づいている事を察した私は、その日の夜彼に電話をかけたが彼は電話にでなかった。
あれからしばらく経つが、彼は電話に出なくなりメールの返信も来なくなっていた。カフェに行き、思いきって他の店員に彼の事を聞くと家庭の事情で退職したとの事だった。
それから彼と連絡がつかない日が何日も続き、私は彼の住む自宅アパートに出向いた。敷地内まで行くと、駐車場から男女の揉める声が聞こえてきた。
何と彼が、病院で見かけた彼女とは違う女性と揉めていたのだ。女性はどこかへ立ち去っていった。
「小春ちゃん?」
久々に会う彼はまるで別人のようだった。黒かった髪を金髪に染め、白い無地の半袖Tシャツに半ズボンを着用し、両耳にはいくつかピアスをつけていた。
「どうしたの?その格好…さっきの誰?」
「は?関係ねぇだろ。てか、何なんだよ」
彼の豹変ぶりに、背筋が凍りついた。
「あの…連絡、しばらくなかったから…気になって…」
「連絡ないって俺ら付き合ってないよね?」
「だって、あの日…私の事好きって…」
彼は深い溜息をついた。
「小春ちゃんて鈍いんだね。そんなんだから彼氏とうまくいかないんだよ。付き合おうなんて、俺言ってないし」
「じゃあ、私との事は遊びだったって事!?私の事好きって言ったのも嘘だったの!?」
「遊びも何も、あんたから近づいてきたんじゃん。そうだよ、あんたの事なんか最初から好きじゃなかったし。てか、一回寝たくらいで家まで来られるとかマジだるいし面倒。早く帰ってくれない?」
私は思わず彼の腕を掴み、近くの公園まで連れ出すと彼を突き飛ばし思うがままに彼の身体を何度も強く叩いた。
「こうやって、今まで痛めつけられてきたのにまだわからないの!?」
「…何すんだよ!」
気付くと私は、彼の背中を思いきり踏みつけていた。
「ちょっと、やめなって!どうしちゃったの!?」
誰かに後ろから両腕を掴まれた。
「離して、離して!」
必死に抵抗した。止めに来たのは、英里だった。
「英里…」
英里の顔を見た瞬間、私は我に返った。
「もう、やめてよ急なキャラ変!暴力はだめだって!」
英里は聖人を連れてきていた。聖人に会うのは久々だった。
「聖人…」
「お前、どういう事だよ…そいつと寝たのか!?」
聖人は彼の胸ぐらを掴み平手打ちした。
「…何だよ、彼氏と続いてたんじゃん」
彼の頬は赤く腫れていたが、そんな事どうでも良かった。
彼にはもう、恋愛感情は全くない。本当に私が好きなのは聖人だけ。みるみる目が覚め、私は泣き崩れていた。
「てめぇ…人の女に手ぇ出しやがって…もう二度と小春の前に現れるな!」
聖人が叫んだ途端、パトカーが駐車場に止まり警察官が駆けつけてきた。
「こいつです」
聖人が彼を指差すと、その場で彼は逮捕されパトカーに乗せられていった。
「…ったく、本当に何も知らなかったんだな」
「どういう事?」
「これ見てみろ!」
聖人の携帯には彼の写真と名前が載った画像が表示されていた。なんと彼は闇バイトに加担し、詐欺幇助罪で指名手配されていたのだ。
その後、私は英里の助けもあって聖人と和解し今まで通り付き合おうという事になった。私の浮気を疑った聖人は距離を置いている間にこっそりあとをつけ、彼が指名手配犯だったという事はすぐに気づいていたらしい。
半年後、刑務所内で彼が突然亡くなったとニュースで報道されたが悲しくなかった。あの時病院で見かけた彼女も彼が逮捕される前に亡くなったらしいが、何故亡くなったのかそこまではわからなかった。それから彼は鬱状態になりカフェを辞める前から闇バイトに加担していたとの事だった。
彼はきっと、犯罪者になってからも彼女を心から本気で愛していたのだろう…。
翌年、私は聖人と婚約し同棲を始めた。英里とはあの日から友情が深まり休みが合う日は一緒にランチをしたり映画を観に行ったりする仲になった。今でも同僚として一緒に働いている。
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