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78話
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で、この状況は何なんだよ…
マルスたちがメナの真継承を行いに行くと、残っているのが俺とグラ、あと雑魚2人という訳の分からない面子になった。
城の中にはアルたちは居るが、アルは魔物だしララとルルは顔が割れていて余計に面倒になる可能性もある。はぁ、シアンもマルスも何故グラと雑魚2人を連れて行かなかった。
「おい、ゼギウス、今度はお前が戦え」
「そうよ。メナドールさんに命令するなら貴方の力を見せなさいよ」
「ゼギウスが戦うの?ならおいらも交ぜてよ」
さっきからこんな感じで絡まれている。何でこういう時に限って目を覚ますのが早いんだよ。あー、面倒くせぇ。
こいつ等の言っていることは色々とおかしい。
まず、俺が赤頭と戦う理由はねぇ。次に、メナに命令をするのに関係ない黄頭に強さを証明する必要もねぇ。最後に、グラはまぁ、平常運転だな。他の奴だったらこの雑魚2人を黙らせてもらうところだが、グラにそれを期待しても無駄だ。
何が面倒って今思っていることを言ったところでこいつ等は理解しない。だから無視している。
周りにこういう奴等がいるとナナシは何だかんだ聞き分けのいい奴だったのだと分かる。
「無視するな!」
そう黄頭が赤頭の大剣を投げてくるが俺には届かない。
はぁ、本当に何で連れてかなかったんだよ。シアンは戻ってくるからグラを置いて行ったのはまだ分かるとして、マルスはここに戻ってくる気ないだろ。
ん、待てよ?それってこの雑魚2人をここに置いていくってことだよな……あー、想像するだけで面倒くせぇ。
そんなことを考えていると前方から抱き着かれる。
「ゼ~ギく~ん!ただいま~!」
やっと帰って来たか。この鬱陶しい抱き着きも今は有難さの方が大きい。
「ゼギウス、早く教えな」
シアンに急かされるが、この状況を見たら先にやることがあるだろ。
「先にこの雑魚共を帰らせろ。鬱陶しいことこの上ない」
「2人もここに残るよ。アタイの制御が終わったら柱のところに連れてくのさ」
何となくそんな気はしていたが、やっぱりか。どの程度できるか見極めたかったから全員連れてこさせたが、間違いだったな。まぁ、カイが居るのを知れただけ御の字か。
「その、メナドールさんはそこの人とお付き合いされているのですか?」
この状況を見てか黄頭がそんなことを聞く。どう見ても怠絡みされているだけだが、またメナが余計なことを言う。
「ううん。ゼギくんはね、私のご主人様」
「誰がご主人様だ。雇用主だろ」
黄頭が驚く反応をするよりも早く否定する。メナのテンションが高い気もするが、真継承で浮かれているのだろう。
「ぶー、そんな冷たい言い方は嫌だなー」
「はいはい。もうアンタたちの甘いやり取りはいいから。エストもメビスも黙りな」
シアンがそう纏めるとようやく静かになった。普段グラを扱っている分、こういったことは手慣れている。
「これでいいだろ?」
「少し場所を変えるぞ」
「エストとメビスはここで待ってな。グラは2人を見張ってる、いいね?」
シアンがそう指示をするが、グラは不満そうだ。
「シアン、おいらまだ約束のスキル食べてないよ」
「戻ってきたらメナドールのスキルも食べさせてあげるから我慢する」
「分かった。おいらこの2人を見張ってる」
グラ、俺が言ってもそれくらい素直に聞けよ。何でシアンだと、って考えるまでもないな。信用度だ。
そんなことを考えながらメナとシアンを連れて拓けた場所。と言っても俺とナナシ、ナナシとグラが戦ったせいで拓けた場所になったのだが、そこに移動する。
周りには《障壁》を張り仮に暴走したとしても問題ないように場を整えた。
「魔力球でも魔弾でも何でもいいから全力で俺に向かって撃て」
大体の想像はついているが、魔力量、魔力の質、濃度を知らなければ制御の仕方が見えてこない。
そう要求すると先にシアンから撃ってくる。制御できていないのもあり大きさはシアンの体を優に超えていた。
それを目の前に《障壁》を張って受け止めながら解析する。
当たり前ながら魔力量は上がっている。魔力の質は異物が混ざっているようなシアン自身の魔力以外に複数の違う形質が混ざっていて、濃度は大きさの割には低い。
まぁ、分かっていたことだが力に翻弄されている。その原因は魔力量が急激に増えたことと魔力に混ざっている違う形質か。
解析が十分にできると魔力球を消すが、シアンは不満そうな顔をしている。大方、特に苦戦した様子もなく受け止められたのが癪なのだろう。
それから少しすると今度はメナドールが撃ってくる。シアンと魔力量の増幅や形質の変化の度合いは違ったが同じ処置をしているだけあって症状は似ていた。
受け止め終えると2人が近づいてくる。
「それでどうすればいいか分かったの?」
「他人の魔力を取り込んだだろ。それも不特定多数の結構な量」
「え、何でそこまで分かるの?」
やっぱりそうか。それなら方法は分かりやすい。
「それならその魔力を屈服させるんだな。幸い、ってか狙ってだろうが数は多いが1つ1つは弱い。地道に自分の魔力の形質に変化させればいい」
「待ってよ。他人の魔力が体内にあるなら何で拒絶反応は起きてないのさ」
シアンの疑問は尤もだ。この不特定多数の魔力、形質だけでなく系統の違うものも混ざっているのは間違いない。それも魔力量は2倍以上にはなっていて自分の総魔力の5割以上は他人の魔力だ。そうなれば間違いなく拒絶反応は起こる。
しかし、そこは上手く作られていた。
「まだ混ざり切ってねぇんだよ。説明すんのは難しいが、自分の魔力に薄い壁を挟んで取り込んだ魔力が引っ付いてる感じって言えばいいか?だから魔力同士の主権争いが起こらない。本来はそれが拒絶反応って形で出てくる」
まぁ、それは体に対する負担が少ないが自分が1の魔力を使おうとしても引っ付いている部分も勝手に出てくるから実際は3出てくるみたいなことになる。壁で隔てて引っ付いている分、自分の魔力には触れてないから本人は体の変化を感じていないだろうし、その部分は練り込めないからさっきみたいな無駄にデカいだけの魔力球にしかならない。
と、理屈はこんな感じだろう。どうやって壁が形成されているか等、分からない部分もあるが、今はどうでもいい。
「なるほどね。それで形質の変化ってどうするのさ」
「やり方は色々あるな。その魔力を魔力体にして戦って上下を分からせて屈服させるか、自分の魔力で覆って吞み込むか。他にも時間をかけて馴染ませるってのもあるな。まぁ、馴染ませるのは時間が掛かるから今回は無しだが」
しかし、本来は時間をかけて馴染ませるものなのだろう。それが1番危険は少ない。
それにしてもこんな力、今までよく庭に対して隠し通せたものだ。そもそもあまり行われていなかったか、覚醒だと思って見逃がされたか。
どちらにせよ人間の奥の手、人間に与えられた力なのは間違いない。それを出してきたということは、マルスは本気でこの世代で終わらせるつもりなのだと改めて思い知らされる。
「それならアタイは前者かな。魔力操作とかあんまり得意じゃないしさ」
「私は後者にするね。あっ、でも同じにした方がいいかな?」
「やりやすい方にしとけ。下手な方選んで制御できないとか話にならねぇ。言っとくが、どっちも死ぬ可能性はあるからな」
魔力体に負ければそこで終わりなのは当たり前の事、魔力を吞み込む方も壁を壊すのだから無駄に長引いたり逆に呑み込まれたりすればより強い拒絶反応が起こる。
「それなら後者にする」
脅したかった訳ではないが息を呑むようにメナはそう答えた。
これでやることは決まったが、ここからが本番だ。
マルスたちがメナの真継承を行いに行くと、残っているのが俺とグラ、あと雑魚2人という訳の分からない面子になった。
城の中にはアルたちは居るが、アルは魔物だしララとルルは顔が割れていて余計に面倒になる可能性もある。はぁ、シアンもマルスも何故グラと雑魚2人を連れて行かなかった。
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こいつ等の言っていることは色々とおかしい。
まず、俺が赤頭と戦う理由はねぇ。次に、メナに命令をするのに関係ない黄頭に強さを証明する必要もねぇ。最後に、グラはまぁ、平常運転だな。他の奴だったらこの雑魚2人を黙らせてもらうところだが、グラにそれを期待しても無駄だ。
何が面倒って今思っていることを言ったところでこいつ等は理解しない。だから無視している。
周りにこういう奴等がいるとナナシは何だかんだ聞き分けのいい奴だったのだと分かる。
「無視するな!」
そう黄頭が赤頭の大剣を投げてくるが俺には届かない。
はぁ、本当に何で連れてかなかったんだよ。シアンは戻ってくるからグラを置いて行ったのはまだ分かるとして、マルスはここに戻ってくる気ないだろ。
ん、待てよ?それってこの雑魚2人をここに置いていくってことだよな……あー、想像するだけで面倒くせぇ。
そんなことを考えていると前方から抱き着かれる。
「ゼ~ギく~ん!ただいま~!」
やっと帰って来たか。この鬱陶しい抱き着きも今は有難さの方が大きい。
「ゼギウス、早く教えな」
シアンに急かされるが、この状況を見たら先にやることがあるだろ。
「先にこの雑魚共を帰らせろ。鬱陶しいことこの上ない」
「2人もここに残るよ。アタイの制御が終わったら柱のところに連れてくのさ」
何となくそんな気はしていたが、やっぱりか。どの程度できるか見極めたかったから全員連れてこさせたが、間違いだったな。まぁ、カイが居るのを知れただけ御の字か。
「その、メナドールさんはそこの人とお付き合いされているのですか?」
この状況を見てか黄頭がそんなことを聞く。どう見ても怠絡みされているだけだが、またメナが余計なことを言う。
「ううん。ゼギくんはね、私のご主人様」
「誰がご主人様だ。雇用主だろ」
黄頭が驚く反応をするよりも早く否定する。メナのテンションが高い気もするが、真継承で浮かれているのだろう。
「ぶー、そんな冷たい言い方は嫌だなー」
「はいはい。もうアンタたちの甘いやり取りはいいから。エストもメビスも黙りな」
シアンがそう纏めるとようやく静かになった。普段グラを扱っている分、こういったことは手慣れている。
「これでいいだろ?」
「少し場所を変えるぞ」
「エストとメビスはここで待ってな。グラは2人を見張ってる、いいね?」
シアンがそう指示をするが、グラは不満そうだ。
「シアン、おいらまだ約束のスキル食べてないよ」
「戻ってきたらメナドールのスキルも食べさせてあげるから我慢する」
「分かった。おいらこの2人を見張ってる」
グラ、俺が言ってもそれくらい素直に聞けよ。何でシアンだと、って考えるまでもないな。信用度だ。
そんなことを考えながらメナとシアンを連れて拓けた場所。と言っても俺とナナシ、ナナシとグラが戦ったせいで拓けた場所になったのだが、そこに移動する。
周りには《障壁》を張り仮に暴走したとしても問題ないように場を整えた。
「魔力球でも魔弾でも何でもいいから全力で俺に向かって撃て」
大体の想像はついているが、魔力量、魔力の質、濃度を知らなければ制御の仕方が見えてこない。
そう要求すると先にシアンから撃ってくる。制御できていないのもあり大きさはシアンの体を優に超えていた。
それを目の前に《障壁》を張って受け止めながら解析する。
当たり前ながら魔力量は上がっている。魔力の質は異物が混ざっているようなシアン自身の魔力以外に複数の違う形質が混ざっていて、濃度は大きさの割には低い。
まぁ、分かっていたことだが力に翻弄されている。その原因は魔力量が急激に増えたことと魔力に混ざっている違う形質か。
解析が十分にできると魔力球を消すが、シアンは不満そうな顔をしている。大方、特に苦戦した様子もなく受け止められたのが癪なのだろう。
それから少しすると今度はメナドールが撃ってくる。シアンと魔力量の増幅や形質の変化の度合いは違ったが同じ処置をしているだけあって症状は似ていた。
受け止め終えると2人が近づいてくる。
「それでどうすればいいか分かったの?」
「他人の魔力を取り込んだだろ。それも不特定多数の結構な量」
「え、何でそこまで分かるの?」
やっぱりそうか。それなら方法は分かりやすい。
「それならその魔力を屈服させるんだな。幸い、ってか狙ってだろうが数は多いが1つ1つは弱い。地道に自分の魔力の形質に変化させればいい」
「待ってよ。他人の魔力が体内にあるなら何で拒絶反応は起きてないのさ」
シアンの疑問は尤もだ。この不特定多数の魔力、形質だけでなく系統の違うものも混ざっているのは間違いない。それも魔力量は2倍以上にはなっていて自分の総魔力の5割以上は他人の魔力だ。そうなれば間違いなく拒絶反応は起こる。
しかし、そこは上手く作られていた。
「まだ混ざり切ってねぇんだよ。説明すんのは難しいが、自分の魔力に薄い壁を挟んで取り込んだ魔力が引っ付いてる感じって言えばいいか?だから魔力同士の主権争いが起こらない。本来はそれが拒絶反応って形で出てくる」
まぁ、それは体に対する負担が少ないが自分が1の魔力を使おうとしても引っ付いている部分も勝手に出てくるから実際は3出てくるみたいなことになる。壁で隔てて引っ付いている分、自分の魔力には触れてないから本人は体の変化を感じていないだろうし、その部分は練り込めないからさっきみたいな無駄にデカいだけの魔力球にしかならない。
と、理屈はこんな感じだろう。どうやって壁が形成されているか等、分からない部分もあるが、今はどうでもいい。
「なるほどね。それで形質の変化ってどうするのさ」
「やり方は色々あるな。その魔力を魔力体にして戦って上下を分からせて屈服させるか、自分の魔力で覆って吞み込むか。他にも時間をかけて馴染ませるってのもあるな。まぁ、馴染ませるのは時間が掛かるから今回は無しだが」
しかし、本来は時間をかけて馴染ませるものなのだろう。それが1番危険は少ない。
それにしてもこんな力、今までよく庭に対して隠し通せたものだ。そもそもあまり行われていなかったか、覚醒だと思って見逃がされたか。
どちらにせよ人間の奥の手、人間に与えられた力なのは間違いない。それを出してきたということは、マルスは本気でこの世代で終わらせるつもりなのだと改めて思い知らされる。
「それならアタイは前者かな。魔力操作とかあんまり得意じゃないしさ」
「私は後者にするね。あっ、でも同じにした方がいいかな?」
「やりやすい方にしとけ。下手な方選んで制御できないとか話にならねぇ。言っとくが、どっちも死ぬ可能性はあるからな」
魔力体に負ければそこで終わりなのは当たり前の事、魔力を吞み込む方も壁を壊すのだから無駄に長引いたり逆に呑み込まれたりすればより強い拒絶反応が起こる。
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