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プロローグ1
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西暦2100年、日本では理想郷社の配信するVRMMORPGが流行っていた。
理想郷社は“ゲームという理想郷を現実に”というキャッチコピーを基に自由度の高さを売りにした理想郷の名を冠したタイトルを6つ配信している。
1作目、エル・ドラード
2作目、オフィール
3作目、ニライカナイ
4作目、エデン
5作目、シャンバラ
6作目、ティ・ルナノーグ
理想郷社はこの6タイトルを9年で配信した。
低迷したタイトルがあった訳ではなく全てが社会現象とも言えるほど一大ブームを巻き起こしたにも拘らず次々と新タイトルを配信することを止めなかった。
何故、次々と新タイトルを配信したのか、そこに人気の一端があった。
理想郷社の提供するVRMMORPGはMMOには珍しく配信された時から倒せばそのゲームのクリアを意味するラスボスが設定されていて、ラスボスが倒されれば次のタイトルが配信されるという斬新な方針をとっていた。
プレイヤーの攻略速度によって開発を速めなくてはいけない不安定さ。それにゲームクリア時という人気絶頂、或いは人気上昇中に次のタイトルを配信するという運営方法は利益度外視にすら見えた。
しかし、それはプレイヤーからは好評で出し惜しみのない攻略を促す要因ともなった。
配信初期からラスボスが設定されている、ラスボスが倒されれば次のタイトルが配信されるといってもそれは誤解を生む言い方だ。
配信初期からラスボスがいてプレイヤーの腕によっては挑めるとしても到底クリアできるような難易度ではない。ただ、その点はプレイヤーの攻略進行度によって迅速に施されるアップデートで解決された。
ラスボスが倒されれば次のタイトルが配信されるというのも、各タイトルにはデータ移行することができればクリア済みのタイトルにもアップデートが入る。新要素やそのタイトルにしかない特徴はあれどその情報は引継ぐことができ、正確に言えば1つのゲームが重くなり過ぎないための処置かもしれない。
言ってしまえばよくある誇張表現による宣伝だ。
そのことは3作目辺りからプレイヤーにも気づかれていたが批判の声はほとんどなかった。それは一重に1タイトル毎のできがよくてプレイヤーの満足感が大きかったからだ。
全てのタイトルを合わせて1つのゲームというのが運営の方針というのはこれ以外にも示すものがあった。
それはゲーム内のギルドシステムだ。
ギルドは違うタイトルのプレイヤーであっても所属することができ、違うタイトル間でもチャットは勿論、アイテムの交換もできた。それは各タイトルの人材不足を同じギルドのプレイヤーが集まることで解消できる。
上位ギルドに至っては新タイトル攻略組以外にも各タイトルに残り続けるスペシャリストを用意していた。
その各タイトル間の繋がりが強く新タイトルにデータを引き継げるというのは弊害もあった。
それは新規のプレイヤーの参入を難しくすることだ。新規で始めては上位勢に追いつくことは難しく最前線の攻略に参加することは難しい。
その点に関しては自分のデータを作ったタイトルでは経験値に補正がかかりレベル制限のかかったダンジョンを用意することでしか対応できない。そのダンジョンに挑むことで初心者も攻略することの楽しさを覚えることができ、そこでしか入手できないアイテムを用意して上位勢に追いつきやすくした。
そういったプレイヤー重視の運営方法は運営主催のイベント以外にもプレイヤー主催のイベントを盛んに開催させ盛り上がりに欠かなかった。
順風満帆かと思われていた理想郷社にも6タイトル目のティ・ルナノーグのクリアを目前とした今、奇妙な噂が流れていた。
それは理想郷社のゲームはティ・ルナノーグを最後に全てのタイトルの配信が終了するというものだ。
最初は極一部で流れている噂に過ぎなかったが、火のない所に煙は立たぬと言い日が経つにつれ内部からのリークだとか運営がそう答えたとか尾鰭がついて広まっていった。
他にも利益度外視に見える運営に限界が来たという別の新タイトルは出ない説や、新タイトルは出ないが今まで通りアップデートが入るというもの、今まで通り新タイトルが出る、等様々な憶測が増えては日夜ゲーム内チャットを騒がせている。
どれだけ論争したところで実際のところ運営は何も答えていないためその真偽は分からない。だが、その答えはティ・ルナノーグのクリアという形でもうすぐ出ようとしていた。
理想郷社は“ゲームという理想郷を現実に”というキャッチコピーを基に自由度の高さを売りにした理想郷の名を冠したタイトルを6つ配信している。
1作目、エル・ドラード
2作目、オフィール
3作目、ニライカナイ
4作目、エデン
5作目、シャンバラ
6作目、ティ・ルナノーグ
理想郷社はこの6タイトルを9年で配信した。
低迷したタイトルがあった訳ではなく全てが社会現象とも言えるほど一大ブームを巻き起こしたにも拘らず次々と新タイトルを配信することを止めなかった。
何故、次々と新タイトルを配信したのか、そこに人気の一端があった。
理想郷社の提供するVRMMORPGはMMOには珍しく配信された時から倒せばそのゲームのクリアを意味するラスボスが設定されていて、ラスボスが倒されれば次のタイトルが配信されるという斬新な方針をとっていた。
プレイヤーの攻略速度によって開発を速めなくてはいけない不安定さ。それにゲームクリア時という人気絶頂、或いは人気上昇中に次のタイトルを配信するという運営方法は利益度外視にすら見えた。
しかし、それはプレイヤーからは好評で出し惜しみのない攻略を促す要因ともなった。
配信初期からラスボスが設定されている、ラスボスが倒されれば次のタイトルが配信されるといってもそれは誤解を生む言い方だ。
配信初期からラスボスがいてプレイヤーの腕によっては挑めるとしても到底クリアできるような難易度ではない。ただ、その点はプレイヤーの攻略進行度によって迅速に施されるアップデートで解決された。
ラスボスが倒されれば次のタイトルが配信されるというのも、各タイトルにはデータ移行することができればクリア済みのタイトルにもアップデートが入る。新要素やそのタイトルにしかない特徴はあれどその情報は引継ぐことができ、正確に言えば1つのゲームが重くなり過ぎないための処置かもしれない。
言ってしまえばよくある誇張表現による宣伝だ。
そのことは3作目辺りからプレイヤーにも気づかれていたが批判の声はほとんどなかった。それは一重に1タイトル毎のできがよくてプレイヤーの満足感が大きかったからだ。
全てのタイトルを合わせて1つのゲームというのが運営の方針というのはこれ以外にも示すものがあった。
それはゲーム内のギルドシステムだ。
ギルドは違うタイトルのプレイヤーであっても所属することができ、違うタイトル間でもチャットは勿論、アイテムの交換もできた。それは各タイトルの人材不足を同じギルドのプレイヤーが集まることで解消できる。
上位ギルドに至っては新タイトル攻略組以外にも各タイトルに残り続けるスペシャリストを用意していた。
その各タイトル間の繋がりが強く新タイトルにデータを引き継げるというのは弊害もあった。
それは新規のプレイヤーの参入を難しくすることだ。新規で始めては上位勢に追いつくことは難しく最前線の攻略に参加することは難しい。
その点に関しては自分のデータを作ったタイトルでは経験値に補正がかかりレベル制限のかかったダンジョンを用意することでしか対応できない。そのダンジョンに挑むことで初心者も攻略することの楽しさを覚えることができ、そこでしか入手できないアイテムを用意して上位勢に追いつきやすくした。
そういったプレイヤー重視の運営方法は運営主催のイベント以外にもプレイヤー主催のイベントを盛んに開催させ盛り上がりに欠かなかった。
順風満帆かと思われていた理想郷社にも6タイトル目のティ・ルナノーグのクリアを目前とした今、奇妙な噂が流れていた。
それは理想郷社のゲームはティ・ルナノーグを最後に全てのタイトルの配信が終了するというものだ。
最初は極一部で流れている噂に過ぎなかったが、火のない所に煙は立たぬと言い日が経つにつれ内部からのリークだとか運営がそう答えたとか尾鰭がついて広まっていった。
他にも利益度外視に見える運営に限界が来たという別の新タイトルは出ない説や、新タイトルは出ないが今まで通りアップデートが入るというもの、今まで通り新タイトルが出る、等様々な憶測が増えては日夜ゲーム内チャットを騒がせている。
どれだけ論争したところで実際のところ運営は何も答えていないためその真偽は分からない。だが、その答えはティ・ルナノーグのクリアという形でもうすぐ出ようとしていた。
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