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白い鬼と黒い鬼2

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 次に来たのは何やら霊がたくさんいる国
 双子が元居た世界でもそのような国はあったため、別段気にもせず歩き回る
 二人の姿は霊体である彼らにも認識できないらしく、この世界にはいない鬼神と言う種族が近くを歩いていても、誰も気にも留めない
 その中を悠々と歩く二人
 ここにあの化け物と同じものを感じると姉のクロハは言う
「どのあたりなの?」
「この国の中央部ね。あの城の辺りじゃないかしら」
 そびえ立つ和風の城
 その形状はハクラ達にもなじみ深いものだった
 彼女たちの元居た世界、彼女たちの暮らしている国でも、このように和風の建築物が多い
 さらに言うと、二人の衣装は和装で、着物を着ている
 二人はあの化け物と同じような気配のする城へと向かった

 城の中に入るや否やクロハは広間を走り出し、その中央あたりを刀で切り裂いた
 ズパンと空間が切れたと思うと、そこからたくさんの人々が転がり出てきた
 彼らは息はあるが、かなり衰弱しているようだ
「やはり人を攫う種がこの世界に入り込んでしまったようね」
 アンノウンと長い間戦ってきた二人、正確に言えばこの二人以外にもいるのだが、この手の相手との戦いは慣れたもので、流れ出てきた人々の奥にいた化け物を掴むと、そのまま地面にたたきつけた
「ギィイイイイイイイイイイイイイイイ!!!」
 甲高い悲鳴を上げるアンノウン
 先ほど倒したアンノウンとは全くの別種だが、人を襲い攫うというのは共通している
 どうやらこのアンノウンは人から生気を吸い取るタイプのようだ
「今ので死なないとは、中々タフね」
 クロハはアンノウンの胸辺りの皮膚を掴んだままさらに腕に力を込める
 すると皮膚が裂け、緑色の血が噴き出してきた
「グギイイイイイイイイイ!!」
 クロハとハクラは元の世界で一つの国を治める姫だ
 故に無辜の民が被害に遭うのが許せない
 このアンノウンは見た目こそ人型で、先ほどのアンノウンほど知能はない
 ただ襲い、ただ食らう化け物
 このまま放っておけば被害は増える一方だろう
 クロハはその化け物の首を刀で切り落とし、さらに細切れに切り裂いた
「まだまだいそうよハクラ」
「うん、この人達どうしよう?」
「ハクラの力で癒してあげなさい。この程度なら容易いでしょう?」
「うん!」
 ハクラはクロハに言われた通り、倒れている人々を回復させると、二人は次なるアンノウンの居場所を目指して去った
 その直後のこと
 城の主であるトガツメヒメがどこからともなく現れた
「あれが鬼神かえ、なんとまぁ美しいものよのぉ。それにあの力、わらわをもってしても震えあがるほどじゃ。くわばらくわばら」
 自分の力ではおよそ理解のできないほど力を持った鬼神
 神から伝え聞いてはいたものの、彼女は関わらないが吉と考え、転がった人々を、家臣に命じてそれぞれの家へ帰れるよう手配した
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