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魔王の王44

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「あきらめちゃだめっすよ!」
 突然私の横から声がした
 この声、懐かしい気がする
「助けに来たっすよ! 愛しの白猫ちゃん!」
 とつぜんあらわれたのは、猫精霊、黒猫のクロだった
「精霊魔法、ニャンデトロ!!」
 黒い炎のようなものがアルセナにまとわりつく
「あぐぅ、この炎は・・・。くそ、消せない!」
 アルセナの体が燃え上がって行く
「もっと、もっとっす! もっと燃えろっす!」
 すごい、これが精霊の力
「ミアちゃん! 君もできるはずっす! 君には精霊の力だって宿ってるんすから!」
 猫妖怪、猫仙の力を持ってる私
 さらに精霊の力も持ってるってこと?
「もうその体は準備ができてるんす。ただ君がまだ気づいていないだけで」
 ちらりとアルセナを見る
 すると燃え上がっていた体から新しいアルセナが這い出てきた
 多分外殻を捨てて脱皮したんだ
 傷一つない綺麗なボディで笑みを浮かべているアルセナ
「ふふふ、危ないと思ったけど、こんな力も手に入れていたのね。ふふふ、いよいよもって世界のヒト族を全て私の食料にできそうだわ」
「させないっすよ。英霊猫召喚。リュウハミ!」
 クロが周囲から魔力を集めて何かが召喚される
「リュウハミ! 応じてくれてありがとう!」
「なに、可愛い子の頼みだからねぇ。さて、うちの可愛いクロやそこの猫っこをいじめてるのはお前か? わしはリュウハミ。邪竜を噛み砕いたかつての英霊よ」
 英、霊?
「リュウハミは猫族の大英雄っす。かつて暴れ回っていた邪竜を発った一匹で倒した最強の猫の一匹っす」
 リュウハミと呼ばれた茶虎柄の猫はキランと牙を輝かせてアルセナに対峙する
「噛術秘奥義、岩雅世」
 カチーンと牙と牙が打ち鳴らされると、アルセナの右腕が焼失した
「なっ!?」
 驚くアルセナ
「異裂」
 リュウハミが腕を振ると今度はアルセナの両足が消えた
「こんなもの! この程度で!」
 アルセナが再び脱皮すると、またも無傷の体が再生された
「ふむ、中々の再生能力だが、遅いな。竜遇」
 両腕を振ると、アルセナの首から下が消えた
「ああ、なぜ! 私は最強の力を手に入れてた! 魔神になれたのに! なんで!」
「ふん、邪竜の方がよっぽど強かったわい」
 リュウハミが歯を鳴らすと、アルセナが完全に消え去った
 すごい、あれほどの力を持ったアルセナを、こうも簡単に
「良かった、無事みたいっすねミアちゃん」
「ふむ、お前の思い猫か。しっかり掴んどきなさいよ」
「ありがとうっすリュウハミ! 次会うときは結婚式っす!」
「いや勝手に結婚決めないでよ。ま、まあ助かったけど」
「愛する愛しいミアちゃんのためっす!」
 クロが来てくれたおかげで事なきを得たけど、それにしても魔神、なんて強さなんだ
 これからも魔王を魔神にすることができるって言うなら、相当厳しい戦いになるかも
 私もクロのような力を手にいれなきゃ
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