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63 月曜日
しおりを挟む月曜日、いつも通り三毛猫さんと朝ご飯を食べて庭仕事をする。
グリアも一緒ならこちらも外にゲートを作っておかなくては。
ブランコを作った大きな木の近くに作ってみた。壁がなくても空間に作れた。
本当にドコでも(作れる)ドア……
改めて考えると……人間離れしてきたなぁ……
客室ではなく今作ったゲートの鍵を開けておくと
コン コン コン
「はーい。どうぞー」
ドアが開きオリバーとグリアがこちらに歩いてきた。
「こんにちは。トーカ」
相変わらずの美丈夫が優しく微笑む。
「こんにちは。いらっしゃいオリバー、グリア」
東屋へと案内しようと歩きだすと、熊さんとキツネさん達が遊びに来た。みんなでご飯にしよう。
天気が良くて気持ちいい。
オリバーが持って来てくれたランチを広げている間、熊さんとキツネさんとグリアは顔を寄せ会いご挨拶しているみたい。可愛い。
「オリバーは午前中何をしていたの?」
「朝の鍛練をして汗を流してから朝食を食べ、その後団員に稽古をつけたり騎乗訓練をした。午後からはノクト殿下が指揮を取ってくれる。休みを貰ったようなものだ。だから……その……トーカとゆっくり過ごすことができる……」
少し頬を染めていう可愛いオリバー…………本と地図、持って来たよね?
とりあえず微笑んでおこう。
それから熊さんとキツネさん達とグリアの果物と野菜を切って、三毛猫さんのご飯も用意してみんなでお昼ごはんにする。
オリバーが持って来てくれたサンドイッチやチーズやおしゃれサラダはどれも美味しくて大満足。
しかもデザートまで持って来てくれていたのでお茶を入れて一息つく。
ご飯を食べて片付けも済ませると、熊さんとキツネさん達とグリアは庭で遊び始めた。私も混ぜて欲しい。
三毛猫さんは近くで毛繕いをしていたけれど、しばらくすると庭で遊んでいるコ達に混ざって遊び始めた。
「ご馳走さまでした。オリバー、すごく美味しかったよ」
ありがとうと微笑むと、オリバーも微笑む。
ほのぼの…………
さて! そろそろと思ったけれど、初めてここに来たし一通り案内することにした。なんか気になっているみたいだし。
外にいるからまずは温室から。
やっぱりリライが咲いていることに驚いていた。植物の事はノシュカトがオリバーにたくさん話しているらしくて植物辞典無しでも結構お話ができた。
それから家に移動してきたけれどオリバーが大きいから家も家具も小さく見える。
1階を案内するついでに客室にあるゲートを見せておこうと思いドアを開けて中に入る。
頭に気を付けてと振り返ると……オリバーが入って来ない。
あっ! 部屋に二人っきりっていうアレかな?
私は気にしないしドアを開けたままでいいからどうぞというとようやく入って来た。
ゲートを見せて2階へ……と思ったけれど寝室と作業部屋しかないからと言うだけにしておいた。
オリバーがジッと階段を見ているけれど本当に何もないからなぁ。
「どこでお勉強しようか?」
「トーカがよければリビングではどうだろう?」
という訳で、リビングのソファーに並んで座る。隣の方が教えやすいって言うから……
本は初等部くらいのコ達が読む歴史書でお城の図書館で貸出しができるものらしいから借りることにして、地図を広げる。
この国の周辺、隣接している国までの詳しい地図で取りあえずこの範囲から覚えていこう。
今いるリアザイア王国は3方が他国と隣接していて1方は海だった。
東にベゼドラ王国
西にレクラス王国
北にザイダイバ王国
南に海
海がある。行ってみたい!
東のベゼドラは小麦やお米作りが盛んらしい。
西のレクラス綿や麻、絹織物が有名。
北のザイダイバは穀物と豆作りをしているらしいけれど土が良くないのか輸出できる年と出来ない年とまちまちらしい。
そのため、災害時や飢饉、病の流行など人手が欲しい所に部隊など人材を派遣して国外からのお金の流れを作っている。
リアザイアはだいたいの作物は育つけれど育てられる果物の種類が一番多いらしい。
海にも面しているけれどなかなか新鮮なまま内陸に運ぶのは難しいらしく、干物や燻製など手を加えて長持ちさせられる物だけ王都では食べられるらしい。
東のベゼドラと西のレクラスも海に面している土地はあるけれど海までは山を越え切り立った崖を降りなければならないようでわざわざ行く者はいないらしい。
こうしてみるとリアザイア王国は恵まれている。
戦争はないのか聞いてみると小さないざこざを除けば100年ほどの間は無いとのこと。
ただ、やはり北のザイダイバ王国とは衝突が多いようだ。
私が住んでいる山を越え、さらに幾つか山を越えるとザイダイバ王国との国境があり、その近くに小さな町がある。
実際には修道院送りだが国外追放と言われている罰を下された貴族を受け入れている教会がその町にあるようだ。
そこの生活に耐えられなくなった元貴族達は隣の国ザイダイバ王国に逃亡するみたい。
高額な罰金を言い渡され、全てを売り払ってそのお金を持って逃げた貴族もおそらくそちらに流れているのかもしれない。
貴族だったらこの国の中枢の情報も持っていそうだけれど、そんな人達に国外逃亡されたらまずいんじゃない? と聞いたら、それ程の貴族ならば地下牢に閉じ込めておくけれど滅多に無いことらしい。
オリバーは教えるのがとても上手。
「オリバー、ありがとう。とてもわかりやすいよ」
照れている。可愛い。
ご令嬢方に教えたい。こんなに逞しくて頭も顔もいいハイスペックな男性がいることを。何で気づかないかなぁ?
お勉強はそろそろ終わりにして、庭にいるみんなの様子を見に行く。
フワフワが庭を駆け回っている……
私も混ぜて! とグリアにオリバーと一緒に乗せてもらって、一頭と一人の男性の素晴らしい筋肉を感じながら庭を一周する。
こうしてオリバーとは穏やかな時間を過ごせた。
応援ありがとうございます!
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