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ナカル防衛戦
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「なぁに、らしくない事を言ってんだ、やるぜ王子」
「だから、それはやめろって」
そんなやり取りをすると2人は、自然と笑い合いながらその時を待った。
村の出入口の先にあるのは、草原と森のばかりの地平線に堕ちる西日によって濃いオレンジに染まっていた。
徐々に明暗の差を無くしていく中でユラリと動く小石の様な影が現れた。
「来たな」
ゆっくりと徐々に大きくなっていく影を見ながらクリフは、呟くと焚き火に近づき、体を半身にしながら弓を構える。
距離は、まだ数百mは、先、弓の攻撃は、届かない。
クリフは、小さな深呼吸をしながら集中力を高めていく。
気負いは、していない。ある程度の力抜きも出来ている。
一方の村人達は、離れた距離からも分かるぐらいに戸惑い、中には、自分を奮い立たせる為か気合いの声を上げている者もいる。
ホルンの鳴き声が聞こえ、ゼンは視線上げると旋回しながら近づいてくるのが見えた。
ホルンと目が合い、片目だけを繋げるとゼンは、左眼だけを閉じた。
オレンジの光が徐々に黒い闇に染まっていく草原が見え、黒い闇にユラユラと揺れる様にこちらに向かってくる3つの影が見えた。
先頭に1頭、後方に2頭の三角形の位置取りをしている。
「クリフ、真ん中のヤツの足止め出来るか?」
「モノは、試しでたげど恐らく」
「なら、そいつの足止めを、恐らくそれで出端は挫けるかも」
ゼンの言葉にクリフの眼が光を持った。
クリフのルンが周囲のマナを集め始める。
霧の様な光が胸から波の様に広がり全身を覆った。
地響きが近づく。それと同時にゼンもまた集中し、ルン(魂の力)をマナ(生命の息吹)へと繋げた。
腰から刀を抜き。刀身に翡翠色の霧が纏われる。
元素は、風。
衝撃波などを産むものだ。
本来、風の元素は、体内へと送り、対象が敵ならばを中から壊す事を主体とし、味方ならばその身体能力を補強する役割を主にしている。
だが、ゼンの使い方は、それとは違っていた。
黒い影が闇から焚き火の灯りでその姿を見せる。
槍の先端の様な角が2本頭から生え、体長は、3m弱。横幅4m程ありそうなその茶色い巨体は、川の横に寝そべる大きな岩の様で余りにも大きくその姿にゼンは、小さなため息を漏らした。
ゼン達との距離が200mぐらいに差し掛かった時だった。
先頭を歩く1頭が一瞬体を低くしたかと思うと一気に駆け始めた。
その動きに合わせて、クリフは、弦を引いた。
矢は、無い、だが矢があるはずだった空間に火の線が走り、それが弦を持つ手に差し掛かると同時にクリフは、弦を離した。
直線に近い曲線を描きながら放たれた火の線は、先頭を走る茶色い巨体の左前脚上に刺さると刺さった場所から燃え上がり始めた。
しかし、その燃え上がりは、一部しか燃やす事しか出来ず。それを確認したクリフは、二の矢、三の矢と続けて火の線を放った。
右足上、左肩と刺さり、左肩に刺さった時に堪えきれなかったのか茶色い巨体は、頭から地面へと落ちるとその左に旋回しながらその体を地面に擦り始めた。
出端を挫いた。
ゼンがそう思った矢先、その後に続く二つの巨体は、左右にわかれながらカーブを描きながら向かってきた。
「左を頼む、俺は、右を」
ゼンは、そう言うと、右のカーブして迫る巨体へ駆け出した。
ゼンの動きを見てか、巨体もまたカーブを描きながらゼンに向かい突進をしてきている。
ゼンは、駆けながら焚き火に風を纏った刀身を潜らせると風の力で刀身に火が纏われた。
迫る巨体の速度と距離を測りながらゼンは、身を低くすると巨体との距離が数十mに差し掛かった時に具足に風の力を纏わせて高く飛んだ。
高さにして3mぐらいだが巨体をスレスレで躱し、その背中に切っ先を滑らした。
グヌォォォォォ!!
牛とは、思えない悲鳴を上げながら、巨体は前足を上げ体を旋回させ、着地したゼンの背中目掛けて走り出してきていた。
距離は、数十mから数mへと変わる寸前にゼンは、身を低くしながら横へ滑る様にその突進を躱した。
尚をも巨体は、走りながら旋回するとゼンへと迫る。
切りつけた背中から煙が上がっているが燃えている様子は、なく。恐らく消えたのだとゼンは、判断すると次の場所を探しながら突進を横へのスライドで躱す。
多少のダメージがあるものの相手の体力は、まだまだ余裕がある。
ゼンは、そう判断しながら巨体を隈無く観察をした。
ゼンが身体能力の補強の風ならば、明らかに相手は、身体強化の水のマナを纏っている。その力で肥大し硬質化した体には、いくら風のマナで補強したとはいえ、刃は通りずらく致命の一撃を入れられない。
ウルテアは、どうやってアイツを追い返す事が出来た?
確かにウルテアは、女性にしては屈強な体をしていた。だがそれでもこの牛を刃物を使って追い出すにしては、余りにも心許ない筈。
下手をすればあの突進でやられてた可能性もあるだろう。
「だから、それはやめろって」
そんなやり取りをすると2人は、自然と笑い合いながらその時を待った。
村の出入口の先にあるのは、草原と森のばかりの地平線に堕ちる西日によって濃いオレンジに染まっていた。
徐々に明暗の差を無くしていく中でユラリと動く小石の様な影が現れた。
「来たな」
ゆっくりと徐々に大きくなっていく影を見ながらクリフは、呟くと焚き火に近づき、体を半身にしながら弓を構える。
距離は、まだ数百mは、先、弓の攻撃は、届かない。
クリフは、小さな深呼吸をしながら集中力を高めていく。
気負いは、していない。ある程度の力抜きも出来ている。
一方の村人達は、離れた距離からも分かるぐらいに戸惑い、中には、自分を奮い立たせる為か気合いの声を上げている者もいる。
ホルンの鳴き声が聞こえ、ゼンは視線上げると旋回しながら近づいてくるのが見えた。
ホルンと目が合い、片目だけを繋げるとゼンは、左眼だけを閉じた。
オレンジの光が徐々に黒い闇に染まっていく草原が見え、黒い闇にユラユラと揺れる様にこちらに向かってくる3つの影が見えた。
先頭に1頭、後方に2頭の三角形の位置取りをしている。
「クリフ、真ん中のヤツの足止め出来るか?」
「モノは、試しでたげど恐らく」
「なら、そいつの足止めを、恐らくそれで出端は挫けるかも」
ゼンの言葉にクリフの眼が光を持った。
クリフのルンが周囲のマナを集め始める。
霧の様な光が胸から波の様に広がり全身を覆った。
地響きが近づく。それと同時にゼンもまた集中し、ルン(魂の力)をマナ(生命の息吹)へと繋げた。
腰から刀を抜き。刀身に翡翠色の霧が纏われる。
元素は、風。
衝撃波などを産むものだ。
本来、風の元素は、体内へと送り、対象が敵ならばを中から壊す事を主体とし、味方ならばその身体能力を補強する役割を主にしている。
だが、ゼンの使い方は、それとは違っていた。
黒い影が闇から焚き火の灯りでその姿を見せる。
槍の先端の様な角が2本頭から生え、体長は、3m弱。横幅4m程ありそうなその茶色い巨体は、川の横に寝そべる大きな岩の様で余りにも大きくその姿にゼンは、小さなため息を漏らした。
ゼン達との距離が200mぐらいに差し掛かった時だった。
先頭を歩く1頭が一瞬体を低くしたかと思うと一気に駆け始めた。
その動きに合わせて、クリフは、弦を引いた。
矢は、無い、だが矢があるはずだった空間に火の線が走り、それが弦を持つ手に差し掛かると同時にクリフは、弦を離した。
直線に近い曲線を描きながら放たれた火の線は、先頭を走る茶色い巨体の左前脚上に刺さると刺さった場所から燃え上がり始めた。
しかし、その燃え上がりは、一部しか燃やす事しか出来ず。それを確認したクリフは、二の矢、三の矢と続けて火の線を放った。
右足上、左肩と刺さり、左肩に刺さった時に堪えきれなかったのか茶色い巨体は、頭から地面へと落ちるとその左に旋回しながらその体を地面に擦り始めた。
出端を挫いた。
ゼンがそう思った矢先、その後に続く二つの巨体は、左右にわかれながらカーブを描きながら向かってきた。
「左を頼む、俺は、右を」
ゼンは、そう言うと、右のカーブして迫る巨体へ駆け出した。
ゼンの動きを見てか、巨体もまたカーブを描きながらゼンに向かい突進をしてきている。
ゼンは、駆けながら焚き火に風を纏った刀身を潜らせると風の力で刀身に火が纏われた。
迫る巨体の速度と距離を測りながらゼンは、身を低くすると巨体との距離が数十mに差し掛かった時に具足に風の力を纏わせて高く飛んだ。
高さにして3mぐらいだが巨体をスレスレで躱し、その背中に切っ先を滑らした。
グヌォォォォォ!!
牛とは、思えない悲鳴を上げながら、巨体は前足を上げ体を旋回させ、着地したゼンの背中目掛けて走り出してきていた。
距離は、数十mから数mへと変わる寸前にゼンは、身を低くしながら横へ滑る様にその突進を躱した。
尚をも巨体は、走りながら旋回するとゼンへと迫る。
切りつけた背中から煙が上がっているが燃えている様子は、なく。恐らく消えたのだとゼンは、判断すると次の場所を探しながら突進を横へのスライドで躱す。
多少のダメージがあるものの相手の体力は、まだまだ余裕がある。
ゼンは、そう判断しながら巨体を隈無く観察をした。
ゼンが身体能力の補強の風ならば、明らかに相手は、身体強化の水のマナを纏っている。その力で肥大し硬質化した体には、いくら風のマナで補強したとはいえ、刃は通りずらく致命の一撃を入れられない。
ウルテアは、どうやってアイツを追い返す事が出来た?
確かにウルテアは、女性にしては屈強な体をしていた。だがそれでもこの牛を刃物を使って追い出すにしては、余りにも心許ない筈。
下手をすればあの突進でやられてた可能性もあるだろう。
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