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ナカル防衛戦
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ゼンの感じるマナが変わっていく。
先程までが穏やかな川の様な流れだったのに対して今は、滝壺の様に荒々しくそして壮大な流れと変わっている。
自然とゼン達の眼が流れの大元へと向けられた。
暗い森の中に仄かに白く光るモノが見える。
四足歩行でゆったりと優雅にコチラへ向かっているのが見えた。
妙な空間だった。
明らかにゆったりと歩いている筈のに誰もそれから目を離すことが出来ず身動き取れずにいた。
近づくに連れて仄かに白い光は輪郭を帯びてくる。
さっきまで戦っていた巨体とは、違い細身に見えるが頭はゼンの身長より高く、滑らかな白い毛にゆったりとした顔立ち、額にはオレンジの鉱石が埋め込まれ、青い瞳をもった白狼がゆったりとこちらに向かい歩いていた。
「アステマラ……」
フト、ゼンの口走った名前に白狼が反応してその眼を向けた。
クリフは、白狼、アステマラのその反応に危機感を抱き、咄嗟に動こうとするとそれをゼンの手が制止した。
アステマラは、ゆっくりとゼンに近づくと鼻先をゼンの顔へ近付けた。
何かを探られている?分からないがゼンのルンが体内で早くなっているだけは、わかった。
敵意も殺意も感じない。
どちからと言えば興味と好奇心に感覚をもっている。ゼンは、アステマラの眼を観て自然とそう感じていた。
ズルリ。
擦れる音と共に嫌な風が前方、アステマラの後ろから感じ、視線を横に向けると剣士が今にもアステマラに飛びかかろうとしていた。
ゼンは、一息ついて銃口を剣士に向ける。
《大丈夫だ》
頭の中に落ち着いた女性の声が響き、その声に気を取られている間に剣士の体が滑る様にアステマラへと迫っていく。
剣の切っ先が素早く走るがそれよりも早く剣士の体が宙を舞った。
それと同時に突風が吹き荒れる、ゼンは、眼を細めながらもアステマラから視線を外す事が出来なかった。
剣士の体は、悲鳴と共に地面に叩きつけられそのまま、痙攣しながら起き上がる事はなかった。
今の声は?それにアイツ…死んだのか?
ゼンは、少しだけアステマラから視線を外し倒れている剣士に目を向けながら次に先程まで近くに居た魔術師達にも目を向けたが明らかに戦意を喪失し、その場にヘタレこんでしまっていた。
魔術師ならそうだろう。
明らかにこのルンとそしてそれを取り巻くマナの性質は、桁違いだ。
それを見る事、感じる事が出来る魔術師達からすればそれがどれだけ不自然で恐ろしい事か何よりも理解してしまうのだ。
歩く自然、災害、世界の渦。様々な呼び名で呼ばれるモノがいる。多くの文献に残っているがそれを直に眼にした者は、数少なく多くの謎にも包まれていた。
そんな存在が今まさに自分の目の前にいる。
ゼンは、その事実が飲み込めず尚且つ何が目的で現れたのか全く理解が及ばなかった。
《名は、ゼンと言うのか。お前面白い魂をしているな》
再び頭の中に女性の声が響き、それがアステマラ理解するのにそう時間は、かからなかった。
「俺の記憶を読んでるんですか?」
そう言うと、ゆっくりとアステマラは、首を横に振り、静かに空を見上げた。
《風の匂いが変わった。悪い匂いじゃない、だからここに来た。そしてその風の元は、お前だった》
記憶を読んでないなら何を…?
そう思いながらフト視線の端に泳ぐ煙に目がいった。
白く発光した霧がユラリと泳ぐ様に空へ上り消えていく。
《それもまたルンだ》
ゼンの疑問に応える様にアステマラの声が頭の中で響き、ゼンはその応えに感心しながら気づくとその霧に触れていた。
深い森の奥、空へ届きそうなぐらい大きな樹木が立ち並びその中心には、石柱で囲われた円形の広場が見えた。
石柱の隅には、蔦や苔などに覆われているがその広場の中心は整備されている。
そして、中心で腰をかがめながら掃除をしている髪の長い人物が見えた。
体格からしたら男性だろう。ローブの様な服に身を包みながら、広場の中心地を清掃していた。
ふと、コチラの視線に気づいたのだろうか振りいた。
壮年の男性、目は大きく、口周りには、髭を蓄えていた。
『アステマラ様』
そう告げながら笑顔を見せるとゆっくりと頭を下げた。
長い髪が揺れ、隙間からそっと長い耳の先端が見えた。
「エルフ?」
ゼンがそう言うと現実世界へと引き戻された。
今のは…
ゼンが戸惑っているとアステマラの鼻先がゆっくりとゼンの額に当てられた。
《今のは、私に起きた事、過去の出来事。これも見えるのなら、やはり面白い者だ》
そう告げるとアステマラは、再び天を仰ぐと周囲のマナが波の様に揺れた。
《縁が出来たな、またいずれ会おう、面白き者よ、彼の地で待っている》
一陣の風が吹き、ゼンはその勢いに負けて目を閉じてしまった。
再び目を開けるとそこには、先程までの白狼は居らず、腰を抜かした魔術師2人と苦悶の声を上げながら這いずり回る剣士とクリフの姿しか無かった。
先程までが穏やかな川の様な流れだったのに対して今は、滝壺の様に荒々しくそして壮大な流れと変わっている。
自然とゼン達の眼が流れの大元へと向けられた。
暗い森の中に仄かに白く光るモノが見える。
四足歩行でゆったりと優雅にコチラへ向かっているのが見えた。
妙な空間だった。
明らかにゆったりと歩いている筈のに誰もそれから目を離すことが出来ず身動き取れずにいた。
近づくに連れて仄かに白い光は輪郭を帯びてくる。
さっきまで戦っていた巨体とは、違い細身に見えるが頭はゼンの身長より高く、滑らかな白い毛にゆったりとした顔立ち、額にはオレンジの鉱石が埋め込まれ、青い瞳をもった白狼がゆったりとこちらに向かい歩いていた。
「アステマラ……」
フト、ゼンの口走った名前に白狼が反応してその眼を向けた。
クリフは、白狼、アステマラのその反応に危機感を抱き、咄嗟に動こうとするとそれをゼンの手が制止した。
アステマラは、ゆっくりとゼンに近づくと鼻先をゼンの顔へ近付けた。
何かを探られている?分からないがゼンのルンが体内で早くなっているだけは、わかった。
敵意も殺意も感じない。
どちからと言えば興味と好奇心に感覚をもっている。ゼンは、アステマラの眼を観て自然とそう感じていた。
ズルリ。
擦れる音と共に嫌な風が前方、アステマラの後ろから感じ、視線を横に向けると剣士が今にもアステマラに飛びかかろうとしていた。
ゼンは、一息ついて銃口を剣士に向ける。
《大丈夫だ》
頭の中に落ち着いた女性の声が響き、その声に気を取られている間に剣士の体が滑る様にアステマラへと迫っていく。
剣の切っ先が素早く走るがそれよりも早く剣士の体が宙を舞った。
それと同時に突風が吹き荒れる、ゼンは、眼を細めながらもアステマラから視線を外す事が出来なかった。
剣士の体は、悲鳴と共に地面に叩きつけられそのまま、痙攣しながら起き上がる事はなかった。
今の声は?それにアイツ…死んだのか?
ゼンは、少しだけアステマラから視線を外し倒れている剣士に目を向けながら次に先程まで近くに居た魔術師達にも目を向けたが明らかに戦意を喪失し、その場にヘタレこんでしまっていた。
魔術師ならそうだろう。
明らかにこのルンとそしてそれを取り巻くマナの性質は、桁違いだ。
それを見る事、感じる事が出来る魔術師達からすればそれがどれだけ不自然で恐ろしい事か何よりも理解してしまうのだ。
歩く自然、災害、世界の渦。様々な呼び名で呼ばれるモノがいる。多くの文献に残っているがそれを直に眼にした者は、数少なく多くの謎にも包まれていた。
そんな存在が今まさに自分の目の前にいる。
ゼンは、その事実が飲み込めず尚且つ何が目的で現れたのか全く理解が及ばなかった。
《名は、ゼンと言うのか。お前面白い魂をしているな》
再び頭の中に女性の声が響き、それがアステマラ理解するのにそう時間は、かからなかった。
「俺の記憶を読んでるんですか?」
そう言うと、ゆっくりとアステマラは、首を横に振り、静かに空を見上げた。
《風の匂いが変わった。悪い匂いじゃない、だからここに来た。そしてその風の元は、お前だった》
記憶を読んでないなら何を…?
そう思いながらフト視線の端に泳ぐ煙に目がいった。
白く発光した霧がユラリと泳ぐ様に空へ上り消えていく。
《それもまたルンだ》
ゼンの疑問に応える様にアステマラの声が頭の中で響き、ゼンはその応えに感心しながら気づくとその霧に触れていた。
深い森の奥、空へ届きそうなぐらい大きな樹木が立ち並びその中心には、石柱で囲われた円形の広場が見えた。
石柱の隅には、蔦や苔などに覆われているがその広場の中心は整備されている。
そして、中心で腰をかがめながら掃除をしている髪の長い人物が見えた。
体格からしたら男性だろう。ローブの様な服に身を包みながら、広場の中心地を清掃していた。
ふと、コチラの視線に気づいたのだろうか振りいた。
壮年の男性、目は大きく、口周りには、髭を蓄えていた。
『アステマラ様』
そう告げながら笑顔を見せるとゆっくりと頭を下げた。
長い髪が揺れ、隙間からそっと長い耳の先端が見えた。
「エルフ?」
ゼンがそう言うと現実世界へと引き戻された。
今のは…
ゼンが戸惑っているとアステマラの鼻先がゆっくりとゼンの額に当てられた。
《今のは、私に起きた事、過去の出来事。これも見えるのなら、やはり面白い者だ》
そう告げるとアステマラは、再び天を仰ぐと周囲のマナが波の様に揺れた。
《縁が出来たな、またいずれ会おう、面白き者よ、彼の地で待っている》
一陣の風が吹き、ゼンはその勢いに負けて目を閉じてしまった。
再び目を開けるとそこには、先程までの白狼は居らず、腰を抜かした魔術師2人と苦悶の声を上げながら這いずり回る剣士とクリフの姿しか無かった。
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