25 / 48
アシノ領主のお仕事【サザレ村へ】
3
しおりを挟む
そんな話をしていると風景は、草原から徐々に木々に覆われる森へと変わっていた。
「あっなんか見えてきましたね~」
サウラの間の抜けた声と共に指差し。その先には高さ6mぐらいの石の壁が道を閉じる様に立ちはだかっていた。
「あれか?」
ゼンは、そう聞くとバトカンは、大きく頷いた。
平たい石で積まれた壁は、堂々とした風格で佇み、中央に大きな観音開きの木の門が閉ざされていた。
バトカンは馬車を降りると木の門の立てかけていた片手用の木の鎚を手に取ると豪快に門を叩き始めた。
「帰ったぞ!!!」
その言葉と共に何回か叩くと門の片方が歪な音を鳴らしながら開き、そこに屈強な男二人がひょっこりと顔を出した。
「村長!…その…食糧は?」
剃髪の男が見た目に似つかわしくない声と表情で尋ね、バトカンは馬車を指差した。
「あの馬車の中にある。それとあの方々は領主様一行だ、中に入って頂く為に門を早く開けよ!」
バトカンがそう告げると男達は慌てて門を力一杯引っ張り出した。
地鳴りの様な低音を森の中に響かせながら門が開き、ゼン達はゆっくりとサザレ村の中へ入っていった。
積み石の家が何棟も並び、その奥には岩壁開けられた巨大な洞窟が口を大きく開けている。
洞窟の周りには、発掘した石の山が幾つも出来ていて、ゼンはそれを見ながら声を上げてしまった。
方解石に石英、それに石炭に山砂、それに量も大量にある。
ゼンが欲しかった資材が所狭しと並び放置されているのだ。
ゼンは、馬を降りるとおもちゃ屋ではしゃぐ子供の様に石の山へと駆け寄り、一つ一つ手に取り石と石をぶつけながら確認して始めた。
「おい、ゼン。はしゃぐなよ」
そんなゼンに呆れた声をかけたのは、ガルダんだがゼンは、そんなガルダンに大してニヤケながら振り向くとひとつの石を掲げた。
断面が翡翠色に光るその石を見るとガルダンも目の色をかけてゼンに向かい駆け出した。
「おいおいおい!こりゃミスリル鉱石じゃねぇか!それも翡翠ってお前!」
「ヤバいでしょ親方!これはヤバイよ!!」
いつの間にか2人て子供の様にはしゃぎながら石の山を漁り始めたがそれを諌めたのは、ウルテアの大きな咳払いだった。
「あの、お二方?ここに何をしに来たんでしたっけ?」
そう言われてゼンの手が止まり、そっと振り返ると腕を組んで仁王立ちをするウルテアとそんな2人を見ながら何かを理解した様に頷くサウラ、そしてどうしたものかと戸惑うバトカンとサザレ村の一行達の視線が注がれていた。
「すまん、とりあえず…話をしようか、村の被害とか色々…」
ゼンがそう言うとバトカンの家へとゼン案内された。
ガルダンは、そんな様子など気にもかけることなかったので石の山に置いていった。
「それで、まずはあの石の山について聞きたいのだが」
積み石の平屋、広さは10畳程度の広間に同じぐらいのサイズの寝室が二つある家だった。
広間の中央には囲炉裏が置かれ、それを囲む様に皆が座るとゼンは早速口火を切った。
「あれは、使えない石ですので、もし宜しければお持ち帰り下さい」
バトカンのその応えにゼンは立ち上がり「よし!!」っと大声を張り上げると再びウルテアの咳払いが入った。
「ゼン様、今はそれよりも熊の話だと思うのですが?」
ゼンはそう言われると肩を竦めてそっと周りを見渡した。
目に止まったのは壁に掛けられた鉄のツルハシにハンマーだった。
「ここに溶鉱炉何かもあるのか?」
「溶鉱炉?」
「鉄を溶かす窯と言うべきかな?」
「あぁ、ありますよ。鉄あっても使えないと生きていけないので…」
「だが製鉄技術は、無さそうだな。あのツルハシ結構脆いだろ?」
そう言われるとバトカンは苦笑いを零しながら肩を落とした。
「ゼン様?」
ウルテアがキッと睨みつけゼンは少しだけ背筋を伸ばした。
もしかしたらセリーナよりウルテアの方が怖いかも…
「いや、多分ここに2、3日は、滞在するだろうからその間に親方に少しだけでも製鉄の方法を教わった方が良いと思ってな」
ゼンがそう言うとウルテアの片眉が上がる。
「なんの為にですか?それは本当に必要ですか?」
「そりゃ勿論、ここからは取引の話にもなるからな」
ゼンがそう言うとウルテアとバトカンの表情が変わった。
「バトカン、お前の村の蓄えたあの石の山と我々の食糧で物々交換しないか?」
「何故、急にそんな事を…我々にしては嬉しいお話なのですが…」
唐突のゼンの申し出にバトカンは戸惑いながら聞くとゼンはゆっくりとバトカンを見つめた。
「お前達は、潤沢な食糧が欲しい、俺達は、石材の資源が欲しいっとなればそれを物々交換すればいい、いずれはお前達にも商売というものを覚えてもらうが今はそっちの方が楽だろう」
「しかし、それでは我々の食糧が枯渇してしまいます」
ウルテアがそっと口を挟む。
その言葉にゼンはゆっくりと肩を竦める。
「そこは、金で解決する。今もセリーナ達がテンロンへ食糧の買い出しをしている。暫くはそれで補うがあの村は、いずれ食糧には困らない村になる」
「なぜそう言い切れるのです?」
「お前達は、あの村やこの村以外を知らんかもしれんがあの村はかなりの肥沃な大地で出来ている、それにあの森、あそこには沢山の食糧の種が眠っているし、それに水だ。農作物や酪農なんかの元もなる水もまた素晴らしくいい」
「確かにあの村は多少他の村より食糧は、取れるでしょう、ですがそれにも限界があります」
「いんや、その限界は本当の限界じゃない」
「どういう意味ですか?」
「言葉の通りさ、農地はこれから拡大するし、イワンと約束した牛舎の建築も待っている。それらを揃えたら以前より何倍もの作物が取れる」
ゼンのその言葉にウルテアは困惑の表情を浮かべたまま黙ってしまった。
多分想像がつかないのだろう。
だが、ゼンのこの1ヶ月の働きがその言葉を無下に否定出来ないものだと言うことも何処かで理解しているのだろうとゼンは、読み取っていた。
「あっなんか見えてきましたね~」
サウラの間の抜けた声と共に指差し。その先には高さ6mぐらいの石の壁が道を閉じる様に立ちはだかっていた。
「あれか?」
ゼンは、そう聞くとバトカンは、大きく頷いた。
平たい石で積まれた壁は、堂々とした風格で佇み、中央に大きな観音開きの木の門が閉ざされていた。
バトカンは馬車を降りると木の門の立てかけていた片手用の木の鎚を手に取ると豪快に門を叩き始めた。
「帰ったぞ!!!」
その言葉と共に何回か叩くと門の片方が歪な音を鳴らしながら開き、そこに屈強な男二人がひょっこりと顔を出した。
「村長!…その…食糧は?」
剃髪の男が見た目に似つかわしくない声と表情で尋ね、バトカンは馬車を指差した。
「あの馬車の中にある。それとあの方々は領主様一行だ、中に入って頂く為に門を早く開けよ!」
バトカンがそう告げると男達は慌てて門を力一杯引っ張り出した。
地鳴りの様な低音を森の中に響かせながら門が開き、ゼン達はゆっくりとサザレ村の中へ入っていった。
積み石の家が何棟も並び、その奥には岩壁開けられた巨大な洞窟が口を大きく開けている。
洞窟の周りには、発掘した石の山が幾つも出来ていて、ゼンはそれを見ながら声を上げてしまった。
方解石に石英、それに石炭に山砂、それに量も大量にある。
ゼンが欲しかった資材が所狭しと並び放置されているのだ。
ゼンは、馬を降りるとおもちゃ屋ではしゃぐ子供の様に石の山へと駆け寄り、一つ一つ手に取り石と石をぶつけながら確認して始めた。
「おい、ゼン。はしゃぐなよ」
そんなゼンに呆れた声をかけたのは、ガルダんだがゼンは、そんなガルダンに大してニヤケながら振り向くとひとつの石を掲げた。
断面が翡翠色に光るその石を見るとガルダンも目の色をかけてゼンに向かい駆け出した。
「おいおいおい!こりゃミスリル鉱石じゃねぇか!それも翡翠ってお前!」
「ヤバいでしょ親方!これはヤバイよ!!」
いつの間にか2人て子供の様にはしゃぎながら石の山を漁り始めたがそれを諌めたのは、ウルテアの大きな咳払いだった。
「あの、お二方?ここに何をしに来たんでしたっけ?」
そう言われてゼンの手が止まり、そっと振り返ると腕を組んで仁王立ちをするウルテアとそんな2人を見ながら何かを理解した様に頷くサウラ、そしてどうしたものかと戸惑うバトカンとサザレ村の一行達の視線が注がれていた。
「すまん、とりあえず…話をしようか、村の被害とか色々…」
ゼンがそう言うとバトカンの家へとゼン案内された。
ガルダンは、そんな様子など気にもかけることなかったので石の山に置いていった。
「それで、まずはあの石の山について聞きたいのだが」
積み石の平屋、広さは10畳程度の広間に同じぐらいのサイズの寝室が二つある家だった。
広間の中央には囲炉裏が置かれ、それを囲む様に皆が座るとゼンは早速口火を切った。
「あれは、使えない石ですので、もし宜しければお持ち帰り下さい」
バトカンのその応えにゼンは立ち上がり「よし!!」っと大声を張り上げると再びウルテアの咳払いが入った。
「ゼン様、今はそれよりも熊の話だと思うのですが?」
ゼンはそう言われると肩を竦めてそっと周りを見渡した。
目に止まったのは壁に掛けられた鉄のツルハシにハンマーだった。
「ここに溶鉱炉何かもあるのか?」
「溶鉱炉?」
「鉄を溶かす窯と言うべきかな?」
「あぁ、ありますよ。鉄あっても使えないと生きていけないので…」
「だが製鉄技術は、無さそうだな。あのツルハシ結構脆いだろ?」
そう言われるとバトカンは苦笑いを零しながら肩を落とした。
「ゼン様?」
ウルテアがキッと睨みつけゼンは少しだけ背筋を伸ばした。
もしかしたらセリーナよりウルテアの方が怖いかも…
「いや、多分ここに2、3日は、滞在するだろうからその間に親方に少しだけでも製鉄の方法を教わった方が良いと思ってな」
ゼンがそう言うとウルテアの片眉が上がる。
「なんの為にですか?それは本当に必要ですか?」
「そりゃ勿論、ここからは取引の話にもなるからな」
ゼンがそう言うとウルテアとバトカンの表情が変わった。
「バトカン、お前の村の蓄えたあの石の山と我々の食糧で物々交換しないか?」
「何故、急にそんな事を…我々にしては嬉しいお話なのですが…」
唐突のゼンの申し出にバトカンは戸惑いながら聞くとゼンはゆっくりとバトカンを見つめた。
「お前達は、潤沢な食糧が欲しい、俺達は、石材の資源が欲しいっとなればそれを物々交換すればいい、いずれはお前達にも商売というものを覚えてもらうが今はそっちの方が楽だろう」
「しかし、それでは我々の食糧が枯渇してしまいます」
ウルテアがそっと口を挟む。
その言葉にゼンはゆっくりと肩を竦める。
「そこは、金で解決する。今もセリーナ達がテンロンへ食糧の買い出しをしている。暫くはそれで補うがあの村は、いずれ食糧には困らない村になる」
「なぜそう言い切れるのです?」
「お前達は、あの村やこの村以外を知らんかもしれんがあの村はかなりの肥沃な大地で出来ている、それにあの森、あそこには沢山の食糧の種が眠っているし、それに水だ。農作物や酪農なんかの元もなる水もまた素晴らしくいい」
「確かにあの村は多少他の村より食糧は、取れるでしょう、ですがそれにも限界があります」
「いんや、その限界は本当の限界じゃない」
「どういう意味ですか?」
「言葉の通りさ、農地はこれから拡大するし、イワンと約束した牛舎の建築も待っている。それらを揃えたら以前より何倍もの作物が取れる」
ゼンのその言葉にウルテアは困惑の表情を浮かべたまま黙ってしまった。
多分想像がつかないのだろう。
だが、ゼンのこの1ヶ月の働きがその言葉を無下に否定出来ないものだと言うことも何処かで理解しているのだろうとゼンは、読み取っていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる