オアシスの番人事情

前世が蛍の人

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月の加護を持っている…らしい

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眩しさにうっすらと目を開ける。
窓から太陽の光が部屋の中まで照らしていた。この世界に時計が無いから正確な時間が分からないけど、朝じゃないかと思う。

「ん~~っ、よく寝た。」
ぐっすり寝たからか、清々しい朝を迎えられた。

『よく寝てたな。』

「うわぁっ、びっくりした…。
居たなら声かけてくれればいいのに。」

『起きたての奴にどうしろというんだ?これでも見計らったんだぞ。』
どうやら寝ずに守ってくれていたらしい。
寝なくても平気か聞くと基本的に睡眠欲求が無く眠くならないんだとか。
アークは大事な話があるといい退室、その後強制的に召し使いが「御召し物を…」と介入してきて既に精神が折れかけている。

『早速だか、おまえ達はこの部屋から出ろ。許可なくこの部屋に入ることを禁ずる。』

「畏まりました、主様の仰せのままに。」
召し使い達は綺麗なお辞儀をし部屋を退室。
残された自分はアークの言葉を待つ。
『トイは昨夜の出来事を覚えているか?』

「昨夜…?
何かあった?」

『そうか。
ならば先に昨夜の出来事を話すとしよう。』
アークは昨夜のトイがまるで別人の様な姿でベッドからずり落ちていたこと、喉の乾きと体が動かせないことを訴えていたと伝える。
しかし日が昇ると何事もなかったようにトイが起きだしたのを見て核心した…と。
『太陽が昇り月が沈めば元の姿に戻る…つまりトイ、お前には月の加護があり何らかの影響を受けている。』

「それってまた夜になったら自分が別人の様な姿になる?
それじゃ自分が女だって事がバレちゃうじゃん。」

『夜…というより月が出たらの話だ。
月が地上を照らす間が一番力を発揮する。俺の加護を消す程の威力をな。』
通常、複数の加護を持っていても互いが補って能力を発揮するが加護を打ち消すとあう事例は聞いたことがないそうだ。
『このままここにいれば確実にこの世界に引きずり込んだ奴に見つかるだろう、ならばここよりも安全な場所へ行くべきだ。』

「安全な場所…?」

『あぁ、そうだ。幸い俺は近いうちに宮殿に戻りその後の報告がてら顔合わせをする。そこでお前を適任者として連れていこうと思っているんだがどうだ?』

「どうって…そもそも適任者って何?」

魔神ジンの加護を持つ者はそう数がいないため貴重とされる、それを適任者と呼んでいるだけだ。深い意味はない。
宮殿ならばここより安全な生活が保証される。』

「宮殿に行くのは名案だと思うけど、行って何すればいい?」

『俺と一緒に宮殿を守護する、番人としてな。この世界を知るためなら手っ取り早い、金も稼げるし加護持ちならば優遇された生活が保証される。俺も一緒なら安心だろ?』
確かにそれは美味しい話だ。
よし、決めた。

「アーク、その話のった。」

『そうと決まれば3日後宮殿に行く。』
決行は3日後。
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