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あわゆき 誠四郎の一分 第6話
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「若旦那、一体何が、あったんですか、酒で、流さなければならない辛い事とは」私は、銀次の、その問いかけに、今までの仔細を話して聞かせた。「そうですかい。あっしにも、良い知恵は、いますぐ浮かびませんが、玄庵先生の言うとおり、時間が、癒してくれるのを、待つより。あとは、何か楽しくて、気の晴れる所に、お連れするのは、どうでしょうね」「確かに今、この辺のお店の若い娘が、立て続けに誘拐され、酷い姿で帰ってくる事件が続いていて、お奉行の木嶋様も、下手人を挙げるのに、躍起になっていると、聞いておりやす。」「なあ銀次、お前さん、まだあちこちの賭場に出入りしているのかい。」「へい、今は、川向うの賭場に出入りしておりやす。」「何か最近、変な噂話や羽振りの良い奴の話し、聞いた事はないか」「そういえば、今の賭場じゃなくて、一月前に出入りしていた、橋の側の賭場で、妙な話しを聞きやした。何でも、夜、荷物を運ぶだけで、五両貰ったとか。」「荷物は、何だか聞いたか。」「それが、荷車に、大きな長持ちを三つ位、積んだ物を運ぶそうで。」「長持ちとは、着物などを入れる、あの長持ちの事か」「へい、その男も、着物だと思っていたようですが、夜に、着物を運ぶなんておかしい。荷車を運ぶ際、中は決して開けるなと、何度も繰り返し、念を押されていたとか。」「その男は、三度位、その仕事をしたそうですが、恐くなって、辞めたと言っておりやした。」「うん、その話し、かなり引っ掛かるな。」「今までの娘の誘拐事件と、何か関係が、あるんでしょうか。」「うん、私は、今の話しを聞いて、関係が、あると思っている。詳しく調べる必要が、ありそうだな。」そう言ったと、思った次の瞬間、目の前で誠四郎が、酔い潰れてしまっていた。銀次は、払いを済ませると、酔い潰れてしまった誠四郎を背中に背負って、夜道を滝川の屋敷にむかって歩いて行った。
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