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1話 出会い
しおりを挟むはじめに…
作品の展開上、一部、18禁にせざるを得なくなりました。
作品のハッシュタグの編集の仕方がわからず、こちらに書き添えます。
では、良ければお読みください☆
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
雨が降る。
あたしは、ここへ来てから、
ねずみ色の空しか見たことがない。
ドームの壁を雨粒が伝うのをぼんやりと眺めながら
今日、何度か目のため息をついた。
「このままじゃ、体がふやけてしまいそう…」
「うまい事、言うなぁ」
ぎょっとして振り向くと、
そこには職場の同僚が立っていた。
地球の東南アジア系を彷彿とさせる彫りの深い顔立ち。
浅黒い肌。黒い髪。そして、地球(ふるさと)
の太陽を思い出させるような明るい瞳。
懐かしい…感じがするのだけれど?
どこかで彼に会ったことがあったかしら?
あたしは記憶の底を探ったが、すぐには答えは見つからなかった。
「毎日雨ばかりであなたは気が滅入らないのですか?」
「ああ。ここに移住して長いからな。慣れちまった」
住めば都って言うだろ?
軽やかな答えに、そうかも…と同意した。
心の中でひっそりと。
あたしは前職業柄、あまり人に感情を見せない癖がついている。クールビューティとよく言われた。
「なあ、住めば都っていう俺の言葉にいま同意しただろう?」
「え?」
感情を読まれていた?
このあたしが…。
「なぜって顔してる」
からかうような声が飛んできた。
また読まれた!
「住めば都のくだり、アンタ、首を縦に振ったから」
「あ…」
「感情は身振りにも出るからなあ」
「たしかに…。それにしてもわかってはいたけれど、本当によく降る雨だこと…」
半分は彼への返答、あとの半分は自分への独り言。
まあ、声に出した時点で独り言では無いけれど。
惑星ルシーダ。
地球から一番遠い星系にある【雨の星】
一年のほとんどを雨季が占める陰気な星。
テラ・フォーミングしてもこの気候だけは
地球と同じような環境にはできなかった。
雨降りの日にメトロに乗った時のような臭いが毎日続いていた。
「ものは考えようさ!」
「それはどういう意味ですか?」
「何、水族館に来たと思えばいいさ」
「水族館…ですか?それは星全体がって事ですか?」
「そうだよ。さしずめ君はエンゼルフィッシュってトコかな?」
「説明を求めても良いですか?」
「ンなもんないよ。ただアンタの髪、綺麗な金色だからエンゼルフィッシュが思い浮かんだだけ。あれは綺麗なサカナだ」
「それはあたしが綺麗だって事ですか?」
「お!自分で言っちゃう?アンタ、自分の事、綺麗だって思ってる?」
あたしは咄嗟に首をふるふると振った。
「エンゼルフィッシュに比べたら、あたしの心は汚いわ」
「俺の心も汚いぜ。そうは見えないだけで…」
え……と、どう返答しよう。
「人間なんてみんな利己的でずる賢くて、それが普通だ」
「…………」
「心があんまり綺麗だと世の中に適応出来なくて生きていくのが辛くなる。だから、俺は汚くても良いと思っているけどな」
今度こそあたしはしっかりと同意した。
あたしは一歩彼の、ほうに踏み出すと質問してみた。
この星に来てから自分から相手に働きかけるなんて事も、相手に興味を持つ事もしなかった。
「あたしがエンゼルフィッシュだとしたら」
さらにもう一歩、彼に近づいた。
「あなたのイメージのサカナはなんですか?」
「食用じゃなければ何でもOK!」
そのおどけた物言いに、あたしはぷっとふきだした。
「お、笑った顔、初めてみたぞ」
「まぁ、失礼ね!いつも仏頂面しているみたい」
「してるだろ。モニター相手にサ」
「失礼な人ね!」
「ウ~ン、タメ口もいいねぇ。ところで君の名前、
なんだっけ?」
あたしは胸のポケットから身分証明書を取り出した。
「シルヴィアよ。アスランさん」
雨が降る。故郷の星は遠い・・・。
こんな日は誰かに傍にいて欲しい。
「アスラン・・・」
あたしは口の中で呟いた。
つづく
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