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7話 誓いの…………
しおりを挟む裕子がポカーンとしているとルビーと呼ばれたお姉さんも口を開く。
「ディア?アンタそれもちゃんと言ってなかったのね?全く………、…………ごめんなさいね。えっと……裕子さん?………ディアの話は本当よ。…………彼は鉄壁の守護騎士。世界に8人しかいないSSSランクの英雄…………。はあ…………………………悪いけど諦めて?ディアからは逃げられないわ」
そう言うとルビーは小さくため息を吐いた。
「守護騎士?………結婚?討伐……?ディア?」
頭が混乱して意味の無い言葉を呟いてしまう。その度にディアはクスリと笑う。
(ええ?何がどうなってるの?…………痴漢で逮捕は?)
そんな事を考えている内にもメイクアップとヘアセットが終わりディアに手を引かれて教会の中へと連れて行かれた。あちこちに赤いデリルの花が飾られている。人は誰も居ない、ルビーも控え室のような個室から付いては来なかった
赤い絨毯を二人で歩く、そこかしこに花びらが落ちていた。風で飛ばされたようだ。歩く度にふわりふわりと舞い散る。その光景がまるで夢の様で裕子はぼんやりと眺めていた。
ふと見ると神父が一人ステンドグラスの前に佇んでいる。
「来られましたね………。では、誓いの言葉を………」
そう言うとペコリとこちらへ頭を下げた。
(え?ええ?)
ディアに流されてここまで来てしまったが裕子は、ハッして我に返った。それからそっとディアに握られた手を解こうとするがぎゅっと強く握られてそれは叶わない。どうあってもディアは裕子を逃がさないつもりらしい。
「ディア……様?………守護騎士様?………あ、あの?…………………ごめんなさい、ちょっと意味がわからないんだけど……」
そう告げるとディアは困った様な顔で笑う。
「守護騎士様なんて呼ばないで?……、寂しいよ裕子……。………今日から僕と裕子は夫婦なんだから。……………名前で呼ぶか、それか旦那様と呼んで欲しいな」
「いやいやいや!!!!貴方と結婚しないから!!!!え?何これ………?壮大なドッキリとかなのっ?!痴漢の復讐とか?!逮捕は?!」
裕子がそう叫ぶとディアはまたクスクスと笑う。
「はは、それはあの日…………劇場でシタんだからチャラだよ?言っただろう?…………………ふふ。………逮捕は無いけどでも、悪いけど君をもう離してはあげられないなぁ。……………警察じゃなくて君は僕に捕まったんだ。………絶対に逃さないよ?」
そう言ってクスクス笑うディア。意味不明な状況なのに何故か裕子の胸は高鳴る。
(…………………ディア、なんだかよくわからないけど、…………また会えて嬉しい)
「…………………結婚を誓いますか?」
神父がそう言うとふわりと風が吹く。その風に乗って赤い花びらが舞う。今度はなんだかそれがとても綺麗に見えた。近づいてくるディアの顔に裕子はそっと瞳を閉じた。
(………………ディア……マグヌス。………、ディア。…………………デリルの花。……幸運の花。……嫌いじゃ無いわ………)
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