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6話 ディア・マグヌス
しおりを挟む「あの?あのコレは?」
裕子は困惑していた。てっきり警察署に連行されて事情聴取されてからの逮捕☆だと思っていたのに何故か教会に連れて来られて更には個室で美しいドレスを着せられた。純白のそれはまるでウエディングドレスだ。
警官は裕子を此処に連れて来て、そこに居た派手で綺麗な女性に引き渡すとさっさと帰って行った。
「なに?……………マリッジブルーってやつ?………贅沢ねアンタ」
ドレスを着付けてくれて今は髪をセットしてくれているお姉さんがそう言う。
めちゃくちゃ派手な美人だ。赤い短い髪にデカイ胸。ボンキュッボンだ。
そんな彼女は意味不明な事を口にした。
「は?マリッジブルー?あの………?ちょっと意味がわかりません?………逮捕は?」
裕子がそう言うとお姉さんはその美しい顔を歪める。
「……………アンタ、………………ディアの恋人よね?今日結婚するんでしょ?」
そう言われて裕子は思いっ切り首を振った。
「は?いやいやいや………え?無いです無いです!!!!ディアとは3回しか会ったことないし恋人とか無いです!!!!え?もしかして人違いですか?!え?なんかすみません!!!!!」
ペコペコ謝るとお姉さんはまた顔を思いっ切り顰めた。
「酷いなぁ、裕子。………………人違いしたのは貴女だろう?……………間違ってなんて無いさ、君は今日僕と結婚するんだよ?」
そう背後から聞こえてバッと振り向くと白いタキシード姿のディアが立っていた。胸元には赤いデリルの花が挿してある。
半年振りに見たのにディアは何も変わっていない。いや、更に輝いている様に見える、笑顔がキラキラだ。
(う………眩しい………)
思わず裕子が目を瞑ると派手なお姉さんの怒鳴り声がした。
「ディア‼!アンタまさか何も話してないのっ?!もしかして無理やり?!そうなら私は反対だよ!!!!それは人としてあり得ない!!!!」
目を開けるとお姉さんはディアに掴みかかろうとして何か見えない壁に阻まれて舌打ちしていた。
「ルビー。………………確かに彼女に今日の事をちゃんと話しては居なかったけど……、でも大丈夫。彼女は僕の運命の人だから」
ディアはそう言ってニコニコとしている。
それからこちらに向かってくるとそっと頬を撫でて
「綺麗だよ裕子」
とうっとりとしている。
お姉さんはと言うとポカンと口を開けてから、はあとため息を吐いた。それからポツリと呟いた。
「…………………そう言う事ね」
と
(はいー?!何これ?何がどうなっているのかしら?)
裕子の頭の上にははてなが沢山飛んでいた。そんな裕子を愛しそうに見つめて
それからディアは口を開く。
「ごめんね裕子、…………本当はあの後………直ぐに会いに行く予定だったんだけど…………、急遽ドラゴン討伐に行かないといけなくなってね」
そう言ってウィンクしたのだ。
(ドラゴン討伐…………?)
「え、っ!!!!ドラゴン討伐っ?!」
裕子が目を剥いてそう叫ぶとディアはクスリと笑う。
「…………………エリュシオン所属のSSSランク鉄壁の守護騎士。流石に名前くらいは貴女も知ってるだろう?……………それがこの僕、ディア・マグヌスさ」
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