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フラグス編
03
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まあ、夜会でのそのような開始のエピソードを乗り越え、私と皇太子様はファーストダンスを踊ることになりました。
これは婚約者の特権というものでございますわね。踊っている間に、例の男爵令嬢、パラディ様をお見掛けいたしました。
彼女もファーストダンスを踊っていらっしゃるようでございますが、お相手は親族の方ではなさそうでしたので、恋人なのでしょうか?
そうなりますと、皇太子様は横恋慕ということになりますわね、情けのない事でございます。
「皇太子様、お顔が怒っていらっしゃいますわ」
「……ああ」
「パラディ様のお相手が気になっておいでなのですか?恋人でいらっしゃるのでしょうか?」
「まさか!そんなわけがない。あいつはパラディお嬢のただの友人だ」
「然様でございますか。けれども、ファーストダンスを踊る程度には仲がよろしいのでしょうね」
「私がいれば私がファーストダンスを踊っていた」
「それは異なことをおっしゃいますのね。まるで私とのファーストダンスが嫌なようでございますわ」
「そんなことは言っていない」
「然様でございますか」
「……パラディ嬢は君とは全く別なタイプの女性なんだ」
「そうでございますわね。見た目だけでもわかりますもの」
「そういうことじゃない。はきはきとしていて、感情を表に出してわかりやすい。今まで傍にいなかったタイプなんだ」
「感情を表に出さないように教育を受けている私共とは世界が違うということでございますわ」
「そんなことを言わないでくれ」
「そうおっしゃいましても、事実でございます」
「フラグス、君も彼女と接してみれば彼女の良さがわかるに違いないんだよ」
「然様でございますか、では後日お茶会にでも彼女をお誘いさせていただきますわ」
普段のお茶会に男爵令嬢を誘うなどということはないのですが、皇太子様のご希望とあれば仕方がございませんわね。
まあ、私どもの世界にパラディ様が馴染めるかどうかはパラディ様自身の問題でございますので、私の関与する事ではございませんわね。
ファーストダンスを踊り終えた私たちはそれぞれの社交にいそしむことになっております。
私は女性の取り巻き兼友人を引き連れて会場の各所を回っていろいろな方とお話を致します。通常ですと高位貴族との社交がメインなのですが、今回はパラディ様とも少しはお話しなければなりませんので、下位貴族の方々が集まる場所にも足を運びます。
私がやってきたことに動揺する方々が多いのですが、パラディ様だけはまるで当然だとでもいうように私をまっすぐに見据えていらっしゃいます。
「ご機嫌よう、パラディ様でよろしかったですわよね」
「ええ、フラグス様」
「今度のお茶会に貴女を誘ってほしいと皇太子様よりお願いされてしまいましたの。ですから、今度のお茶会に貴女さえよろしければご出席なさいませんか?」
私の言葉に、驚いたような表情は浮かべていらっしゃいましたが、パラディ様はすぐに承諾の返事をなさいました。
よろしいのでしょうか?下位貴族のお茶会とはだいぶ異なるルールがあるものだと学びましたが、彼女は気にしていないのでしょうか?
これは婚約者の特権というものでございますわね。踊っている間に、例の男爵令嬢、パラディ様をお見掛けいたしました。
彼女もファーストダンスを踊っていらっしゃるようでございますが、お相手は親族の方ではなさそうでしたので、恋人なのでしょうか?
そうなりますと、皇太子様は横恋慕ということになりますわね、情けのない事でございます。
「皇太子様、お顔が怒っていらっしゃいますわ」
「……ああ」
「パラディ様のお相手が気になっておいでなのですか?恋人でいらっしゃるのでしょうか?」
「まさか!そんなわけがない。あいつはパラディお嬢のただの友人だ」
「然様でございますか。けれども、ファーストダンスを踊る程度には仲がよろしいのでしょうね」
「私がいれば私がファーストダンスを踊っていた」
「それは異なことをおっしゃいますのね。まるで私とのファーストダンスが嫌なようでございますわ」
「そんなことは言っていない」
「然様でございますか」
「……パラディ嬢は君とは全く別なタイプの女性なんだ」
「そうでございますわね。見た目だけでもわかりますもの」
「そういうことじゃない。はきはきとしていて、感情を表に出してわかりやすい。今まで傍にいなかったタイプなんだ」
「感情を表に出さないように教育を受けている私共とは世界が違うということでございますわ」
「そんなことを言わないでくれ」
「そうおっしゃいましても、事実でございます」
「フラグス、君も彼女と接してみれば彼女の良さがわかるに違いないんだよ」
「然様でございますか、では後日お茶会にでも彼女をお誘いさせていただきますわ」
普段のお茶会に男爵令嬢を誘うなどということはないのですが、皇太子様のご希望とあれば仕方がございませんわね。
まあ、私どもの世界にパラディ様が馴染めるかどうかはパラディ様自身の問題でございますので、私の関与する事ではございませんわね。
ファーストダンスを踊り終えた私たちはそれぞれの社交にいそしむことになっております。
私は女性の取り巻き兼友人を引き連れて会場の各所を回っていろいろな方とお話を致します。通常ですと高位貴族との社交がメインなのですが、今回はパラディ様とも少しはお話しなければなりませんので、下位貴族の方々が集まる場所にも足を運びます。
私がやってきたことに動揺する方々が多いのですが、パラディ様だけはまるで当然だとでもいうように私をまっすぐに見据えていらっしゃいます。
「ご機嫌よう、パラディ様でよろしかったですわよね」
「ええ、フラグス様」
「今度のお茶会に貴女を誘ってほしいと皇太子様よりお願いされてしまいましたの。ですから、今度のお茶会に貴女さえよろしければご出席なさいませんか?」
私の言葉に、驚いたような表情は浮かべていらっしゃいましたが、パラディ様はすぐに承諾の返事をなさいました。
よろしいのでしょうか?下位貴族のお茶会とはだいぶ異なるルールがあるものだと学びましたが、彼女は気にしていないのでしょうか?
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