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フラグス編

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 ともあれ、皇太子様が私とトゥルフ様の関係を知らなかったのであれば昨夜のことも納得がいきますわね。
 おかしいと思ったのですわ、今更私とトゥルフ様の関係で婚約破棄をしたいなんておっしゃるだなんて。

「で、ですが…密通を行っていたのは事実です。婚約を破棄するには十分な理由かと思います」
「それについてはすでに解決されているし、フラグスとトゥルフに限って言えば間違いが起きるはずもない」
「なぜそのように言い切れるのですか!好き合ったもの同士なのですよ!」
「誓いを立てているからですわ。私が皇太子様の婚約者である限り私共は真実の愛を貫くために接近はしないと」
「昨夜は密通していたではないか」
「昨夜は仮装パーティでしたもの、だからこそゆるされるものもあるのですわ」
「父上!このような言い分を信じるというのですか!」
「フラグスに限っていうのであれば信じるのが正しくあるな」
「父上!」
「それよりも皇太子。そなたも真実の愛に生きたいとたわけたことを言っていたようだと聞いているが相違ないか」
「たわけた事とは何です!私はパラディを真実に愛しているのです!結ばれるのでしたら彼女以外にあり得ない!」
「ほう。してパラディよ。昨夜のパーティでは返答をしなかったそうだが、ここではその返答を聞かせてくれるのだろうな。余はあまり待たされるのは好きではない」
「それ、は…」

 パラディ様の顔は真っ青になっておりますわね。
 皇帝陛下のお言葉に何と答えていいのか考えあぐねいているというところでしょうか?
 流石に皇妃になろうとは考えておりませんでしょうし、けれどもここで拒否して今後の婚活に影響が出るのも問題と言ったところなのでしょうね。
 けれどももし、パラディ様がここで皇太子様のお気持ちを受け入れるのだとしたら、皇太子様は継承権を即座に奪われることになりますわ。
 その時に出番なのがコデック様になります。
 コデック様はその為にこの場に呼び出されたのですものね。
 パラディ様は真っ青な顔をしながらも覚悟を決めたのか、一度唇を強く噛みしめてまっすぐに皇帝陛下を見て口を開きます。

「私は、皇太子様の想いを受け入れようと思います。大丈夫です、私が皇太子様を支えて見せます」

 まあ驚きましたわ。
 まさか本当に思いを受け入れるとはおもいませんでしたわ。
 これで皇太子様の継承権がはく奪されてしまいましたわ。
 もっとも皇太子様はそのことに未だに気が付いてはいないように思えます。
 考えれば簡単な事ですのに、頭の中がお花畑になっていらっしゃる今の皇太子様では考えつかないようですわね。
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