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*ベイルリーン公女視点
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「こんな不味いお茶をわたくしに飲めというの!?」
お茶を持ってきた気弱そうな侍女に、思い切りカップを投げつける。床に蹲る不様な侍女の姿を見ても、わたくしの心は晴れない。
それもこれも、アーレント国王があのバカ女を聖女だなんて言ったせいよ!バカ女も調子に乗って、聖女を偽るなんて!
お父様が聖女と特別な関係を築くよう、命を出したのが、全ての始まりだったわ。わたくしとお兄様は、立場の弱いお母様のために頑張ったのよ。
でもまさか、こんな事になるなんて!
聖女がダリアじゃなくて、リルメリアの方だなんて、わたくしに分かるわけないでしょ!
そしてその結果、リルメリアを誘拐しようとしたバレント公族は捕らえられ、お父様とお母様はニセン王国の鉱山で強制労働、お兄様は国外追放となった。
わたくしは何とか逃げ出して、アズバンド王国に匿われているけれど、このわたくしがコソコソ隠れていなければいけないなんて!
「赦さないわ!絶対に赦さない!」
強く噛みすぎた爪から血の味がする。ボロボロになったわたくしの美しいはずの爪を見て、更なる怒りが沸いた。
「貴女、とっても惨めね。せっかく私が助けてあげたのに。」
ノックもせず、堂々とやってきたアマンディア様は、わたくしに見せつけるように最高級のドレスに身を包んでいた。
「アマンディア様、これは、その...。」
アマンディア様は、わたくしの横を通り過ぎ、蹲る侍女の傍に膝をついた。
「大丈夫?酷い事をされたわね。」
アマンディア様が、火傷で赤くなった侍女の頬に手を当てる。すると見る見るうちに綺麗な肌に戻った。
アマンディア様の見事な治癒魔法。
でも、この方が魔法を使う度に香る、甘ったるい匂いは苦手なのよね。
わたくしは、さり気なく袖で鼻を塞ぐ。
「王女様、ありがとうございます!ああ、本当に感謝致します。」
涙を流す侍女に、アマンディア様は聖母のような目を向けていた。
なんて気持ち悪い茶番。
わたくしは窓際の椅子に座って、溜息を吐いた。
「いい加減にしないと、追い出すわよ?お義母様が貴女を欲しがったから連れて来たけれど、今の貴女が本当に役に立つのかしら。」
悔しさからスカートを強く握りしめると、縫い目が嫌な音を立ててほつれた。
当て付けのように、わたくしにこんな安物のドレスを着せるなんて!
「役立たずはその内、ニセンに売られちゃうんじゃないかしら?」
「オーレリー王妃様は、わたくしに素晴らしい役割を下さるとおっしゃっていましたわ!」
「あはは、王妃とはいえ、所詮は元平民よ?しかも子供も産めないし。お父様は利用価値が無くなれば捨てるわよ。貴女も覚悟しておきなさいな。」
アマンディア様が出て行ったドアに、近くにあった花瓶を投げつける。
何なのよ、あの女!
あれが心優しいアズバンドの聖女ですって!?
あの女は自分以外の人間なんて、ゴミ程度にしか思ってないわよ!
ああ、腹が立つ!
全ての元凶の、ダリア、リルメリアも!ああ、憎い憎い!
目につく物をひたすら壊すと、少しだけ心が落ち着いた。
王妃を利用して、わたくしは必ず返り咲くの!その時は、絶対に復讐してやるわ!
落ち着くために、王妃から貰ったお茶をわたくし自ら淹れる。
この甘ったるい香りは、アマンディア王女を思い出すから好きではないのよね。でも、飲むと心も体も癒されるの。
大嫌いな甘い香りに包まれて、わたくしはゆっくりと瞳を閉じた。
名前変更しました
ベイリーグ→オーレリー
お茶を持ってきた気弱そうな侍女に、思い切りカップを投げつける。床に蹲る不様な侍女の姿を見ても、わたくしの心は晴れない。
それもこれも、アーレント国王があのバカ女を聖女だなんて言ったせいよ!バカ女も調子に乗って、聖女を偽るなんて!
お父様が聖女と特別な関係を築くよう、命を出したのが、全ての始まりだったわ。わたくしとお兄様は、立場の弱いお母様のために頑張ったのよ。
でもまさか、こんな事になるなんて!
聖女がダリアじゃなくて、リルメリアの方だなんて、わたくしに分かるわけないでしょ!
そしてその結果、リルメリアを誘拐しようとしたバレント公族は捕らえられ、お父様とお母様はニセン王国の鉱山で強制労働、お兄様は国外追放となった。
わたくしは何とか逃げ出して、アズバンド王国に匿われているけれど、このわたくしがコソコソ隠れていなければいけないなんて!
「赦さないわ!絶対に赦さない!」
強く噛みすぎた爪から血の味がする。ボロボロになったわたくしの美しいはずの爪を見て、更なる怒りが沸いた。
「貴女、とっても惨めね。せっかく私が助けてあげたのに。」
ノックもせず、堂々とやってきたアマンディア様は、わたくしに見せつけるように最高級のドレスに身を包んでいた。
「アマンディア様、これは、その...。」
アマンディア様は、わたくしの横を通り過ぎ、蹲る侍女の傍に膝をついた。
「大丈夫?酷い事をされたわね。」
アマンディア様が、火傷で赤くなった侍女の頬に手を当てる。すると見る見るうちに綺麗な肌に戻った。
アマンディア様の見事な治癒魔法。
でも、この方が魔法を使う度に香る、甘ったるい匂いは苦手なのよね。
わたくしは、さり気なく袖で鼻を塞ぐ。
「王女様、ありがとうございます!ああ、本当に感謝致します。」
涙を流す侍女に、アマンディア様は聖母のような目を向けていた。
なんて気持ち悪い茶番。
わたくしは窓際の椅子に座って、溜息を吐いた。
「いい加減にしないと、追い出すわよ?お義母様が貴女を欲しがったから連れて来たけれど、今の貴女が本当に役に立つのかしら。」
悔しさからスカートを強く握りしめると、縫い目が嫌な音を立ててほつれた。
当て付けのように、わたくしにこんな安物のドレスを着せるなんて!
「役立たずはその内、ニセンに売られちゃうんじゃないかしら?」
「オーレリー王妃様は、わたくしに素晴らしい役割を下さるとおっしゃっていましたわ!」
「あはは、王妃とはいえ、所詮は元平民よ?しかも子供も産めないし。お父様は利用価値が無くなれば捨てるわよ。貴女も覚悟しておきなさいな。」
アマンディア様が出て行ったドアに、近くにあった花瓶を投げつける。
何なのよ、あの女!
あれが心優しいアズバンドの聖女ですって!?
あの女は自分以外の人間なんて、ゴミ程度にしか思ってないわよ!
ああ、腹が立つ!
全ての元凶の、ダリア、リルメリアも!ああ、憎い憎い!
目につく物をひたすら壊すと、少しだけ心が落ち着いた。
王妃を利用して、わたくしは必ず返り咲くの!その時は、絶対に復讐してやるわ!
落ち着くために、王妃から貰ったお茶をわたくし自ら淹れる。
この甘ったるい香りは、アマンディア王女を思い出すから好きではないのよね。でも、飲むと心も体も癒されるの。
大嫌いな甘い香りに包まれて、わたくしはゆっくりと瞳を閉じた。
名前変更しました
ベイリーグ→オーレリー
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