Popotin d'ange first side

光理やみ

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04.衝動に襲われて

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 紘一の左胸に置いた手を滑らせ、指先で突起を探った。手応えを感じてそこをシャツ越しに擦り始める。最初のうちは柔らかかったそれは、弄り続ける事で段々と形を帯び始めてきていた。


「ぁ、わかみ、さ、んんっ!」
「お前さ、本当に俺で良いのか?」
「……はぇ?」
「俺はこの通りのおっさんだし、しつこいから重たいって言われてるんだぞ。後悔しても知らないからな」
「そんなこと言われても、好きになっちゃったんですもん……」


 へにゃりと笑う横顔は煽情的で、身体の芯が熱くなっていくのを感じる。少しボーッとしながら、紘一のシャツのボタンをひとつふたつと外していき、最終的には前を完全に開いた。若いからなのか、色も形も綺麗な乳首をしている。左を今度は直に触り、右に吸い付く。


「ひゃあ!?」
「ん、ずいぶんと感度が良いんだな。経験あるの?」
「ちがっ、そんなの……な、ぁあっ!」
「初めてでこんなになるんだ? やらしい」
「しらな、こんなのしらないっ……」


 ちゅっ、と音を立てて吸うと、紘一は顔を赤くしながら首を横に振っていた。それは嫌悪感からの行動ではなくて、未知の感覚に戸惑っているからだと思えた。でなきゃ、自分から腰を押し付けたりなんかしないよな。膨らんだものが当たっているがそれは無視して、今度は左右を入れ替えて愛撫を続ける。


「ゃだぁ……そこばっかり、ぃたいです……!」
「言ったろ? 俺はしつこいんだ。それに、痛いだけじゃないだろうが。ちゃんと言えたら、好きなようにしてやるよ」
「ぁ、ふぁ、いわなきゃ、だめ……?」
「ダーメ。甘やかさない主義なんでね」
「わかみさ、んっ、きもちいぃ、です……だから……ぼく、たっちゃって、るからぁ……あっ! さわっ……ああぁっ!!」
「よく言えました」


 頭を起こして唇に軽くキスしてやれば、紘一の表情はとろんと蕩ける。こういうところがちょろい。じゃなかった、放っておけなくて可愛い。
 本当はもっと焦らしてやりたかったけれど、この調子だとこいつは前戯だけで果かねん。主張しているものをズボンの上から撫でると、紘一は瞳に涙を溜めながら縋る様な視線を向ける。……この表情が本当に無自覚だとしたら、こいつの素養が末恐ろしい。


「ぁ、はぁ、はぁ……あ、わかみ、さ……」
「今触ってやるから。下、脱がすぞ」
「んっ……」


 紘一が腰を浮かせてくれたおかげで、ズボンと下着を簡単に脱がす事が出来た。露になった陰茎がぷるんと起き上がり、先端からは先走りが溢れている。
 羞恥と期待を隠せていない紘一の表情を見て、ゾクゾクしてきた。俺も、こいつに溺れたい。気持ち良くなりたい。


「今だけ。今だけで良いから、俺以外の事を考えるな」
「わかみ、さん?」
「なぁ、紘一。一緒にイこう」
「ひゃっ!」


 そう言って俺は、紘一の陰茎に自分のそれを重ねた。ふたつまとめて両手で包み込み、上から下へ、下から上へとゆっくり扱き始める。先走りのせいかくちゅくちゅと音が立ち、滑りが良くなって自然と手の動きが速くなっていく。
 それと同時に、想像で憧れの彼にしている時にはない本物の感触。何より、目の前に同じように快感に悶える顔がある。それが俺の興奮を更に煽った。


「ぁっ、あっ、わか、みさんっ! あ!!」
「お前、すげえよ……エロすぎ。可愛い」
「そんなの、わかんな、いっ……ふぁ、あ、あぁん!」
「ぁはァ、紘一……本当に、俺の事……ん、好き?」
「すきぃ、すきっ……だいすきぃ!」
「ホントに、お前は素直だな……羨ましい」
「ね、ぁ! わかっ、わかみさんは……? ぼくのこと、すき? ……んぁっ、ん!」
「………ん、嫌いではない、かな」
「やらっ! すきっていって……ふ、ふぁあっ!」


 問われた事を誤魔化す様に、亀頭に力を込めて握り締めると鳴き声があがった。
 余計な事を考えてるんじゃねえ。それに、お前の『好き』と俺の『好き』は質量が違うんだよ。どうせ日常に戻ったら、お前はこんな事なんて忘れてしまうに決まっている。いや、忘れなきゃいけないんだ。こんな一時の感情なんて、海に流してしまえ。


「っは、そんな事より。ちゃんと気持ち良い? 俺の手で良い?」
「……ん、ぼくはわかみさんがいいです」
「変わったやつだな。まあ、そんなお前だから放っておけなかったんだけど」
「ぼく、そんなにへん……ですか?」
「ああ、変だ。でも嫌なんかじゃない。お前もだろ……? そろそろイきたいんじゃ、ねえの?」
「わかみさ、ん……ぅ、んんっ……はぁ、あ……」
「やらしい顔……早く出しちまえよ。もっとやらしい顔、見たい」
「み、みない、でっ……ぁぅ」
「良いから見せろ……そんで、お前も俺の事を見てろ」
「わかみさ、ぁ、っああぁっ! っは、ぁ、あぁ……」
「可愛い……俺も、出、るっ……っく、ァ!」


 吐き出されたふたり分の精液を、飛び散らない様に掌で受け止めた。そしてそれを青臭い芝生の上に注いだ。ベタベタした手を舐めとっていると、視界には肩で息をする紘一の姿がある。
 良い事を思い付いた──精液と唾液で湿った右手を上着で拭い、ズボンのポケットから携帯を取り出して、未だ熱っぽい紘一の表情を写真に収めた。


「っな!?」
「絵になるな、と思って」
「~~~!消して、今すぐ消してください~!!」
「嫌だ」
「若美さんのいじわる……!」


 気が付けば時刻は夕方になっていて、オレンジ色の陽が俺達を照らす。遠くからはウミネコが鳴く声と、ざざざという波の音が聞こえる。宝箱にしまっておきたくなる様な、愛おしい時間が過ぎていく。


「ね、若美さん……思い出、上書きされました?」
「ははっ、上書きはされてねえな。でも」
「でも?」
「少なくとも、さっきまでは忘れていた」


 ずっと俺を捕らえていた想いが、少しだけ変化しているように思えた。そして、心の片隅に新しい気持ちが芽生えている。その気持ちを慈しむかの様に、紘一の目尻に口づけた。


「ありがとな、紘一」


 その言葉を聞いた紘一は、涙でぐしゃぐしゃにしながら満面の笑みを浮かべた。
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