10 / 38
軍勢(参)
しおりを挟む
角笛の低い音が響き、太鼓が地を震わせた。狩の開始の合図である。
嬰は慌て、急ぐ。草紅葉の原が見渡せる所に出た。まさに子解が馬に鞭を当てるところだった。戦闘馬車の娘たちは、それぞれの手勢のもとに行って待機している。まだ全軍、原にいた。
「この状態で、満将軍がここに攻め込んでくるのと……狩が始まってばらばらに散ったところを、満将軍に奇襲されるのと……どちらがいいの?」
子解の馬が走り出す。嬰は木々の中に飛び込み、一気に丘陵地をかけおりて、ようやく原にたどり着いた。草から顔を出すと、続々と子解の率いる軍が原を出て、森の中に分け入っている。
「子解!子解!」
嬰は夢中でそれを追った。
狩は始まっている。早くも子解麾下の将が獲物を見つけて、子解に合図していた。
「ようし、回り込め!」
子解の少年らしい声が響く。
未だほとんどの軍が原を出ていない。開始直後にいきなり獲物に遭遇するなど、幸先が良い。
子解の軍が獲物を囲い始めた。嬰はそれを遠目に確認しながら、後ろを振り返る。まだ、草紅葉の原には数千の軍が犇めいたままだ。
「子解!」
嬰の声が聞こえたのだろうか、子解が振り返った時、ぴょんと牡鹿が子解目掛けて飛び上がってきた。咄嗟に槍を振るって身を捩るや、ひゅんと矢が鹿に命中し、鹿は態勢を崩しながらも囲みを突破しかかる。さらに、ひゅんひゅん、矢が飛んできた。
わあわあ声が響く。嬰の背後の方向から、鹿へ、いや、子解の軍に向かって流れ矢が幾つも飛んでいた。
「なんだなんだ?」
子解の軍に動揺が走る、その隙に鹿は大きく跳躍して森の中に消えた。
「左将軍!いったい何が起きた?」
子解の、周囲に撒き散らす慌てた声を聞きながら、嬰は背後の原を見た。
「大変!」
原にまだ残っている軍勢が大混乱に陥っていた。沢山の矢が飛んでいる。その矢に女兵たちが次々に倒れ、そして、雪崩れ込んできた軍勢に斬られていた。
「満将軍だわ!」
嬰はしかし、原の混乱を打ち捨て、子解に向かって必死に走った。
異変に気付いた子解も原に引き返そうとしている。
「子解!なりません!」
嬰が叫んだ。しかし、あらぬ方向からの鬨に、その声はかき消され、ほぼ同時に子解軍も矢に襲われた。
次々に矢に倒れ、混乱したところに、満将軍麾下の将の率いる一隊が現れた。五十人もいないようだが、突然現れて、子解軍に向かってきたのである。
崩れている子解軍には応戦する余裕もない。数では圧倒的に多いのに、容易く討たれて行く。
嬰は子解を見失わないよう注意しながら、夢中で走った。子解を守護する者が五人しかいない。すぐにその五人も敵から挑まれ、応戦し始める。
敵の放った矢が子解の馬に命中し、暴れた愛馬から子解が振り落とされた。
「おうい、子解がいるぞ!子解はこっちだぞ!」
敵が仲間を呼んでいる。
「子解!」
ようやく嬰は子解の至近距離に来られた。子解の回りの者は皆敵と応戦していて、誰一人彼を見ていなかった。
「子解!」
藪から顔を出した嬰に気付いたのは子解ただ一人だ。
「そなたはっ!」
驚愕して嬰を見つめる子解に、嬰は危機感募らせ、
「早く!こちらへ!」
と、無理矢理その腕を藪に引き摺り込んだ。
「危ないですわ!こちらへ!」
嬰は有無も言わさず、子解を引っ張って藪の中を走り出した。が、すぐにその重さに振り返る。
「子解っ?」
「くっ!落馬した時に、足を痛めたようだ」
「まさか!」
嬰は焦った。逃げないわけにはいかないのだ。
「とにかく、歩いて!」
嬰は鬼のように言って、子解を引っ張って行った。子解は重い足を懸命に引き摺りながら、嬰について行く。
「子解はどこだ?」
「ちっ!逃げたか?」
「子解が逃げたぞ!追え!」
敵の蛮声が響いていた。
「大変、急がなきゃ!」
嬰が言えば、子解も頷き、必死に足を引き摺る。
嬰が子解の腕を肩に担ぎ、どんどん行く。余程辛いのか、子解はふらふらしてきて、次第に嬰の体にその重みが強く感じられるようになっていく。
標を越えて、聖域に入った。
「聖域の中までは、敵も追って来ないのではないかと……」
子解は微かに頷いていたが、意識が朦朧としかかっている。
「この足ではこれ以上は……」
やっとそう言った。
川が見える。大きな岩があった。嬰はその岩に子解を凭れさせ、座り込んだ。
嬰はさっそく作業を始める。岩に薬草を置き、上から石を押し付けて、薬草を潰し始めたのである。
息を切らしながら、子解は朦朧と、
「何をしている?」
「お怪我なさったところに塗ります。それと、これを召し上がって下さい。痛みが和らぐはずです」
嬰は籠の中の薬草を子解に渡した。頷いて、素直に口にする子解。川の水を手で掬って飲んだ。
嬰は湿布薬を作りながら、敵について説明した。
「あちらの平原に衛や張の旗がありました。三千以上の兵がおります。これは満将軍による謀叛でございます。謀叛に加担している者は他にも多数おります」
「満将軍だって?」
子解は汗だくの顔を嬰に向け、まじまじと彼女を見た。
「ええ。満将軍は子解を討ち、王倹城に攻め寄せるつもりでしょう。諸将が満将軍を盟主に戴いていました」
「私を殺したら、父王も殺して、玉座を奪うということか?」
嬰は頷いた。
「しかし、諸将が加担しているとなると、これは容易には片付かぬぞ。満将軍……他国の人間を保護したら、このようなことになるとは。国土を削って、西部の土地を割譲してやったのに、僅か一年余りで、早くも恩を仇で返すような真似を!満将軍とは、いったいどういう人間性をしてるんだ!」
憤る子解。嬰は思い詰めたような声で言った。
「満将軍は勿論ですが、それ以上に恐ろしいのは張大夫です。子解の信頼厚く、それに、私を子解の、その……婦の候補に推挙して下さった方なのに、こんな……」
「張大夫が裏切ったのか?」
弾かれたように、勢いよく子解が嬰の肩を掴んだ。そこには艶も色も欠片もない。話の内容のためか、或いは少し休んだおかげか、頭がすっきりしてきたようだ。
「ええ」
嬰も強く頷くと、できた湿布薬を塗ろうと、子解の足を捲った。足の熱に触れた瞬間、はっとした。
「子解……」
「戻らねば!」
嬰は強く頭を振った。
「だが、戻る前に討たれては話にならぬ。どうやって、我が軍まで戻るか」
嬰はなお頭を振る。
「とにかく、それを塗ってくれ」
「なりません、子解、お風邪を召していらっしゃるでしょう?」
「なに?」
「足が、とても熱いですわ、お熱が出ているのでしょう?」
「それは怪我したところが熱を帯びているだけだろう」
「いいえ、子解は咳込んでいらっしゃいましたもの」
子解は驚いて、まじまじと嬰を見やった。
「ここまで来る間に、ふらふらになっていらっしゃいました。お怪我のためかと思っていましたが、高熱のせいだったのですね。私も夢中で、子解のお体の熱さに気付きませんでしたが……子解は今日は初めから体調を崩しておられた」
「そなた、何故知っている?」
「聖地から狩をずっと見物させて頂いていましたもの。向こうの平原の異変も、聖域内から見て気づいたんです」
「姫嬰。そなたは姫嬰だな?」
一瞬熱によるものなのか、子解の目が潤んだ。朦朧としながらも鋭かった、先程までの目とは違う。
「はい、子解、左様でございます」
「嬰……」
見つめて、手を嬰の頬に伸ばしかける。だが、つと途中で止めて、子解は目を伏せた。
「そなたは生け贄に選ばれたと聞いた……狩でそなたに会えると思っていたが、残念、いやいや、いけない……嬰、私は戻る」
「そのお体では無駄死になさるだけです!」
嬰は子解の心の乱れなど察する余裕もない。必死に引き留めた。
「それに、きっと子解の軍は……すでに潰滅しております。原の本陣の方は、奇襲の混乱から今はもう立て直って、司母の指揮の下、満将軍を迎撃しておりましょう」
「我が国の総大将は司母。司母ならば、確かに奇襲に遭って混乱した軍を、すぐに立て直し、かえって敵を完膚なきまでに叩きのめしておられよう。だが……」
「そうです。司母におまかせになったら、何も心配はありません。司母の本隊と離れてしまった子解は、敵に討たれやすい危険な状態なのです。今はそのお体で出て行かれることが、最悪の事態を招くことになります。災厄が通り過ぎるまで身を潜め、頃合いを見計らって本隊に合流なさるべきです。今は軍から離れて隠れていても、誰も卑怯の弱虫のとは申しません!」
「そなたは……」
子解は顔を上げて、嬰に微笑みかけた。熱っぽい眼差しなのに、達観したような、どこか諦めたような表情だ。
「軍を率いる能力に長けていたようだな……」
ふっと笑って、残念だと呟く。日焼けしたように、子解の白析の面が赤く火照っていた。
嬰は周囲を見回した。
「とにかく、今はお体を休めて、熱を下げましょう」
子解は素直に頷いた。
「この川を渡って、少し行った所に、賓貞の庵があります。そこで休みましょう。もう少し、我慢して歩いて下さいませ」
嬰は慌て、急ぐ。草紅葉の原が見渡せる所に出た。まさに子解が馬に鞭を当てるところだった。戦闘馬車の娘たちは、それぞれの手勢のもとに行って待機している。まだ全軍、原にいた。
「この状態で、満将軍がここに攻め込んでくるのと……狩が始まってばらばらに散ったところを、満将軍に奇襲されるのと……どちらがいいの?」
子解の馬が走り出す。嬰は木々の中に飛び込み、一気に丘陵地をかけおりて、ようやく原にたどり着いた。草から顔を出すと、続々と子解の率いる軍が原を出て、森の中に分け入っている。
「子解!子解!」
嬰は夢中でそれを追った。
狩は始まっている。早くも子解麾下の将が獲物を見つけて、子解に合図していた。
「ようし、回り込め!」
子解の少年らしい声が響く。
未だほとんどの軍が原を出ていない。開始直後にいきなり獲物に遭遇するなど、幸先が良い。
子解の軍が獲物を囲い始めた。嬰はそれを遠目に確認しながら、後ろを振り返る。まだ、草紅葉の原には数千の軍が犇めいたままだ。
「子解!」
嬰の声が聞こえたのだろうか、子解が振り返った時、ぴょんと牡鹿が子解目掛けて飛び上がってきた。咄嗟に槍を振るって身を捩るや、ひゅんと矢が鹿に命中し、鹿は態勢を崩しながらも囲みを突破しかかる。さらに、ひゅんひゅん、矢が飛んできた。
わあわあ声が響く。嬰の背後の方向から、鹿へ、いや、子解の軍に向かって流れ矢が幾つも飛んでいた。
「なんだなんだ?」
子解の軍に動揺が走る、その隙に鹿は大きく跳躍して森の中に消えた。
「左将軍!いったい何が起きた?」
子解の、周囲に撒き散らす慌てた声を聞きながら、嬰は背後の原を見た。
「大変!」
原にまだ残っている軍勢が大混乱に陥っていた。沢山の矢が飛んでいる。その矢に女兵たちが次々に倒れ、そして、雪崩れ込んできた軍勢に斬られていた。
「満将軍だわ!」
嬰はしかし、原の混乱を打ち捨て、子解に向かって必死に走った。
異変に気付いた子解も原に引き返そうとしている。
「子解!なりません!」
嬰が叫んだ。しかし、あらぬ方向からの鬨に、その声はかき消され、ほぼ同時に子解軍も矢に襲われた。
次々に矢に倒れ、混乱したところに、満将軍麾下の将の率いる一隊が現れた。五十人もいないようだが、突然現れて、子解軍に向かってきたのである。
崩れている子解軍には応戦する余裕もない。数では圧倒的に多いのに、容易く討たれて行く。
嬰は子解を見失わないよう注意しながら、夢中で走った。子解を守護する者が五人しかいない。すぐにその五人も敵から挑まれ、応戦し始める。
敵の放った矢が子解の馬に命中し、暴れた愛馬から子解が振り落とされた。
「おうい、子解がいるぞ!子解はこっちだぞ!」
敵が仲間を呼んでいる。
「子解!」
ようやく嬰は子解の至近距離に来られた。子解の回りの者は皆敵と応戦していて、誰一人彼を見ていなかった。
「子解!」
藪から顔を出した嬰に気付いたのは子解ただ一人だ。
「そなたはっ!」
驚愕して嬰を見つめる子解に、嬰は危機感募らせ、
「早く!こちらへ!」
と、無理矢理その腕を藪に引き摺り込んだ。
「危ないですわ!こちらへ!」
嬰は有無も言わさず、子解を引っ張って藪の中を走り出した。が、すぐにその重さに振り返る。
「子解っ?」
「くっ!落馬した時に、足を痛めたようだ」
「まさか!」
嬰は焦った。逃げないわけにはいかないのだ。
「とにかく、歩いて!」
嬰は鬼のように言って、子解を引っ張って行った。子解は重い足を懸命に引き摺りながら、嬰について行く。
「子解はどこだ?」
「ちっ!逃げたか?」
「子解が逃げたぞ!追え!」
敵の蛮声が響いていた。
「大変、急がなきゃ!」
嬰が言えば、子解も頷き、必死に足を引き摺る。
嬰が子解の腕を肩に担ぎ、どんどん行く。余程辛いのか、子解はふらふらしてきて、次第に嬰の体にその重みが強く感じられるようになっていく。
標を越えて、聖域に入った。
「聖域の中までは、敵も追って来ないのではないかと……」
子解は微かに頷いていたが、意識が朦朧としかかっている。
「この足ではこれ以上は……」
やっとそう言った。
川が見える。大きな岩があった。嬰はその岩に子解を凭れさせ、座り込んだ。
嬰はさっそく作業を始める。岩に薬草を置き、上から石を押し付けて、薬草を潰し始めたのである。
息を切らしながら、子解は朦朧と、
「何をしている?」
「お怪我なさったところに塗ります。それと、これを召し上がって下さい。痛みが和らぐはずです」
嬰は籠の中の薬草を子解に渡した。頷いて、素直に口にする子解。川の水を手で掬って飲んだ。
嬰は湿布薬を作りながら、敵について説明した。
「あちらの平原に衛や張の旗がありました。三千以上の兵がおります。これは満将軍による謀叛でございます。謀叛に加担している者は他にも多数おります」
「満将軍だって?」
子解は汗だくの顔を嬰に向け、まじまじと彼女を見た。
「ええ。満将軍は子解を討ち、王倹城に攻め寄せるつもりでしょう。諸将が満将軍を盟主に戴いていました」
「私を殺したら、父王も殺して、玉座を奪うということか?」
嬰は頷いた。
「しかし、諸将が加担しているとなると、これは容易には片付かぬぞ。満将軍……他国の人間を保護したら、このようなことになるとは。国土を削って、西部の土地を割譲してやったのに、僅か一年余りで、早くも恩を仇で返すような真似を!満将軍とは、いったいどういう人間性をしてるんだ!」
憤る子解。嬰は思い詰めたような声で言った。
「満将軍は勿論ですが、それ以上に恐ろしいのは張大夫です。子解の信頼厚く、それに、私を子解の、その……婦の候補に推挙して下さった方なのに、こんな……」
「張大夫が裏切ったのか?」
弾かれたように、勢いよく子解が嬰の肩を掴んだ。そこには艶も色も欠片もない。話の内容のためか、或いは少し休んだおかげか、頭がすっきりしてきたようだ。
「ええ」
嬰も強く頷くと、できた湿布薬を塗ろうと、子解の足を捲った。足の熱に触れた瞬間、はっとした。
「子解……」
「戻らねば!」
嬰は強く頭を振った。
「だが、戻る前に討たれては話にならぬ。どうやって、我が軍まで戻るか」
嬰はなお頭を振る。
「とにかく、それを塗ってくれ」
「なりません、子解、お風邪を召していらっしゃるでしょう?」
「なに?」
「足が、とても熱いですわ、お熱が出ているのでしょう?」
「それは怪我したところが熱を帯びているだけだろう」
「いいえ、子解は咳込んでいらっしゃいましたもの」
子解は驚いて、まじまじと嬰を見やった。
「ここまで来る間に、ふらふらになっていらっしゃいました。お怪我のためかと思っていましたが、高熱のせいだったのですね。私も夢中で、子解のお体の熱さに気付きませんでしたが……子解は今日は初めから体調を崩しておられた」
「そなた、何故知っている?」
「聖地から狩をずっと見物させて頂いていましたもの。向こうの平原の異変も、聖域内から見て気づいたんです」
「姫嬰。そなたは姫嬰だな?」
一瞬熱によるものなのか、子解の目が潤んだ。朦朧としながらも鋭かった、先程までの目とは違う。
「はい、子解、左様でございます」
「嬰……」
見つめて、手を嬰の頬に伸ばしかける。だが、つと途中で止めて、子解は目を伏せた。
「そなたは生け贄に選ばれたと聞いた……狩でそなたに会えると思っていたが、残念、いやいや、いけない……嬰、私は戻る」
「そのお体では無駄死になさるだけです!」
嬰は子解の心の乱れなど察する余裕もない。必死に引き留めた。
「それに、きっと子解の軍は……すでに潰滅しております。原の本陣の方は、奇襲の混乱から今はもう立て直って、司母の指揮の下、満将軍を迎撃しておりましょう」
「我が国の総大将は司母。司母ならば、確かに奇襲に遭って混乱した軍を、すぐに立て直し、かえって敵を完膚なきまでに叩きのめしておられよう。だが……」
「そうです。司母におまかせになったら、何も心配はありません。司母の本隊と離れてしまった子解は、敵に討たれやすい危険な状態なのです。今はそのお体で出て行かれることが、最悪の事態を招くことになります。災厄が通り過ぎるまで身を潜め、頃合いを見計らって本隊に合流なさるべきです。今は軍から離れて隠れていても、誰も卑怯の弱虫のとは申しません!」
「そなたは……」
子解は顔を上げて、嬰に微笑みかけた。熱っぽい眼差しなのに、達観したような、どこか諦めたような表情だ。
「軍を率いる能力に長けていたようだな……」
ふっと笑って、残念だと呟く。日焼けしたように、子解の白析の面が赤く火照っていた。
嬰は周囲を見回した。
「とにかく、今はお体を休めて、熱を下げましょう」
子解は素直に頷いた。
「この川を渡って、少し行った所に、賓貞の庵があります。そこで休みましょう。もう少し、我慢して歩いて下さいませ」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
花嫁御寮 ―江戸の妻たちの陰影― :【第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞】
naomikoryo
歴史・時代
名家に嫁いだ若き妻が、夫の失踪をきっかけに、江戸の奥向きに潜む権力、謀略、女たちの思惑に巻き込まれてゆく――。
舞台は江戸中期。表には見えぬ女の戦(いくさ)が、美しく、そして静かに燃え広がる。
結城澪は、武家の「御寮人様」として嫁いだ先で、愛と誇りのはざまで揺れることになる。
失踪した夫・宗真が追っていたのは、幕府中枢を揺るがす不正金の記録。
やがて、志を同じくする同心・坂東伊織、かつて宗真の婚約者だった篠原志乃らとの交錯の中で、澪は“妻”から“女”へと目覚めてゆく。
男たちの義、女たちの誇り、名家のしがらみの中で、澪が最後に選んだのは――“名を捨てて生きること”。
これは、名もなき光の中で、真実を守り抜いたひと組の夫婦の物語。
静謐な筆致で描く、江戸奥向きの愛と覚悟の長編時代小説。
全20話、読み終えた先に見えるのは、声高でない確かな「生」の姿。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
【読者賞】江戸の飯屋『やわらぎ亭』〜元武家娘が一膳でほぐす人と心〜
旅する書斎(☆ほしい)
歴史・時代
【第11回歴史・時代小説大賞 読者賞(読者投票1位)受賞】
文化文政の江戸・深川。
人知れず佇む一軒の飯屋――『やわらぎ亭』。
暖簾を掲げるのは、元武家の娘・おし乃。
家も家族も失い、父の形見の包丁一つで町に飛び込んだ彼女は、
「旨い飯で人の心をほどく」を信条に、今日も竈に火を入れる。
常連は、職人、火消し、子どもたち、そして──町奉行・遠山金四郎!?
変装してまで通い詰めるその理由は、一膳に込められた想いと味。
鯛茶漬け、芋がらの煮物、あんこう鍋……
その料理の奥に、江戸の暮らしと誇りが宿る。
涙も笑いも、湯気とともに立ち上る。
これは、舌と心を温める、江戸人情グルメ劇。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる