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美味しそうな匂いが漂っているキッチンに入ると、蔵之介さんがアンと遊んでくれていた。悠人たちはどこだろう?キッチンの方を見ると、ビーフシチューの鍋の前で騒いでいた。佐久弥が悠人の背後から羽交い絞めしにて、その指を彼の口に突っ込もうとしている。
「いい子マンーー!助けてよーー!」
「ぎゃはははーっ」
「もっとやっていいぞー」
「もう!」
早瀬さんが着ているコートを預かり、ハンガーに掛けた。悠人のコートと並べて眺めると、お揃いだと分かった。大人っぽいデザインだと思っていたら、こういうことだったのか。グレー系と紺色系だ。
みんなが居る前で、黒崎が普段通りの脱ぎっぷりを披露し始めた。シャツまで散らかしている。さすがにここでは止めてもらいた。慌てて叱りつけた。
「黒崎さんっ。恥ずかしいからやめて!」
「キャーーとは言わないだろう」
「キャーーーーッ」
「バカヤロウ」
笑いながらリビングを出て行った。寝室で着替えてくるだろう。散らばったスーツ類をかき集めて、ランドリーバスケットへ放り込んで来た。
戻ってきた時には蔵之介さんから羨ましいと言われた。佐久弥が脱ぎ散らしたものを、同じように片づけているからだという。とてもそういう風には見えないのに。たまには自分が脱ぎ散らかした物を代わりに片付けてもらいたいらしい。
「佐久弥が?几帳面なのに」
「俺の前では別人だ。あれしろ、これしろ。あれが食べたいって……」
「うへへ……」
パートナー限定で甘えているのか。それなら黒崎も同じだろう。急に愛おしく思えた。
着替えて降りてきた姿を見て、改めて愛おしくなった。外ではピシッとしているが、家の中でも同じだ。若干はダラっとする程度だ。わずかな違いでも俺にしか見せていない。これほど脱ぎ散らしている姿もだ。
深い色のニットからは、すっきりした首筋が見えている。俺のことを見降ろす角度だと、長いまつ毛が気だるげだ。指先は綺麗に爪が切りそろえられていて、清潔感の塊だ。頬にふれた指先は温かく、低い声も魅力的だ。
「エロガキ」
「うひゃひゃひゃ……いひゃっ」
「俺が減るから見るな」
「何だよ~っ。減ったら足してあげるから、思う存分眺めさせてよ」
「……」
何も言い返すことなく、黒崎がソファーへ座った。後ろを追いかけて、背越しに抱きついた。そして、耳たぶへ息を吹きかけた。くすぐったそうに笑っている。もっとやってやろう。
「夏樹。やめろ」
「 ”やめない” 」
「マネをするな」
「ふふん……。”ここが弱いのか”?」
「こら。その気になるぞ」
やめろと耳元でつぶやいている。ここで怯むものか。肩にすがりついて重し掛かると、身体を抱き上げるようにして引っ張られて、ソファーの背を乗り越えた。そして、黒崎の膝の上に座ると、頬へキスをした。さらに耳を引っ張ったり頬をつねり合ったりした。
「黒崎さん……」
「ここで味見をしたい」
唇が近づいたとき、テレビからにぎやかな声が聞こえてきた。バラエティー番組が始まった。そこでやっと状況を思い出して、パッと起き上がった。キッチンからは視線が注がれている。悠人が呆れた様子でマグカップを差し出してきた。
「はいはい。仲がいいのはいいことだよ!これでも飲んで落ち着きなよー」
「ありがとう……。うへへ……」
「……」
黒崎にしては珍しいことだ。人前ではイチャつかないのに。決まりが悪そうにしている。堂々と笑っていると、下唇を引っ張られてしまった。
「いい子マンーー!助けてよーー!」
「ぎゃはははーっ」
「もっとやっていいぞー」
「もう!」
早瀬さんが着ているコートを預かり、ハンガーに掛けた。悠人のコートと並べて眺めると、お揃いだと分かった。大人っぽいデザインだと思っていたら、こういうことだったのか。グレー系と紺色系だ。
みんなが居る前で、黒崎が普段通りの脱ぎっぷりを披露し始めた。シャツまで散らかしている。さすがにここでは止めてもらいた。慌てて叱りつけた。
「黒崎さんっ。恥ずかしいからやめて!」
「キャーーとは言わないだろう」
「キャーーーーッ」
「バカヤロウ」
笑いながらリビングを出て行った。寝室で着替えてくるだろう。散らばったスーツ類をかき集めて、ランドリーバスケットへ放り込んで来た。
戻ってきた時には蔵之介さんから羨ましいと言われた。佐久弥が脱ぎ散らしたものを、同じように片づけているからだという。とてもそういう風には見えないのに。たまには自分が脱ぎ散らかした物を代わりに片付けてもらいたいらしい。
「佐久弥が?几帳面なのに」
「俺の前では別人だ。あれしろ、これしろ。あれが食べたいって……」
「うへへ……」
パートナー限定で甘えているのか。それなら黒崎も同じだろう。急に愛おしく思えた。
着替えて降りてきた姿を見て、改めて愛おしくなった。外ではピシッとしているが、家の中でも同じだ。若干はダラっとする程度だ。わずかな違いでも俺にしか見せていない。これほど脱ぎ散らしている姿もだ。
深い色のニットからは、すっきりした首筋が見えている。俺のことを見降ろす角度だと、長いまつ毛が気だるげだ。指先は綺麗に爪が切りそろえられていて、清潔感の塊だ。頬にふれた指先は温かく、低い声も魅力的だ。
「エロガキ」
「うひゃひゃひゃ……いひゃっ」
「俺が減るから見るな」
「何だよ~っ。減ったら足してあげるから、思う存分眺めさせてよ」
「……」
何も言い返すことなく、黒崎がソファーへ座った。後ろを追いかけて、背越しに抱きついた。そして、耳たぶへ息を吹きかけた。くすぐったそうに笑っている。もっとやってやろう。
「夏樹。やめろ」
「 ”やめない” 」
「マネをするな」
「ふふん……。”ここが弱いのか”?」
「こら。その気になるぞ」
やめろと耳元でつぶやいている。ここで怯むものか。肩にすがりついて重し掛かると、身体を抱き上げるようにして引っ張られて、ソファーの背を乗り越えた。そして、黒崎の膝の上に座ると、頬へキスをした。さらに耳を引っ張ったり頬をつねり合ったりした。
「黒崎さん……」
「ここで味見をしたい」
唇が近づいたとき、テレビからにぎやかな声が聞こえてきた。バラエティー番組が始まった。そこでやっと状況を思い出して、パッと起き上がった。キッチンからは視線が注がれている。悠人が呆れた様子でマグカップを差し出してきた。
「はいはい。仲がいいのはいいことだよ!これでも飲んで落ち着きなよー」
「ありがとう……。うへへ……」
「……」
黒崎にしては珍しいことだ。人前ではイチャつかないのに。決まりが悪そうにしている。堂々と笑っていると、下唇を引っ張られてしまった。
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