白い雫の天使~親愛なる人への旋律

夏目奈緖

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 俺が出て行くと、記者達がICレコーダーを差し出してきた。ヴィジブルレイのナツキさんですよね?と確認を取られて、そうですと答えた。これがきっかけで、記者達が俺のそばに来た。

 しかし、しつこい奴がいた。悠人の肩を引いている。三度もだ。悠人がやめて下さいと制止しているのにだ。それを見て、身体が震えた。まるで子供の頃の自分のようだったからだ。しかし、俺は母と約束した。暴力沙汰にはしないと。

「なつきーーー、だめだって!」
「悠人……」

 悠人から抱きしめられた。カメラのシャッターが切られ続けている。光が眩しい。そして、カメラが怖いという感情が出てきた。さらに、カメラマンを殴り倒したいという考えが浮かんだ。

「なつきーー」
「悠人。俺が守る……」

 こういう時は黒崎から習った方法がある。紳士的に対応することだ。悠人の身体を引き離して、記者達の前に仁王立ちになった。

「ヴィジブルレイのナツキです!ご用件をお伺いします!」

 俺が言うと、次々とシャッターが切られた。悠人がもう一度、俺のことを抱きしめた。佳代子さんが俺の後ろに立ち、背中をさすってくれている。するとその時だ。タクシーが近づいてきて、停車した。降りてきたのは早瀬さんだった。

「悠人!こっちに来い!」
「裕理さん!そのままにして!」
 
 悠人が叫んだ。しかし、早瀬さんが俺達の前に入り込み、記者達の前に立った。

「君たち、しつこいぞ!」
「コメントを頂くだけです。森井物産の事件の感想を聞きたいだけです」
「無関係だ。世間話は出来ない」

 早瀬さんが彼らを制止すると、別の記者が聞いてきた。久田さんとはどのようなご関係ですか?と。ここで声を荒げれば、身体接触を招きかねない。それが目的だろうか。

 早瀬さんが悠人のことを背後に隠した。その時、悠人から腕を押さえられていたけれど、後ろに下がらせた。そして、俺のことを佳代子さんへ促した。

「この子には無関係です。お引き取りください」
「その方は久田悠人さんですよね?森井物産、森井美夕氏の交際相手とは会ったことがありますか?」
「そういう子はいません。見当違いです」
「ここは社長宅ですよね?ユートさんでしょう?」
「そういう子はいません!」

 早瀬さんがもう一度、記者達に言い切った。彼らが静まりかえった隙に、悠人の身体を遠藤さんの家の門の向こうへ押しやった。俺達も玄関に向かった。

「見ず知らずの相手に、因縁をつけた意味が分かりますか?ここで帰るなら追求しません」

 早瀬さんの言葉に、記者達が怯んだ様子を見せた。そして、一歩引いたときに、遠くの方からタクシーが走ってきた。さらにパトカーのサイレンも聞こえてきた。タクシーから降りてきたのは父だった。そして、警察官が駆け寄って来た。さっそく警察への対応を始めて、自分もその中に入った。
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