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午前7時。
朝食を終えた後、リビングで、お互いの日課を始めた。俺の方は仕事の資料を読むことで、夏樹は大学のノート整理だ。今朝は"夏樹の報告書”を作成した。本人が隣に座っているが、覗き込むようなことはしてこない。夏樹の横顔を見つめると、普段通りに顔色がいい。一年前は青白い日が多かった。今では食事量が増えて、熱を出す回数も減った。
「熱を出さなくなったな。自分でも気づいていたか?」
「うん。何となく違うなあって。食べてるからだよね?……仕事の穴を開けられないから、自覚したんだと思う。冷やさないようにしてるし。分かっているなら、早くやれって思うだろー?」
「いいや、それが成長だ。これから進んで行けばいい。急いで大人になるな」
「なんだよー?ガキだって言ってるくせに」
「憎まれ口を叩くからだ」
夏樹の頬をつまんで引っ張ってやった。そして、くすぐったそうに身動いだタイミングで抱き寄せた。こめかみへ唇を押し当てると、照れくさそうに顔を赤くした。そして、何度かキスを繰り返すと、諦めたと言いながら、もたれ掛かってきた。向かい合った顔は赤いままだ。
もうすぐで誕生日を迎える。特別に欲しいものはないと言われた。それでは気が収まらない。何か思いつかないのか?そう聞くたびに、首を横に振られている。
「誕生日プレゼントのことを聞きたい。何がいい?花の苗セット以外だ」
「それが欲しい物だよ。夏の花壇用に欲しいもん。あとは思いつかない。普段から買ってくれるからさー。黒崎さんだって、同じことを言ったのに。プレゼントは要らないって」
「それはそれだ。お前は遠慮をする。もっと我満を言え」
「言っているよー?スイーツも買ってもらっているし」
「それじゃ足りない」
会社の部長連中から聞いた話では、会食や飲み会で遅くなる日が続くと、家族から文句を言われるそうだ。この子の場合は異なる。フローラル系の匂いが付いていれば機嫌を悪くするが、遅くなることには文句を言わない。自分としては寂しくもある。もっと家に居ろと言われたい。
何か言うまでやめないぞ。頬を撫でてはキスをしていると、耳たぶをつまんで仕返しをされた。赤い頬のままで唇を尖らせている。
「黒崎さん。甘やかすなよ~」
「それのどこが悪い?誰にも迷惑をかけていない。俺の楽しみの一つだ。もっと協力してくれ」
「散歩とか家事とか、そういうのを楽しみにしろよ」
「遅く帰って来てもいいのか?今度は2時過ぎに帰宅する」
「それは、嫌だよ……」
今度は頬を膨らませた。何か心当たりがあるようだ。思いめぐらせた結果、あることに行き当たった。俺としては遠慮をしたことだ。寝ているところを起こしたくなかった。
「拗ねているのか?」
「何のことだよーー?」
「当たりか。先週から抱いていないことか?寝かせたいからだった」
顎に手を添えて見上げさせた。照れくさそうに笑っている顔を見ているうちに、ある悪戯心が芽生えた。出勤まで少々の時間がある。軽く機嫌を取りたい。
「夏樹。少しキスをしよう」
「やだよ~~」
夏樹の身体をソファーに押し倒すと、即座に文句がかえってきた。適当にするならやめろと唇を尖らされた。先週のことが引きずっているらしい。お詫びに心を込めると言い返して、さらに起き上がろうとした体を押し倒した。そして、微笑み合ってキスをした。そうしているうちに出勤の時間になり、仕方なくやめた。今夜に取っておく。そう言うと、夏樹が顔を赤くして、可愛らしいと思った。
朝食を終えた後、リビングで、お互いの日課を始めた。俺の方は仕事の資料を読むことで、夏樹は大学のノート整理だ。今朝は"夏樹の報告書”を作成した。本人が隣に座っているが、覗き込むようなことはしてこない。夏樹の横顔を見つめると、普段通りに顔色がいい。一年前は青白い日が多かった。今では食事量が増えて、熱を出す回数も減った。
「熱を出さなくなったな。自分でも気づいていたか?」
「うん。何となく違うなあって。食べてるからだよね?……仕事の穴を開けられないから、自覚したんだと思う。冷やさないようにしてるし。分かっているなら、早くやれって思うだろー?」
「いいや、それが成長だ。これから進んで行けばいい。急いで大人になるな」
「なんだよー?ガキだって言ってるくせに」
「憎まれ口を叩くからだ」
夏樹の頬をつまんで引っ張ってやった。そして、くすぐったそうに身動いだタイミングで抱き寄せた。こめかみへ唇を押し当てると、照れくさそうに顔を赤くした。そして、何度かキスを繰り返すと、諦めたと言いながら、もたれ掛かってきた。向かい合った顔は赤いままだ。
もうすぐで誕生日を迎える。特別に欲しいものはないと言われた。それでは気が収まらない。何か思いつかないのか?そう聞くたびに、首を横に振られている。
「誕生日プレゼントのことを聞きたい。何がいい?花の苗セット以外だ」
「それが欲しい物だよ。夏の花壇用に欲しいもん。あとは思いつかない。普段から買ってくれるからさー。黒崎さんだって、同じことを言ったのに。プレゼントは要らないって」
「それはそれだ。お前は遠慮をする。もっと我満を言え」
「言っているよー?スイーツも買ってもらっているし」
「それじゃ足りない」
会社の部長連中から聞いた話では、会食や飲み会で遅くなる日が続くと、家族から文句を言われるそうだ。この子の場合は異なる。フローラル系の匂いが付いていれば機嫌を悪くするが、遅くなることには文句を言わない。自分としては寂しくもある。もっと家に居ろと言われたい。
何か言うまでやめないぞ。頬を撫でてはキスをしていると、耳たぶをつまんで仕返しをされた。赤い頬のままで唇を尖らせている。
「黒崎さん。甘やかすなよ~」
「それのどこが悪い?誰にも迷惑をかけていない。俺の楽しみの一つだ。もっと協力してくれ」
「散歩とか家事とか、そういうのを楽しみにしろよ」
「遅く帰って来てもいいのか?今度は2時過ぎに帰宅する」
「それは、嫌だよ……」
今度は頬を膨らませた。何か心当たりがあるようだ。思いめぐらせた結果、あることに行き当たった。俺としては遠慮をしたことだ。寝ているところを起こしたくなかった。
「拗ねているのか?」
「何のことだよーー?」
「当たりか。先週から抱いていないことか?寝かせたいからだった」
顎に手を添えて見上げさせた。照れくさそうに笑っている顔を見ているうちに、ある悪戯心が芽生えた。出勤まで少々の時間がある。軽く機嫌を取りたい。
「夏樹。少しキスをしよう」
「やだよ~~」
夏樹の身体をソファーに押し倒すと、即座に文句がかえってきた。適当にするならやめろと唇を尖らされた。先週のことが引きずっているらしい。お詫びに心を込めると言い返して、さらに起き上がろうとした体を押し倒した。そして、微笑み合ってキスをした。そうしているうちに出勤の時間になり、仕方なくやめた。今夜に取っておく。そう言うと、夏樹が顔を赤くして、可愛らしいと思った。
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