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そうだろ?そう話しかけようとすると、着信が鳴った。伊吹からだった。さっそく電話に出た。聞こえてきたのは、テンションの高い声だ。番組の録画を観たと言っている。電話越しでも暑苦しさが伝わって来た。
「夏樹っ、見たぞ。良かったぞ!お母さんもそう話していた」
「お母さんからは、まだ電話が来ていなくて」
「息子に色気を感じて恥ずかしいから、落ち着いた後で電話をするそうだ」
「なんだ、よかったよ。心配だったんだ。感想もそうだけど。喜んでいたかな?」
「もちろんだ。息子がこの曲を歌う年になったのかと、お父さんも驚いていたそうだ。それだけ上手だったということだ。そう受け取っておけ。夏樹っ、お兄ちゃんはな……」
「ウンウン……」
両親が元気だと聞いて安心できた。ここにも ”困ったお兄ちゃん” が存在する。早く電話を切ってしまいたい。一方的な思い込みと、喋りを披露するに決まっている。
黒崎のことも気になっている。チラッと振り向くと、まだ動かずに画面を眺めている。
「夏樹っ。あの色気はどういうことだ!?出演者が、ビビっていたじゃないかっ。この後のトークも見た。”本当に20歳なの?””もうすぐ、21歳になるって?サバを読んでいるでしょう”。そう言われていたぞ。覚えているのか?」
「もちろん覚えているよ~」
いいものを表現したかった。その結果、出演者から拍手喝采で迎えられた。20歳なのにと。経験不足ながらも、良くやったという意味合いだ。
「夏樹っ。顔を赤くしていた男性がいた。女性は喜んでいたけど。兄としては悪い子になったと思う!」
「何を言ってるんだよ?褒めてもらえたし、スタジオ内が盛り上がったよ。アドバイスは羽音さんからだよ。黒崎さんのことを誘惑するつもりで歌ったら、成功したんだよ」
「やっぱりそうだったのか!……弟であるお前を見て、俺のシークレットな件が、落ち着きを失ったぞ!黒崎さんへ抗議したい。夏樹に変なことを教えるなと」
「黒崎さんは動けないんだ。ギックリ腰になりかけたみたい」
「俺と同じなんだろう。この後は……」
「また今度ね。シークレットの件は聞きたくないよ」
「じゃあな。これからヤルのか?」
「バカヤロウ……」
さっさと電話を切ってやった。黒崎へ振り向くと、まだ呆然としていた。どう声をかければいいのか。
ここで誤解を解こう。羽音さんからは友達になりたいと言ってもらえた。まだ慣れていないため、連絡先は長谷部さんと羽音さんが交換した。俺はまだ個人的に連絡先を交換することを、IKUから禁止されている。丁寧に断ると事情を理解された。彼もまた新人の頃は同じだったそうだ。懐かしいと笑っていた。IKUを通じて付き合いができる。カフェでランチを食べるなどだ。
「黒崎さん。あのね……」
「先にいいか?羽音さんからのアドバイスなのか。あの歌い方は」
「そうだよ。誰とは言わないけど、誘惑したい相手が目の前にいる設定だよ。上手くいったと思うけど……」
すると、黒崎の表情が和らいだ。左手へ軽くキスをして離してもらえた。すまないと謝りながら。やっぱり妬いていたのか。誘惑したのが自分自身だと知り、機嫌を直している。ここではツッコまないでおこう。決まりが悪いなら尚更だ。頬へキスだけ返しておいた。
そろそろ出掛けようかと話を向けた時に、黒崎の方へ着信が鳴った。晴海さんからだろうか?明日、お義父さん達と一緒に、お墓まいりへ行くと話していた。
「裕理からだ。グループ内で言い争いが起きている。小さなものだ。書斎で話してくる」
「りょーかい。気にしないで」
俺の頭を軽く撫でた後、黒崎が二階へ上がって行った。その間に出かける支度を始めた。
「夏樹っ、見たぞ。良かったぞ!お母さんもそう話していた」
「お母さんからは、まだ電話が来ていなくて」
「息子に色気を感じて恥ずかしいから、落ち着いた後で電話をするそうだ」
「なんだ、よかったよ。心配だったんだ。感想もそうだけど。喜んでいたかな?」
「もちろんだ。息子がこの曲を歌う年になったのかと、お父さんも驚いていたそうだ。それだけ上手だったということだ。そう受け取っておけ。夏樹っ、お兄ちゃんはな……」
「ウンウン……」
両親が元気だと聞いて安心できた。ここにも ”困ったお兄ちゃん” が存在する。早く電話を切ってしまいたい。一方的な思い込みと、喋りを披露するに決まっている。
黒崎のことも気になっている。チラッと振り向くと、まだ動かずに画面を眺めている。
「夏樹っ。あの色気はどういうことだ!?出演者が、ビビっていたじゃないかっ。この後のトークも見た。”本当に20歳なの?””もうすぐ、21歳になるって?サバを読んでいるでしょう”。そう言われていたぞ。覚えているのか?」
「もちろん覚えているよ~」
いいものを表現したかった。その結果、出演者から拍手喝采で迎えられた。20歳なのにと。経験不足ながらも、良くやったという意味合いだ。
「夏樹っ。顔を赤くしていた男性がいた。女性は喜んでいたけど。兄としては悪い子になったと思う!」
「何を言ってるんだよ?褒めてもらえたし、スタジオ内が盛り上がったよ。アドバイスは羽音さんからだよ。黒崎さんのことを誘惑するつもりで歌ったら、成功したんだよ」
「やっぱりそうだったのか!……弟であるお前を見て、俺のシークレットな件が、落ち着きを失ったぞ!黒崎さんへ抗議したい。夏樹に変なことを教えるなと」
「黒崎さんは動けないんだ。ギックリ腰になりかけたみたい」
「俺と同じなんだろう。この後は……」
「また今度ね。シークレットの件は聞きたくないよ」
「じゃあな。これからヤルのか?」
「バカヤロウ……」
さっさと電話を切ってやった。黒崎へ振り向くと、まだ呆然としていた。どう声をかければいいのか。
ここで誤解を解こう。羽音さんからは友達になりたいと言ってもらえた。まだ慣れていないため、連絡先は長谷部さんと羽音さんが交換した。俺はまだ個人的に連絡先を交換することを、IKUから禁止されている。丁寧に断ると事情を理解された。彼もまた新人の頃は同じだったそうだ。懐かしいと笑っていた。IKUを通じて付き合いができる。カフェでランチを食べるなどだ。
「黒崎さん。あのね……」
「先にいいか?羽音さんからのアドバイスなのか。あの歌い方は」
「そうだよ。誰とは言わないけど、誘惑したい相手が目の前にいる設定だよ。上手くいったと思うけど……」
すると、黒崎の表情が和らいだ。左手へ軽くキスをして離してもらえた。すまないと謝りながら。やっぱり妬いていたのか。誘惑したのが自分自身だと知り、機嫌を直している。ここではツッコまないでおこう。決まりが悪いなら尚更だ。頬へキスだけ返しておいた。
そろそろ出掛けようかと話を向けた時に、黒崎の方へ着信が鳴った。晴海さんからだろうか?明日、お義父さん達と一緒に、お墓まいりへ行くと話していた。
「裕理からだ。グループ内で言い争いが起きている。小さなものだ。書斎で話してくる」
「りょーかい。気にしないで」
俺の頭を軽く撫でた後、黒崎が二階へ上がって行った。その間に出かける支度を始めた。
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