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16-7(夏樹視点)
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13時。
日本料理店でお昼ご飯を食べた後、フラワーショップへ立ち寄った。お墓に供える花を買うためにだ。
お洒落な街を歩いて行くと、その目的のお店が見えてきた。背の高い観葉植物が置かれた、ジャンルのような店構えだ。”Belle personne”という。
オーナーの北岡さんは、お義父さんとは10年以上の付き合いだ。華道家としても活躍している。そして、聡太郎の元バイト先でもある。
「久しぶりにきたよ。北岡さん、元気かな?」
「先月、会った。お前がレコーディングで留守にした日だ」
「こんにちはー。黒崎と申します」
「お待ちしておりましたー」
北岡さんは留守にしていた。店員さんから、毎年のように予約している白いカーネーションの受け取った。シンプルながら、華やかなイメージで作ったそうだ。春だしと言っていた。
花を見ると気持ちが和む。さっきまで黒崎と喧嘩をしていたからだ。嫌みが多すぎると言って下唇を引っ張られて、頬もつねられた。今日は我慢する約束なのにと、さらに言い合いになった。
仲直りのきっかけは、バースデー仕様のデザートだった。和風テイストのもので、新鮮だった。草もち、あんみつ、桜もちが綺麗だった。洋菓子店でケーキを予約しているかと思ったのに。
「和風のデザートにハマりそうだよ」
「たまにはいいだろう。シャルロットキッチンの2号店だが、和風のデザートを出す計画がある。秋から冬のメニューだ。参考にするなら和菓子店へ行くか?」
「うん。行きたい。老舗もいいけど、新しい店も興味があるんだ。コンサートが終わってからだよね?チームに入るのは……」
「その予定だ。イベントが楽しみか?」
「もちろんだよ。俺も参加するし」
7月のシャルロットキッチン2号店のオープン初日には、お披露目イベントを開く。黒崎製菓の商品の宣伝も兼ねている。
ネコのシャルロット。ウサギのジュエット。それぞれの部屋を作る予定だ。俺は小さなスペースを担当させてもらえる。テーマは ”おとぎの国のウサギ” だ。黒崎からは希望があった。あくまでもファンシーにと。もちろんだと返事をした。
フラワーショップを出た。黒崎の運転する車が、首都高速を降りた。なるべく避けるようにしたのは、一昨年までの話だ。今では自然に利用している。話している内容は、唐草模様のことだ。黒崎は気にらない様子だ。シャルロットキッチンで使うなという。俺が入るメニュー構成チームでは、食器やテーブルクロスも決定するからだ。
「使わないよ。コンセプトが違うからさー。和風デザートを出す時期には、取り入れてみたらどう?スタッフの制服に唐草模様を使うとか……」
「どこで売っている?そんな制服を」
即座に返って来た。嫌がりつつも興味があるようだ。素直じゃない人だ。ここは差し向けておこう。
「プラセルへ相談するといいよ。オーダーは高いかな?一貴さんに値切ってみたら?物は試しに」
「その発想が捨てられないのか」
「値切ることを?早瀬さんから頼んでもらったらいいよ。痛いところを突けるだろ?」
「図々しくなったな。いい成長だ。……これを外さないか?今日のジャケットには合わないぞ。選んだものを着る約束だ」
「ふん……」
食事に行くときは、自分で服装を選ばせてもらえない。個性的だから店で浮くそうだ。周りの人のことも考えて、定番テイストを着ている。
「気に入らないのかよ。素敵な柄なのに。お客さんが喜んでいたじゃん……」
今日は自分らしさを追加した。ジャケットのポケットに差し込んでいるハンカチのことだ。浅草で買った古典柄のものだ。力士のイラストも付いている。
昼ご飯の店には、海外からのお客さんが来ていた。黒崎とは仕事上で付き合いがあるそうで、さっそく話していた。大人しく待っていると、その中の男性からハンカチを褒められた。社交辞令ではなさそうだった。売っているサイトを見せると検索を始めていた。流暢な日本語を話す人だった。
「ジュリアス・バーテルスさん。ユリウスって呼んでいたよね?」
「そうだ。愛称で ”ユーリー” だ。」
「ドイツ語の名前かな……。難しいよ。二年生までドイツ語クラスだったのに。うっうっ」
「話が合っていたじゃないか。連絡を取るといい。会話の勉強になる」
「ヤキモチを妬かないの?21歳になったら興味がなくなった?」
「バカヤロウ。38歳の彼から見るとガキだ」
「え?あんたは36歳だよ?今朝、何をしたっけ?」
「泣かすぞ」
車が小高い丘へ進み、霊園の駐車場へ入った。ここからは言い合いをやめておこうと、お互いに黙った。
日本料理店でお昼ご飯を食べた後、フラワーショップへ立ち寄った。お墓に供える花を買うためにだ。
お洒落な街を歩いて行くと、その目的のお店が見えてきた。背の高い観葉植物が置かれた、ジャンルのような店構えだ。”Belle personne”という。
オーナーの北岡さんは、お義父さんとは10年以上の付き合いだ。華道家としても活躍している。そして、聡太郎の元バイト先でもある。
「久しぶりにきたよ。北岡さん、元気かな?」
「先月、会った。お前がレコーディングで留守にした日だ」
「こんにちはー。黒崎と申します」
「お待ちしておりましたー」
北岡さんは留守にしていた。店員さんから、毎年のように予約している白いカーネーションの受け取った。シンプルながら、華やかなイメージで作ったそうだ。春だしと言っていた。
花を見ると気持ちが和む。さっきまで黒崎と喧嘩をしていたからだ。嫌みが多すぎると言って下唇を引っ張られて、頬もつねられた。今日は我慢する約束なのにと、さらに言い合いになった。
仲直りのきっかけは、バースデー仕様のデザートだった。和風テイストのもので、新鮮だった。草もち、あんみつ、桜もちが綺麗だった。洋菓子店でケーキを予約しているかと思ったのに。
「和風のデザートにハマりそうだよ」
「たまにはいいだろう。シャルロットキッチンの2号店だが、和風のデザートを出す計画がある。秋から冬のメニューだ。参考にするなら和菓子店へ行くか?」
「うん。行きたい。老舗もいいけど、新しい店も興味があるんだ。コンサートが終わってからだよね?チームに入るのは……」
「その予定だ。イベントが楽しみか?」
「もちろんだよ。俺も参加するし」
7月のシャルロットキッチン2号店のオープン初日には、お披露目イベントを開く。黒崎製菓の商品の宣伝も兼ねている。
ネコのシャルロット。ウサギのジュエット。それぞれの部屋を作る予定だ。俺は小さなスペースを担当させてもらえる。テーマは ”おとぎの国のウサギ” だ。黒崎からは希望があった。あくまでもファンシーにと。もちろんだと返事をした。
フラワーショップを出た。黒崎の運転する車が、首都高速を降りた。なるべく避けるようにしたのは、一昨年までの話だ。今では自然に利用している。話している内容は、唐草模様のことだ。黒崎は気にらない様子だ。シャルロットキッチンで使うなという。俺が入るメニュー構成チームでは、食器やテーブルクロスも決定するからだ。
「使わないよ。コンセプトが違うからさー。和風デザートを出す時期には、取り入れてみたらどう?スタッフの制服に唐草模様を使うとか……」
「どこで売っている?そんな制服を」
即座に返って来た。嫌がりつつも興味があるようだ。素直じゃない人だ。ここは差し向けておこう。
「プラセルへ相談するといいよ。オーダーは高いかな?一貴さんに値切ってみたら?物は試しに」
「その発想が捨てられないのか」
「値切ることを?早瀬さんから頼んでもらったらいいよ。痛いところを突けるだろ?」
「図々しくなったな。いい成長だ。……これを外さないか?今日のジャケットには合わないぞ。選んだものを着る約束だ」
「ふん……」
食事に行くときは、自分で服装を選ばせてもらえない。個性的だから店で浮くそうだ。周りの人のことも考えて、定番テイストを着ている。
「気に入らないのかよ。素敵な柄なのに。お客さんが喜んでいたじゃん……」
今日は自分らしさを追加した。ジャケットのポケットに差し込んでいるハンカチのことだ。浅草で買った古典柄のものだ。力士のイラストも付いている。
昼ご飯の店には、海外からのお客さんが来ていた。黒崎とは仕事上で付き合いがあるそうで、さっそく話していた。大人しく待っていると、その中の男性からハンカチを褒められた。社交辞令ではなさそうだった。売っているサイトを見せると検索を始めていた。流暢な日本語を話す人だった。
「ジュリアス・バーテルスさん。ユリウスって呼んでいたよね?」
「そうだ。愛称で ”ユーリー” だ。」
「ドイツ語の名前かな……。難しいよ。二年生までドイツ語クラスだったのに。うっうっ」
「話が合っていたじゃないか。連絡を取るといい。会話の勉強になる」
「ヤキモチを妬かないの?21歳になったら興味がなくなった?」
「バカヤロウ。38歳の彼から見るとガキだ」
「え?あんたは36歳だよ?今朝、何をしたっけ?」
「泣かすぞ」
車が小高い丘へ進み、霊園の駐車場へ入った。ここからは言い合いをやめておこうと、お互いに黙った。
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