白い雫の天使~親愛なる人への旋律

夏目奈緖

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 18時30分。

 今、ステージに立っている。照明は落とされている。俺達はそれぞれポジショニングをして、始まるのを待っている。デビューステージでは俺が吹き込んだアナウンスを使ったが、今回は俺と悠人で吹き込んだ。お互いの声の強弱がピッタリ合い、高宮さんが驚いていた。

「……Visible ray……ray of light、光線……、Far from heaven 天国から遠く離れて……」
 
 白い檻は蹴飛ばされた後だ。素顔に近い佐久弥がステージに立つ。俺達は生まれ変わった彼のステージのお手伝いをする。俺と悠人のメイクは悪魔風だ。素顔の佐久弥が際立つようにした。しかし、高宮さんが言うには、俺達のことを目立たせようとしている佐久弥のアイデアだと言っていた。

 今日の俺は白い衣装を着ている。照明が当たれば銀色っぽく光る仕組みだ。悠人と佐久弥はロックミュージシャンらしい、黒の革ジャケットと革パン姿だ。3日間、それぞれ衣装を変えた。ステージサイドで見た時には、かっこよくて、俺もこっちの方がいいと言ったら、長谷部さんから叱られた。衣装係さんの前で何を言うのかと。俺の発言にスタッフさん達から笑いが起こったし、衣装係さんも気を悪くした風はなかった。俺の白い衣装は自信作だと言っていた。

 ステージでは白い花びらが舞っている。いよいよスタートだ。スタンドマイクの前に立ち、すうっと深呼吸をした。そして、ドラムの音が鳴り響き、ベースとギターの旋律が奏でられた。俺はありったけの声を張り上げて、開幕を告げた。それと同時に、白い照明がステージを包んだ。

「……‥Visible ray……ray of light……‥Get upーー!!」

 最後は悠人も声を張り上げた。すると、観客席が波打つようになり、みんなが立って拳を突き上げているのが分かった。開幕のシャウトが成功したと分かった瞬間だった。

 ステージ照明が赤くなったり白くなったりしている。その中を観客席に向けて歌声を乗せた。すると、曲を覚えてくれているようで、リズムに合わせて観客がジャンプをしたり、拳を突き上げたりしている光景が見れて、胸がいっぱいになった。

 ワーーーーーー!

 ナツキーーー!ユウトーーー!サクヤーーー!

 胸の鼓動が高鳴っている。しかし、すぐに落ち着いた。悠人が俺のそばに来たからだ。IRON ANGELでやったのと同じように、向かい合わせになり、ジャンプをした。

(なつきーー。俺達がいるから大丈夫だ!)
(ありがとう!)

 リズムギターの佐久弥は動かないままだ。あくまでも俺達に華を持たせてくれている。俺が出来るのは、フロントマンの役目を果たすことだ。だから精一杯の歌声を上げた。
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