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2時限目は量子学の授業だ。765教室へ入ると、半分しか席が埋まっていなかった。個性的な教授だからか、好き嫌いが分かれるようだ。神仙教授という。意地悪で有名らしく、授業を取る生徒が少ない。俺は意地悪をされたことがない。他の生徒も同じことを言っていた。意地悪ではないのかも知れない。
隣に座っている悠人がタブレットを開いた。今日の講演会の内容が載っている。そこに、黒崎のプロフィール画像が出ている。
「14時から大ホールだね。黒崎製菓、常務取締役兼営業企画部部長、黒崎圭一さん。女の子が殺到したそうだよ?」
「サイトに顔を出すからだよ。ふん……」
「夏樹のパートナーだと知られたいから、引き受けたんだろ?妬くことないよー」
3年生と4年生を対象にした講演だが、人気があり抽選になった。有名な研究者が講師で招かれたなら納得できるのに。黒崎の写真がサイトに掲載された直後、申し込みが殺到したそうだ。教務課の人から聞いた話だから、間違いない。なぜそれを聞けたのか?それには理由がある。
黒崎が頼んだようで、毎月、学生相談室へ呼ばれているからだ。学内で困ったことはないか?と聞かれている。保健センターでも、同じように聞かれている。心配症のパートナーだと話が通っていたのに、束縛男だと知られてしまった。そこで今回の話を教えてもらった。
11月の枠で担当する予定だったが、講師が急遽キャンセルになり、空いた枠で黒崎が担当することになった。早い時期に顔を覚えてもらいたいから、都合がいいと笑っていた。当初決まっていた人に何かしたのではないだろうかと心配になった。
「うっうっ。これでまた噂が広がるよ~」
「仕事の都合だよ。そう思っておいたらー?」
「ゆうとー、また真実が明るみに出そうで怖いんだよ」
「黒崎君。神仙教授のことを話しておきたいけど、いいかな?」
そばの席に座っていた日下が声をかけてきた。隣の八代が戸惑っている。あとでビックリしたくないから、今のうちに聞いておこう。日下が怖い事じゃないぞと笑った。
「黒崎製菓が理学部を応援している。神仙教授の研究室も。生徒全体に妙な真似をするなと、お触れが出ている。……黒崎君のお兄さんの伊吹さんも関与しているぞ。教授の弱みを握っているからって……」
緊急時以外は、指一本触れるな。食事に誘うな。余計なことをするなと、学部長から指令が出たそうだ。真っ当な話だから悪くはないが、その目的が問題だ。ヤキモチを妬かないようにするためだろう。
「”惑星環境学科3年生を安全に卒業させること”。こんな指令も出ているそうだ。……そんなに落ち込むなよ。ああ、神仙教授が入って来た。あれ?お菓子の差し入れだそうだ」
神仙教授がお菓子を配り始めた。その後ろには黒崎が居るような気がして、頭が痛くなった。
「あ……」
するとその時だ。タイミングよく、黒崎からラインが入った。講演の前に学食へ来るそうだ。俺の友達と親交を深めるために。新しい噂が広がりそうで怖い。悠人からは背中を叩かれた。諦めようねと言われた。
配られたマドレーヌを食べた後、授業が始まった。急に眠気が起きて、何とか目を開けつつノートを取った。身体がダルくて重い。悠人から肩を揺すられているが、そのまま寝てしまった。
隣に座っている悠人がタブレットを開いた。今日の講演会の内容が載っている。そこに、黒崎のプロフィール画像が出ている。
「14時から大ホールだね。黒崎製菓、常務取締役兼営業企画部部長、黒崎圭一さん。女の子が殺到したそうだよ?」
「サイトに顔を出すからだよ。ふん……」
「夏樹のパートナーだと知られたいから、引き受けたんだろ?妬くことないよー」
3年生と4年生を対象にした講演だが、人気があり抽選になった。有名な研究者が講師で招かれたなら納得できるのに。黒崎の写真がサイトに掲載された直後、申し込みが殺到したそうだ。教務課の人から聞いた話だから、間違いない。なぜそれを聞けたのか?それには理由がある。
黒崎が頼んだようで、毎月、学生相談室へ呼ばれているからだ。学内で困ったことはないか?と聞かれている。保健センターでも、同じように聞かれている。心配症のパートナーだと話が通っていたのに、束縛男だと知られてしまった。そこで今回の話を教えてもらった。
11月の枠で担当する予定だったが、講師が急遽キャンセルになり、空いた枠で黒崎が担当することになった。早い時期に顔を覚えてもらいたいから、都合がいいと笑っていた。当初決まっていた人に何かしたのではないだろうかと心配になった。
「うっうっ。これでまた噂が広がるよ~」
「仕事の都合だよ。そう思っておいたらー?」
「ゆうとー、また真実が明るみに出そうで怖いんだよ」
「黒崎君。神仙教授のことを話しておきたいけど、いいかな?」
そばの席に座っていた日下が声をかけてきた。隣の八代が戸惑っている。あとでビックリしたくないから、今のうちに聞いておこう。日下が怖い事じゃないぞと笑った。
「黒崎製菓が理学部を応援している。神仙教授の研究室も。生徒全体に妙な真似をするなと、お触れが出ている。……黒崎君のお兄さんの伊吹さんも関与しているぞ。教授の弱みを握っているからって……」
緊急時以外は、指一本触れるな。食事に誘うな。余計なことをするなと、学部長から指令が出たそうだ。真っ当な話だから悪くはないが、その目的が問題だ。ヤキモチを妬かないようにするためだろう。
「”惑星環境学科3年生を安全に卒業させること”。こんな指令も出ているそうだ。……そんなに落ち込むなよ。ああ、神仙教授が入って来た。あれ?お菓子の差し入れだそうだ」
神仙教授がお菓子を配り始めた。その後ろには黒崎が居るような気がして、頭が痛くなった。
「あ……」
するとその時だ。タイミングよく、黒崎からラインが入った。講演の前に学食へ来るそうだ。俺の友達と親交を深めるために。新しい噂が広がりそうで怖い。悠人からは背中を叩かれた。諦めようねと言われた。
配られたマドレーヌを食べた後、授業が始まった。急に眠気が起きて、何とか目を開けつつノートを取った。身体がダルくて重い。悠人から肩を揺すられているが、そのまま寝てしまった。
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