白い雫の天使~親愛なる人への旋律

夏目奈緖

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 木々が風に揺れている。昼間の明るい室内では、絡み合った腕が見える。どちらの腕なのか、分からないほどだ。密着しては離れている。ため息を共有して交換した。優しく滑っていく手が熱い。

 黒崎の肩越しに天井が見える。ぼんやりした灯りがついており、ムードを高めている。黒崎の裸の上半身を、かっこよく見せている。いつもずっとだ。

「夏樹。何を見ている?」
「黒崎さんの身体だよ……。他にはないよ」
「身体が目当てなのか」
「意地悪を言うなよ。全部だよ。見ているのは肩だよ。筋肉が落ちないね」
「前よりも付いている。筋トレを増やしている。知っているだろう」
「そうかな?腕立て伏せぐらいだろ?」
「見ていないのか。残念だ」
「ええ?だって……」
「冗談だ。苛めたかった」

 耳元で笑い声を立てられた。困った顔が好きだと言われた。その言葉で許せてしまった。お返しに、肩へキスをした。そして、汗の匂いがする肩にすがりつき、囁き声に頷いた後、溶け合うような感覚が訪れた。

 ベッドで過ごす時は、甘いムードが漂っている。強弱の違いはあるが、黒崎は優しい。お互いの肌を重ね合わせて、言葉では出来ないコミュニケーションを取っている。

 言葉を交わす夜、交わさない夜。ベッドに入った後、黒崎が決める。俺の気分を見破っているからだ。眠たくて堪らない夜は、くっついて寝ている。たまに襲われる日もある。

「息が上がったな」
「平気……」

 寝転がり、黒崎の胸の上で微睡んだ。規則正しい鼓動のリズムが心地いい。ゆっくりと、髪の毛をすくように撫でられた。何度目のことだろう?数えきれない程、優しい時間を過ごしている。さっきから足を触られている。いやらしさ満載だ。ムードが壊れてしまい、いじめたくなった。

「経験豊富な黒崎さん……」
「忘れた」
「そういう意味じゃないよ。ふん……」
「嫌われたのか?」
「聞かないでよ。嘘が下手だもん……」
「いじめた罰か?おいで」
「罰だよ。こっちに来いよ~」

 わざと端っこへ移動した。力が抜けているから、すぐに捕まって引き寄せられた。そして、元の位置に戻された後、覆いかぶさってきた。触れ合いの余韻を残した、肌の熱さを感じた。眼差しは落ち着いている。

「また捕まったのか。ちゃんと逃げろ」
「あんたの反射神経がいいからだよ。どうして覆いかぶっているんだよ?」
「これからの予定を話し合いたい。夕食まで時間がある。散歩をしよう」
「さっさと来いって?」
「機嫌が悪いな。良くさせてくれ。どうすればいい?」

 優しいキスを受け取った。近い場所に観光スポットがある。ノスタルジックな商店街だ。そこへ行きたいと口にすると、さっさと支度を始めてしまった。いつもの通りの黒崎に戻った。さあ行くぞと強引な感じで言われても、不思議と腹が立たなかった。
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