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15時。
レコーディングスタジオに入った。今、アルバムの収録中だ。今日予定されているのは一曲だけだ。佐久弥が作曲した物に俺が歌詞を付けた。昨日は悠人の楽曲だった。マイクに向けて歌声を上げた後、ガラスの向こうで高宮さんが俺に合図をしてきた。中に入ってくれということだ。
ドアを開けて高宮さんの元に行くと、佐久弥が笑っていた。高宮さんもだ。どこかおかしかったのだろうか。
「変でしたか?音程がずれていましたか?」
「いや。上手かったからだ」
「ああ。上手かった。今朝撮ってくれた動画も観させてもらった。短期間で上達したなあ」
2人が座ったままで、大きくのびをした。そして、俺の着ている虎の顔がプリントされたTシャツを見た。いつも着ているデザインだ。一体どうしたのだろう。そこで、高宮さんがくるっと回ってくれと言ったから、そうした。
「どうしたんですか?」
「プラセルからTシャツブランドのモデルの話が来ているらしい。悠人君とのコンビだ。お兄さんから聞いてあるか?」
「いえ、まだ聞いていません」
一貴さんは何も言っていなかった。着物ブランドのモデルをやってくれないかとは、前から言われている。でも、まだ計画の段階で、具体的ではないそうだ。Tシャツもそうなのではないだろうか。すると、佐久弥が言った。
「この間、Dear dropをテレビで観ただろう?DDのバンド名を変えようかと考えているところだ。お前達の活動の範囲を広げるなら、早めにバンド名を決めないといけない。でも、なかなか良いアイデアが浮かばない。このままヴィジブルレイでやるかっていう話もある」
「そうなのか。俺、どっちでもいいです!バンドには変わらないから」
「そうだよねえ。良い名前はないかな?」
俺も考えたことがある。お風呂の中でだ。そこでふと、帰省した時のことを思い出した。色紙に、“To dear drops”と書いた。それではどうだろうか。
「"To dear drops"はどうですか?この間、通っていた高校でサインを頼まれたんです。何となく、色紙に書いたんですけど……」
「へえーーー」
「そうか……」
2人が思案顔になった後、笑顔になった。さっそく、高宮さんがノートに書き始めた。そして、今日の収録はこれで終わりだと言った。しかし、俺としては気になる箇所があるなら直したいと思っている。
「夏樹君。身体に無理はいけない」
「でも、直した方がいいところは直したいんです」
「明日にするよ。もう90分も歌っている」
「あっという間です。もっと歌いたいのに」
俺の歌の収録時間は、45分間が2回と決められている。身体に負担を掛けないためだ。先輩ボーカリストは何時間も歌うと聞いているのに。それに、明け方になってレコーディングが終わることもあると聞いている。俺の場合は夕方までと決まっている。家事と大学、勉強があるからだ。それに、生活リズムを崩させたくないという黒崎の希望やIKUの意見もある。しかし、もっと歌いたいのにと思い、もどかしくなっている。
「なつきーー。その気持ちは分かる気がする。でもなーー。生活リズムは決まっていた方がいい」
「その通りだ。健康面にも悪影響だ」
「はい」
ここは素直に頷くのがいいだろう。佐久弥は夜通し作業をやるに違いない。身体に無理がきかない自分が、またもどかしくなった。そして、背中が痛いことに気づいた。佐久弥があれ?という顔になった。気づかれてしまったようだ。
「佐久弥!大丈夫だから!」
「送って行ってやる。今日はこれで俺も帰るから」
「じゃあ、また明日!」
「は、はい!」
高宮さんとスタッフさんに挨拶して会釈した。そして、佐久弥に連れられてタクシーに乗り込み、我が家に送ってもらうことになった。
レコーディングスタジオに入った。今、アルバムの収録中だ。今日予定されているのは一曲だけだ。佐久弥が作曲した物に俺が歌詞を付けた。昨日は悠人の楽曲だった。マイクに向けて歌声を上げた後、ガラスの向こうで高宮さんが俺に合図をしてきた。中に入ってくれということだ。
ドアを開けて高宮さんの元に行くと、佐久弥が笑っていた。高宮さんもだ。どこかおかしかったのだろうか。
「変でしたか?音程がずれていましたか?」
「いや。上手かったからだ」
「ああ。上手かった。今朝撮ってくれた動画も観させてもらった。短期間で上達したなあ」
2人が座ったままで、大きくのびをした。そして、俺の着ている虎の顔がプリントされたTシャツを見た。いつも着ているデザインだ。一体どうしたのだろう。そこで、高宮さんがくるっと回ってくれと言ったから、そうした。
「どうしたんですか?」
「プラセルからTシャツブランドのモデルの話が来ているらしい。悠人君とのコンビだ。お兄さんから聞いてあるか?」
「いえ、まだ聞いていません」
一貴さんは何も言っていなかった。着物ブランドのモデルをやってくれないかとは、前から言われている。でも、まだ計画の段階で、具体的ではないそうだ。Tシャツもそうなのではないだろうか。すると、佐久弥が言った。
「この間、Dear dropをテレビで観ただろう?DDのバンド名を変えようかと考えているところだ。お前達の活動の範囲を広げるなら、早めにバンド名を決めないといけない。でも、なかなか良いアイデアが浮かばない。このままヴィジブルレイでやるかっていう話もある」
「そうなのか。俺、どっちでもいいです!バンドには変わらないから」
「そうだよねえ。良い名前はないかな?」
俺も考えたことがある。お風呂の中でだ。そこでふと、帰省した時のことを思い出した。色紙に、“To dear drops”と書いた。それではどうだろうか。
「"To dear drops"はどうですか?この間、通っていた高校でサインを頼まれたんです。何となく、色紙に書いたんですけど……」
「へえーーー」
「そうか……」
2人が思案顔になった後、笑顔になった。さっそく、高宮さんがノートに書き始めた。そして、今日の収録はこれで終わりだと言った。しかし、俺としては気になる箇所があるなら直したいと思っている。
「夏樹君。身体に無理はいけない」
「でも、直した方がいいところは直したいんです」
「明日にするよ。もう90分も歌っている」
「あっという間です。もっと歌いたいのに」
俺の歌の収録時間は、45分間が2回と決められている。身体に負担を掛けないためだ。先輩ボーカリストは何時間も歌うと聞いているのに。それに、明け方になってレコーディングが終わることもあると聞いている。俺の場合は夕方までと決まっている。家事と大学、勉強があるからだ。それに、生活リズムを崩させたくないという黒崎の希望やIKUの意見もある。しかし、もっと歌いたいのにと思い、もどかしくなっている。
「なつきーー。その気持ちは分かる気がする。でもなーー。生活リズムは決まっていた方がいい」
「その通りだ。健康面にも悪影響だ」
「はい」
ここは素直に頷くのがいいだろう。佐久弥は夜通し作業をやるに違いない。身体に無理がきかない自分が、またもどかしくなった。そして、背中が痛いことに気づいた。佐久弥があれ?という顔になった。気づかれてしまったようだ。
「佐久弥!大丈夫だから!」
「送って行ってやる。今日はこれで俺も帰るから」
「じゃあ、また明日!」
「は、はい!」
高宮さんとスタッフさんに挨拶して会釈した。そして、佐久弥に連れられてタクシーに乗り込み、我が家に送ってもらうことになった。
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