白い雫の天使~親愛なる人への旋律

夏目奈緖

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27-1 シャルロットキッチン

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 7月26日、金曜日。午前0時。

 シャルロットキッチン2号店が、昨日オープンした。今日もイベントが開かれるため、黒崎は多忙だ。現場の指揮は任せても、責任者として現場に張り付く。会議等を前倒しでこなして、時間を空けた状況だ。悠人を経由して、早瀬さんからそう教えてもらった。黒崎は何も言わないからだ。

 疲れているし体力温存したいだろうと思い、勉強をやめて、大人しくベッドに入った。起きていると心配されるからだ。しかし、濃厚なキスをしながら、黒崎が覆いかぶさって来た。

「黒崎さん……。寝ろよ……。んん……」
「抱きたい。無理が掛からないようにする」
「あんたに無理がかかるよ。2日ぐらい空けろよ……」

 Tシャツの襟を引っ張るようにして離したが、その手を握り込まれた。そして、シーツに押しつけられて、胸元を唇がたどっていく。すでに脱がされた。

 歌手を続けるかの話の後、黒崎の過保護に拍車がかかった。俺のことを守ると言った通りだ。イチャつきは止めないし、今まで以上に優しくされている。それでも今日は寝てもらいたい。

 黒崎が起き上がり、Tシャツを脱いだ。ぼんやりした灯りに上半身が照らされた。いつもより色気を感じるのは、どうしてだろう。

 見慣れているのに顔が熱くなった。それをどう受け取ったのか、笑い声を立てられた。長いまつ毛が目元に影をつくり、さっきのキスで唇が濡れている。いけない魔力を放ち、翻弄された。

 咄嗟に枕で顔を隠して誤魔化した。あっさりとバリケードが取り除かれて、足元へ枕を置かれてしまった。眠いからと口実をつけても、見抜かれている。

「嘘をつくな。見ていただろう」
「見ていたよ。裸になったなあって……」
「どうして赤くなっているんだ?普段通りだろう」
「それは……。その色気をやめろよ。魔力反対。こら……。黒崎さーん」
「そう感じるのは理由がある。疲れているからだ。補給させてくれ」

 甘い眼差しにクラクラした。その隙を狙って唇を奪われた。角度を変える度に見つめられては、降参するしかない。

 しかし、ベッドのことでは少しだけ不満がある。あれ以来、さらに優しく触れられている。もっと強引でもいいと思う。つまりは元通りがいいということだ。しかし、それを言い出すことが出来ない。さすがにこういう話題は躊躇する。はっきり言う俺でも。

 黒崎の背中に両腕を回して、力を入れた。すると、心配そうに動くのを止められて、すがりついた。これで気づいてもらいたい。そこで見つめ合ったが、気づいてもらえなかった。嫌がる素振りはやっていないし、足も腰へ絡ませてみた。そして、ドキドキしながら引き寄せて、目を閉じた。

「夏樹。俺の想像どおりなのか?」
「たぶん。いつも通りにしてよ……」

 どうして口にしたのか。そもそも思いついたのか。一層強く色気を放たれて、逃げることが出来ない。望んだはずなのに、戸惑い始めて腰が引けてきた。自然と逃げるように身じろぐと、笑い声を立てられた。嬉しい発想だと言って。

「それでも優しくしたい」
「黒崎さーん」
「どうしてもなら、考えないこともない」
「ちょっと。んん……」

 何度が揺さぶられたが止められた。熱が行き場を失ったかのようだ。それを繰り返されては、ハッキリ言えと囁かれた。

 そこで、とうとう観念して希望を口にした後、抱き上げられて膝の上に座らされた。何度も揺れ動いた後、声を上げた。満足そうに微笑まれては蕩けそうになった。

 何時だろうと時計を見る余裕がなくて、いつの間にか横になっていた。抱き寄せられて目を閉じた。充足感に包まれながら。
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