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3-11(夏樹視点)
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翌朝、午前5時。
目を覚ますと、黒崎の寝顔がそばにあった。俺に添い寝をするようにして寝転がり、布団を着ていなかった。部屋の中はけっこう涼しいのに。これでは、黒崎まで風邪を引いてしまう。早く温まって欲しいと思った後、今日は仕事だと思い出した。
「黒崎さん。起きて。5時だよ……」
「ああ、分かっている……」
「なんだ~。起きていたのか……」
「具合はどうだ?」
「良い感じだよ。喉が痛くないんだ」
「そうか。起きるか……」
黒崎が起き上がった。俺もそうした。朝ご飯の支度がある。黒崎は寝ていろというが、そうしたくなかった。トーストと卵焼きと、山崎さんからの差入れのサラダにする。スープは黒崎が好きなメーカーのものを使う。
キッチンに下りながら、コンビニのサンドイッチがあることを思い出した。俺の朝ご飯にしようと思った。黒崎がバスルームに行った。これからシャワーだ。なんだか俺ばかりがバタバタしている気がする。いつもの時間に起きられたから、そんなに急がなくても良いのかと思い直した。
少し経って、黒崎がシャワーを浴びて出てきた。俺は朝ご飯の支度を続けていて、振り返らずに話しかけた。
「ららら~。ほら、大丈夫だろ?」
「また腫れるかも知れないぞ。今日は親父の家で寝ていろ。顔色はいいな」
「うん」
二人で顔を見合わせた。そこで、俺はドキッとした。黒崎の顔立ちが変化していたからだ。威圧感があるのは同じでも、何かが違う。お義父さんの若い頃の写真が思い当たった。
「黒崎さん、お義父さんの若い頃の写真に似ているよ」
「親子だからな」
黒崎が笑った。笑顔まで似ている。たった一晩で何があったのだろう。ママの面影が薄れている。しかし、何も言わないでおくことにした。
「俺達さ。じっくり顔を見てなかったね……」
「そうでもない」
「そうなの?」
すると、黒崎が決まりが悪そうにコーヒーメーカーの前に立った。照れている証だ。何かがおかしい。俺ははっきりと聞いた。何かが変だよと。
「黒崎さーん……。また女の人が席に着く店に行ったの?」
「あれから行っていない。接待だった。そう言っただろう」
「ほんとに~?」
黒崎の顔を見てやった。目をそらそうとしている。そうはいかない。思い切り見てやると、黒崎が笑った。肩まで揺らしている。そして、可愛いと言われた。そんなこと、なかなか言ってもらえないから、息を飲んだ。俺はそれ以上追求できなくて、顔が真っ赤になりながら、卵焼きを焼いた。
目を覚ますと、黒崎の寝顔がそばにあった。俺に添い寝をするようにして寝転がり、布団を着ていなかった。部屋の中はけっこう涼しいのに。これでは、黒崎まで風邪を引いてしまう。早く温まって欲しいと思った後、今日は仕事だと思い出した。
「黒崎さん。起きて。5時だよ……」
「ああ、分かっている……」
「なんだ~。起きていたのか……」
「具合はどうだ?」
「良い感じだよ。喉が痛くないんだ」
「そうか。起きるか……」
黒崎が起き上がった。俺もそうした。朝ご飯の支度がある。黒崎は寝ていろというが、そうしたくなかった。トーストと卵焼きと、山崎さんからの差入れのサラダにする。スープは黒崎が好きなメーカーのものを使う。
キッチンに下りながら、コンビニのサンドイッチがあることを思い出した。俺の朝ご飯にしようと思った。黒崎がバスルームに行った。これからシャワーだ。なんだか俺ばかりがバタバタしている気がする。いつもの時間に起きられたから、そんなに急がなくても良いのかと思い直した。
少し経って、黒崎がシャワーを浴びて出てきた。俺は朝ご飯の支度を続けていて、振り返らずに話しかけた。
「ららら~。ほら、大丈夫だろ?」
「また腫れるかも知れないぞ。今日は親父の家で寝ていろ。顔色はいいな」
「うん」
二人で顔を見合わせた。そこで、俺はドキッとした。黒崎の顔立ちが変化していたからだ。威圧感があるのは同じでも、何かが違う。お義父さんの若い頃の写真が思い当たった。
「黒崎さん、お義父さんの若い頃の写真に似ているよ」
「親子だからな」
黒崎が笑った。笑顔まで似ている。たった一晩で何があったのだろう。ママの面影が薄れている。しかし、何も言わないでおくことにした。
「俺達さ。じっくり顔を見てなかったね……」
「そうでもない」
「そうなの?」
すると、黒崎が決まりが悪そうにコーヒーメーカーの前に立った。照れている証だ。何かがおかしい。俺ははっきりと聞いた。何かが変だよと。
「黒崎さーん……。また女の人が席に着く店に行ったの?」
「あれから行っていない。接待だった。そう言っただろう」
「ほんとに~?」
黒崎の顔を見てやった。目をそらそうとしている。そうはいかない。思い切り見てやると、黒崎が笑った。肩まで揺らしている。そして、可愛いと言われた。そんなこと、なかなか言ってもらえないから、息を飲んだ。俺はそれ以上追求できなくて、顔が真っ赤になりながら、卵焼きを焼いた。
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