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16時。
今、悠人とお義父さんの家のキッチンに居る。山崎さんと一緒に、リビングにいるメンバーのお菓子とお茶の支度を進めていると、外から帰ってきた一貴さんが、キッチンにやって来た。早瀬さんの隣に座っている男性がユーリーだと紹介を受けているものの、えらく親しげじゃないかと気になると言い出して、俺と悠人は吹き出した。
「カズさーん。うちの裕理さんに、バーテルスさんがドイツに遊びに来てくれって誘われたんだ。でも、裕理さんは観光でも行かないって答えたんだ。実は、バーテルス家の法事に出席してもらいたいっていうことが発端だそうだよ……」
「そうなんだよ~。早瀬さんには早瀬家のお父さんとお母さんがいるからね。今更、本当の父親のいるドイツには行きたくないって言っているんだ……。カズ兄さんなら、どう思う?」
「裕理君が言うなら、僕も行こうとは思わないなあ。だって、生みの母親のことを騙した相手が住んでいるんだろう?父親にも会わないといけなくなるだろう……」
「それがね。本当のお父さんには会わなくて済むようにしてくれる約束をしてくれているんだ……」
「いや、それでも、会うことにはなりそうだぞ。入院しているそうじゃないか。死ぬ前に一度だけでも会いたいって言われたら、会わないわけにはいかなくなりそうだ。そういうことが想定される事案だ」
「やっぱり?でも、ユーリーは約束を破る人じゃないと分かるんだ……。お父さんとは二度目のさようならをしたばかりだそうだよ。会う気は無いってさ。当主はお父さんのお兄さんなんだって。でも、お兄さんの体調が悪いから、ユーリーのお父さんに、当主にならないかって言ってきたそうだよ。たしかに、カズ兄さんが言うとおり、病室とか、法事で会わないといけなくなりそうだよね……」
「長生きするのか?それにもよるだろう」
「黒崎さんも、お義父さんも、ユーリーも同じ事を言ったよ。絶対に長生きするって……」
「じゃあ、すぐには会わなくても済むのか……」
一貴さんがお皿の上のお菓子をつまんだ。そして、そばに置いてあった黒崎の湯飲みに入ったままのお茶を飲んだ。残してあるのは、一貴さんが飲みたがると思ってのことだ。躊躇すること無く飲んだから、事情を説明しようと思った。すると、一貴さんがお茶を飲んで、渋い!と声をあげた。
「なんだ、これ。ワインの味がする……」
「お義父さんと納屋で見つけた、30年前に、遠くのスーパーで、純白叔母さんと一緒に買ったお茶っ葉で煎れたんだよ」
「さ、30年前なのか。純白叔母さんは、お父さんの妹だったっけか?」
「そうだよ。亡くなって、もう10年近くになるよ。俺と黒崎さんが住んでいる家の元持ち主だよ。センスの良い人だったと思うよ。カズ兄さん、そう言ったじゃん。あの柱を見て……」
「ああ、そうだった。生きていたら、良い知恵を出してくれそうな人だったと、お父さんが話していたなあ……。ああ、裕理君と悠人君のドイツへの誘いは、もっと前から話が起きていた。ああーー、しまった!内緒にするように言われているんだった!内緒にしてくれ。僕が喋ったことを」
「カズさーん。もう知られていると思うよ?だって、黒崎さんがここにいるもん」
悠人の言葉に、一貴さんがビクッと肩をふるわせた。外で何かあったのだろうか。悪戯がバレる前とか、何か人に迷惑を掛けたとき、こういう反応をすることが多い。その証拠に、僕は何もしていない!と、開口一番、そう言った。
今、悠人とお義父さんの家のキッチンに居る。山崎さんと一緒に、リビングにいるメンバーのお菓子とお茶の支度を進めていると、外から帰ってきた一貴さんが、キッチンにやって来た。早瀬さんの隣に座っている男性がユーリーだと紹介を受けているものの、えらく親しげじゃないかと気になると言い出して、俺と悠人は吹き出した。
「カズさーん。うちの裕理さんに、バーテルスさんがドイツに遊びに来てくれって誘われたんだ。でも、裕理さんは観光でも行かないって答えたんだ。実は、バーテルス家の法事に出席してもらいたいっていうことが発端だそうだよ……」
「そうなんだよ~。早瀬さんには早瀬家のお父さんとお母さんがいるからね。今更、本当の父親のいるドイツには行きたくないって言っているんだ……。カズ兄さんなら、どう思う?」
「裕理君が言うなら、僕も行こうとは思わないなあ。だって、生みの母親のことを騙した相手が住んでいるんだろう?父親にも会わないといけなくなるだろう……」
「それがね。本当のお父さんには会わなくて済むようにしてくれる約束をしてくれているんだ……」
「いや、それでも、会うことにはなりそうだぞ。入院しているそうじゃないか。死ぬ前に一度だけでも会いたいって言われたら、会わないわけにはいかなくなりそうだ。そういうことが想定される事案だ」
「やっぱり?でも、ユーリーは約束を破る人じゃないと分かるんだ……。お父さんとは二度目のさようならをしたばかりだそうだよ。会う気は無いってさ。当主はお父さんのお兄さんなんだって。でも、お兄さんの体調が悪いから、ユーリーのお父さんに、当主にならないかって言ってきたそうだよ。たしかに、カズ兄さんが言うとおり、病室とか、法事で会わないといけなくなりそうだよね……」
「長生きするのか?それにもよるだろう」
「黒崎さんも、お義父さんも、ユーリーも同じ事を言ったよ。絶対に長生きするって……」
「じゃあ、すぐには会わなくても済むのか……」
一貴さんがお皿の上のお菓子をつまんだ。そして、そばに置いてあった黒崎の湯飲みに入ったままのお茶を飲んだ。残してあるのは、一貴さんが飲みたがると思ってのことだ。躊躇すること無く飲んだから、事情を説明しようと思った。すると、一貴さんがお茶を飲んで、渋い!と声をあげた。
「なんだ、これ。ワインの味がする……」
「お義父さんと納屋で見つけた、30年前に、遠くのスーパーで、純白叔母さんと一緒に買ったお茶っ葉で煎れたんだよ」
「さ、30年前なのか。純白叔母さんは、お父さんの妹だったっけか?」
「そうだよ。亡くなって、もう10年近くになるよ。俺と黒崎さんが住んでいる家の元持ち主だよ。センスの良い人だったと思うよ。カズ兄さん、そう言ったじゃん。あの柱を見て……」
「ああ、そうだった。生きていたら、良い知恵を出してくれそうな人だったと、お父さんが話していたなあ……。ああ、裕理君と悠人君のドイツへの誘いは、もっと前から話が起きていた。ああーー、しまった!内緒にするように言われているんだった!内緒にしてくれ。僕が喋ったことを」
「カズさーん。もう知られていると思うよ?だって、黒崎さんがここにいるもん」
悠人の言葉に、一貴さんがビクッと肩をふるわせた。外で何かあったのだろうか。悪戯がバレる前とか、何か人に迷惑を掛けたとき、こういう反応をすることが多い。その証拠に、僕は何もしていない!と、開口一番、そう言った。
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