青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

文字の大きさ
70 / 938

5-19

しおりを挟む
 22時。

 黒崎の車に乗り込み、これから現地に向かうところだ。今はまだ車は車庫にある。一緒に車に乗るのは、俺とノアと大成だ。ユーリーは、一貴さんの車に乗る。気が合ったそうだ。ノアと真羽、それぞれが、ビデオカメラで風景を出発の時から撮るそうで、分かれて車に乗った。それ以外にも理由がある。

 真羽はお義父さんの車に乗っている。聖河さんと早瀬さんと悠人もだ。二葉は晴海さんと一緒に乗っている。2人はとても仲が良い。実は真羽はノアのことが好きなのだと知っている状況だと、大成以外の今夜のメンバー全員が知っている状況だ。真羽は傷心状態だ。うちに来るでの間の車内で、ノアと2人きりになったタイミングで告白し、ごめんなさいと断られてしまったそうだ。

 そこで、好きな人がいると、はっきりと言われて、大成のことかと聞くと、そうだよと教えてくれたそうだ。大成はこの件をまだ知らない。しかし、大成にも真羽やノア以外に好きな人がいることを俺と黒崎とは知っているから、複雑な気持ちだ。お義父さんも早瀬さんと悠人も知っている。もちろん、黒崎も。

「黒崎さーん。さっきはヤバかったねえ……。もう少しで、俺、教えるところだったよ。真羽に。大成には、同級生の子に好きな人がいるだってことを……。だから、ノアもフラれるかもって教えたら良かったのかな。心の準備ができるだろ……。お義父さん、真羽のことを励ましているみたいだよ……。さすがは恋人を作る人だねえ……。恋愛話は得意なのかも……」
「ノア君のことは見守ろう。真羽と親父のことは俺も意外だった。親父が話に入ってくるとはな。聞かないふりをするものだと思っていた……。お前のせいだ」
「どうしてだよ?俺は引っ込み思案なんだ~。なんだよ?違うって……」

 黒崎と俺がその話を聞いているとき、偶然、お義父さんがそばを通りかかって話を聞き、真羽のことを励ましていた。そして、お義父さんが強引に誘い、彼のことを車に乗せた。黒崎製菓グループ内の企業であるR&W社でインターンをやっていたから、すでに知り合いになっている。

「お義父さん、今頃楽しそうにしているんだろなあ。こんなに大勢でお出かけなんて、めったにないことだもんねえ……。黒崎さーん。さっきのお義父さん、悠人からげええええっって言われていたね!そのうち、悠人のリアクションも真似し始めるかも……。若い人のエキスを吸って、若返るんだってことだよ……」
「ああ、50歳若返る気分だそうだ。たまにはいいだろう。俺も気晴らしになる。なんだって?俺にも若返れだと?」
「冗談だよ~っ。ほっぺたをつねるなよ~っ。しんばーーー、黒崎さんから、いじめられているよ~。助けに来てよ~っ」

 窓の向こうには、お義父さんの車に乗っている真羽がいる。窓を開けて言うと、言い返された。俺は泣いていないぞ!と。そして、笑ってもいた。ノアがどうしたの?と、車に乗り込みながら、心配そうな顔をした。大成もだ。ノアは今夜、大成に気持ちを伝えることにするそうだ。真羽からの告白を断ってしまい、自分もフラれる覚悟を決めたということだった。

 それぞれが車に乗り込む前に、お義父さんが早瀬さんと悠人と聖河さんに、一緒に乗ろう言いながら、早瀬さんの手を握っていた。まるで一貴さんとユーリーのように。真似をしたかったそうだ。悠人はそれを見て、げええええっ、面白くない!という声を出して、一同から笑いが起こった。今も笑いが起きている。そして、ノアと大成が笑っている。あのリアクションが出来る人が羨ましいと言いながらだ。俺も同じ意見だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

守り守られ

ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師 患者 瀬咲朔 腸疾患・排泄障害・下肢不自由 看護師 ベテラン山添さん 準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん 木島 尚久 真幌の恋人同棲中

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~

野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。 残念ながら話もできたし、触ることもできた。 様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。 そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。 厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。 きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。 それから五年。 地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。 真詞の運命が大きく動き出す。 人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半) 別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半) ・前半 巡(人外)×真詞 ・後半 岬(人間)×真詞 ※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。 ※ キスを二回程度しかしないです。 ※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。 ※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

処理中です...