青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 みんなの気持ちが落ち着いたところで、黒崎の運転する車が動き出した。これから心霊スポットに行くためだ。俺はすっかり忘れていて、彼からツッコまれた。後部座席の一番後ろに移動したときに、俺の顔が見えたそうだ。

「夏樹。一人で道路に立てられるか?そういう顔をしていると、そうさせるぞ」
「黒崎さーーん。そんな意地悪を言うなら、家出するよ!ノアの寮の部屋に……。恥を忍んで迎えに来いよ!」
「そうか。親父の家にも心霊スポットがあるんだぞ。知っているか?教えてやろうか?」
「嫌だよ~。言うなよ~。あんたはいいね。怖くないんだもん……。ああ!ノアの両目が輝いたよ!今の見た?」

 俺はそれに気づいた。さすがは心霊スポットが好きなだけあるということだ。ところで、大成の方は怖くないのだろうか。無理矢理連れて行っている気がしている。もちろん、俺達もだ。それをストレートに聞いてみると、大勢で行くのも新しい体験で、ドキドキして楽しんでいるということだ。

「良かったよ~。今夜こそ、無理矢理連れて行っている気がしていたんだ……」
「そんなことはないです。楽しいです!」
「兄貴とは行ったことがある?」
「まだないです。馬鹿馬鹿しいって言われてから、誘わなくなりました。あはははは!」
「そうだろなあ……」

 大和は心霊スポットには行かないのだろう。俺と同じで、結構怖がりな一面がある。俺達が使っている収録スタジオには、オバケが出たという噂が起きたことがあり、それをメンバーが聞いた時に、大和がそわそわと落ち着かなくなっていた。それに、帰りたそうにもしていた。

 これを黒崎に言うと、笑い出した。大成とノアもだ。本人は自分がいないところで話されたくないだろう。俺なら恥ずかしい。言わなければ良かったと反省した。しかし、ノアも大成も喜んで話を聞いてくれている。話してみて良かったと感じた。そして、車がビニールハウスのそばを通って行くのを感じて、俺もそわそわし始めた。そのことに気づいた黒崎から、離れているのに、声をかけられた。よく見られているという証だ。

「夏樹。怖いのか?」
「そうだよ。怖いよ。でも、一緒に行くって決めたんだ。だから震えないよ~。ノア、ビデオを回しているだろ?酔わないの?」
「平気だよ。こっちに来てから、撮りまくっているから……。どうしようかなあ……。ユーリーが、今日の動画を欲しがりそうなんだ~。実家に送りつけそうだよ。こんなことをしているんだって、うちのママに言いつけられそうだよ……。まあ、従姉妹が知っているからさ、ママにフォローしてくれると思うけどね……。ああ、シンシアっていう子なんだ。俺と同じ年なんだ。隣同士の家に住んでいるんだよ。今度日本に遊びに来たら、是非紹介させてよ。占いが得意でね、よく当たるんだよ~。今の、夏樹の真似。この前、収録先のスタッフのメイクさんに占ってもらったんだよね?」
「あれ?言ったっけ?」

 それは先週のテレビでの仕事現場でのことだ。ローザーさんが占いが得意だという話を聞いて、占ってもらったことがある。その後、黒崎に結果を話そうと思って、しかし、これはマズいと思って、言わないでおくことにしていた。秘密を持ってしまった罪悪感がある。
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