青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 大成からすると、大事な友達になってくれたノアのことを、はっきりNOだと言えなかったのだろう。そして、その証拠として、ノアが背筋を伸ばして、俺達に宣言した。大成のことを振り向かせてみせると。それは大きな声だった。そして、今日は記念日だと、ノアが言った。さらに、こう言ってくれた。フラれた悲しみがあると思うものの、勇気を出して告白して良かったと。

 それを聞いて、ノアがドイツに帰る日が来るのだろうかと思った。それは、諦めるということだ。すると、さっきノアが宣言した内容に、大成が首を横に振った。和人のことが好きで諦められないのだと言いながら。

「結局、君達はこのままの関係なのかよ?」
「こら……」

 黒崎から頬をつねられた。しかし、ノアも大成もしっかりしていて、背筋がシャンとしたままだ。そして、大成が言った。

「ああ、いいんです。俺達は親友同士だと思うので……。ノアがいなかったら、ドイツ語クラスで打ち解けることが出来なかったと思うし、和人にも告白できないままだったと思うんです。……彼からの返事ですか?あの……、俺と同じです。NOとは言われていないけど、このままがいいって、フラれました……」
「ああ……」

 大成も成就にならないのかと、恋愛は難しいのだと思った。すると、黒崎が後ろを向き、大成達に声を掛けたことで、車内の空気が変わった。前向きな感じがするものだ。なんだか開発部にいる気がしてきた。

 これは黒崎の声だからだろう。彼は自然と相手の気持ちが明るくなる声を持っていると思う。正直、開発部で勤務しているときに気づき、羨ましいなと感じた。まだ黒崎には言っていない。調子に乗って、何かされそうだ。

 すると、ノアと大成が笑いかけてくれた。なんだかホッとする感じがした。このままの関係でいても良いのかと思いながらも、そうするしかないという結論を導き出したということだ。応援しないといけないと、俺の背筋も伸びた。

「そういうわけで、俺達は親友でいます。ね、大成」
「うん……」
「そうか……。まあ、これからじゃないか?親友同士の関係も良いだろうが、恋愛するのも糧になる。良い方向に進むと良いな。応援している」
「ありがとうございます!」
「ありがとう……」

 ノアがさらに後ろの席に移動した。泣いているのが分かった。今は隅っこにいたいのだろう。俺だって、成就しなかったらそうなると思うから、帰ってこいとは言えなかった。しかし、黒崎が俺のことを後ろに促し、ノアに横に座ってくれと言い出したから、素直にそうしようと、助手席のドアを開けて、大成の隣に座った。ノアもしっかりとした足取りで助手席のドアを開けて、椅子に座った。

「レッツ、ゴー!」

 ノアが張りの良い声を上げたから、大成が笑った。黒崎がノアの頭をクシャクシャと撫でたから、俺はなんだかホッとしたと同時に嫉妬心が生まれてしまい、これではいけないと思い、後部座席の一番後ろを振り返って、スイーツの入った袋を見て、気持ちを切り替えた。
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