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しかし、黒崎は続けて飲めという。大丈夫なはずだと言うから、もう一口飲むことにした。すると、美味しいと感じるようになった。カーッと熱くならない。最初だけだったのだと感じた。
「あ、すごい。俺、飲めるみたいだよ!ワインって、こんなに美味しいんだね~。フルーツを食べているみたいだよ。スペアリブのワイン煮込みが食べたくなったよ。早瀬さんのビーフシチューも食べたいよ……」
隣にいる早瀬さんの肩を揺すると、彼が起き上がった。ユーリーからのキスから逃れるために、テーブルに突っ伏している状況だ。
「作って持ってくるよ。夏樹君。それ、飲み過ぎじゃないか……。圭一さん、飲ませすぎだ……」
「そうかな……。うわっ、本当だ!ふらふらしてきたよ~」
「ほらね……。おっと……」
早瀬さんと黒崎から背中を支えられた。そして、椅子の背もたれに倒れかかるようにして座った。前回は笑い上戸になっていたのに、今回はそれがない。笑いというより、ステージが終わった後のような喪失感が襲ってきて、涙が出そうになってきた。いや、喪失感ではないはずだ。達成感と喜びだ。そのはずなのに、寂しくなってきてしまった。そして、俺にとっての鬼である高宮さんの姿が思い浮かんできた。胃も痛くなってきた。
「ひっく……。なんだか涙が出てきたんだ~……。高宮さんがここにいるみたいだよ~。ユーリーがいなくなるからだよ……。帰るなよ~……」
「夏樹。僕はまだここにいる。その高宮さんとやらは、そんなに怖い人なのか?そこにいる彼の方が恐ろしいだろう……」
「ううん。黒崎さんは優しいよ。高宮さんも優しいんだけどね……。この間は譜面通りに歌えって言われて、今度は感情がこもっていないって言われたんだ~。ああ~……」
「そうか。つらいなあ。ドイツに引っ越してくるか?僕のアパートは一部屋空いている。幽霊騒ぎだけじゃなくて、古いからだ。でも、内装は綺麗で、使い勝手が良い。立地も良い。帰るのが寂しいよ……」
「そうだね……。俺、逃げようかな……。黒崎さんってば、歌手の仕事を辞めても良いんだぞって言うんだ……。生きがいがなくなるよ~。あんな人と顔をつきあわせているんだ。ああ~、もう……。ドイツに行こうかな……」
「君なら人気者になるだろう。君の好きなオバケもいる……」
「やだよ~。この庭にも居るって言うからさ~……」
何を話しているのか分からなくなってきた。身体は軽くて、肩凝りもなくて、今なら思い切り動けそうだ。しかし、視界がフラついているから危ないと思った。このワインの量が自分の限界なのだと知った。すると、黒崎が言った。身体のことを思えば飲ませたくないが、ひと口ぐらい飲めるようになった方がいいだろうということだ。食事が美味しく食べられるのだという。すると、ユーリーがダメだと言った。
「ユーリー。怒っちゃだめだよ。黒崎さんは俺のために言ってくれているんだ。俺、心臓が弱いけど、一口だけ飲めたらいいなって思っていたんだ~。ほんの少ししか飲んでいないんだよ……。これでこうなるんだもんねえ……。うちの親は両方ともお酒に強いんだ。伊吹お兄ちゃんもだよ。万理だって飲めるんだ。俺だけなんだよ~。こんなに弱いのって……」
「体質がある……。ああ、眠くなってきた……」
「俺もだよ……」
フラついているのに吐き気はなくて、気持ちいいぐらいになった。そして、急に眠くなり、テーブルにもたれ掛かった。俺の肩を揺すっている手がある。黒崎の手だ。悠人もそばに来ている。お義父さんの声もしている。しかし、返事をすることが出来なくて、心地の良い酔いの中で、ユーリーと一緒に寝てしまいそうになった。
「あ、すごい。俺、飲めるみたいだよ!ワインって、こんなに美味しいんだね~。フルーツを食べているみたいだよ。スペアリブのワイン煮込みが食べたくなったよ。早瀬さんのビーフシチューも食べたいよ……」
隣にいる早瀬さんの肩を揺すると、彼が起き上がった。ユーリーからのキスから逃れるために、テーブルに突っ伏している状況だ。
「作って持ってくるよ。夏樹君。それ、飲み過ぎじゃないか……。圭一さん、飲ませすぎだ……」
「そうかな……。うわっ、本当だ!ふらふらしてきたよ~」
「ほらね……。おっと……」
早瀬さんと黒崎から背中を支えられた。そして、椅子の背もたれに倒れかかるようにして座った。前回は笑い上戸になっていたのに、今回はそれがない。笑いというより、ステージが終わった後のような喪失感が襲ってきて、涙が出そうになってきた。いや、喪失感ではないはずだ。達成感と喜びだ。そのはずなのに、寂しくなってきてしまった。そして、俺にとっての鬼である高宮さんの姿が思い浮かんできた。胃も痛くなってきた。
「ひっく……。なんだか涙が出てきたんだ~……。高宮さんがここにいるみたいだよ~。ユーリーがいなくなるからだよ……。帰るなよ~……」
「夏樹。僕はまだここにいる。その高宮さんとやらは、そんなに怖い人なのか?そこにいる彼の方が恐ろしいだろう……」
「ううん。黒崎さんは優しいよ。高宮さんも優しいんだけどね……。この間は譜面通りに歌えって言われて、今度は感情がこもっていないって言われたんだ~。ああ~……」
「そうか。つらいなあ。ドイツに引っ越してくるか?僕のアパートは一部屋空いている。幽霊騒ぎだけじゃなくて、古いからだ。でも、内装は綺麗で、使い勝手が良い。立地も良い。帰るのが寂しいよ……」
「そうだね……。俺、逃げようかな……。黒崎さんってば、歌手の仕事を辞めても良いんだぞって言うんだ……。生きがいがなくなるよ~。あんな人と顔をつきあわせているんだ。ああ~、もう……。ドイツに行こうかな……」
「君なら人気者になるだろう。君の好きなオバケもいる……」
「やだよ~。この庭にも居るって言うからさ~……」
何を話しているのか分からなくなってきた。身体は軽くて、肩凝りもなくて、今なら思い切り動けそうだ。しかし、視界がフラついているから危ないと思った。このワインの量が自分の限界なのだと知った。すると、黒崎が言った。身体のことを思えば飲ませたくないが、ひと口ぐらい飲めるようになった方がいいだろうということだ。食事が美味しく食べられるのだという。すると、ユーリーがダメだと言った。
「ユーリー。怒っちゃだめだよ。黒崎さんは俺のために言ってくれているんだ。俺、心臓が弱いけど、一口だけ飲めたらいいなって思っていたんだ~。ほんの少ししか飲んでいないんだよ……。これでこうなるんだもんねえ……。うちの親は両方ともお酒に強いんだ。伊吹お兄ちゃんもだよ。万理だって飲めるんだ。俺だけなんだよ~。こんなに弱いのって……」
「体質がある……。ああ、眠くなってきた……」
「俺もだよ……」
フラついているのに吐き気はなくて、気持ちいいぐらいになった。そして、急に眠くなり、テーブルにもたれ掛かった。俺の肩を揺すっている手がある。黒崎の手だ。悠人もそばに来ている。お義父さんの声もしている。しかし、返事をすることが出来なくて、心地の良い酔いの中で、ユーリーと一緒に寝てしまいそうになった。
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