青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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 さて、これでみんなの分のお土産が揃った。奥の木の方へ行こう。そう思って久弥達を誘うと、先に長谷部さんが向かっていて、俺達も向かって首を振った。まだだめだという。そして、撮影をしているようだと言った。

「カメラが入っているんだね~。そっか、それなら、また今度にするよ」
「記念撮影っぽくないのよ。どうする?もう少し、ここにいる?広いから、散歩しても良いし……」
「遠藤さん、どうしましょうか?」
「そうだね……。せっかくだから散歩していこう。木の良い匂いがする場所がある。向こうに森のような場所があるよ」
「そうしましょうか……」

 大きな木の方に行くのは今日はやめておくことにして、遠藤さんの後に続いて、みんなで歩き出した。すると、目的地がすぐに見えてきた。木が何本も生えていて、枯れた木の葉が何枚が落ちてきた。しかし、しっかり掃除されているから、地面には木の葉が落ちていない。すると、まだ青い葉っぱが風に揺れて、しーんと静まりかえった中を、俺達の足音だけが聞こえてきた。

「広いなあ。悠人が迷子になりそうだよ。ゆうとー、帰り道は分かる?さすがにこの中はアプリの地図がないから、俺でも迷いそう」
「正直に言って、もう方向が分からないよーー」
「そうだろうねえ。遠藤さんのベルトにつかまって歩いたら?」
「うん……」
「ぎゃははは、なんだそれ?」

 悠人が素直に遠藤さんのズボンのベルトを掴み、歩き出した。遠藤さんが笑うから、俺達も笑った。悠人が今朝、ここで何かの気配を感じたらしい。そこで、遠藤さんが悠人の肩に触れたことで感じなくなり、ホッとしたということだった。

「さすがは遠藤さんだよねえ。昨日のマイクの調整が上手くいったんだ」
「そうだったね。ああ、たき火の跡じゃないか?」
「あ、ありますね。もう冬だもんなあ」
「健吾さん。これ、焼却炉だよ。たき火じゃないよーー」
「そうだね。神社の中で焼けるのか……」

 俺達が眺めているのは、焼却炉のような機械だ。灰が残っている。何かの祭事だろうか。良い匂いがした。

「お香の匂いがします」
「なんだろうね?帰りに聞いてみよう」

 焼き芋ではないだろう。俺はそうつぶやくと、みんなから笑いが起こった。そして、久弥が俺に耳元で囁いた。こういう場所には呪いの藁人形が刺さっているのだと言うから、背中がゾッと冷たくなった。

「やめろよ~。罰が当たるよ。コンサートが成功しないよ」
「大丈夫だ。冗談だから。おい、悠人、俺のことを蹴るな」
「ひさやーー、ギターの弦が切れたらどうするんだよーーー」
「ぎゃははは。それは昨日、俺に起きたことだ。お前は今日、起きるんだ」
「やめろよ~」
「久弥さん、やめてください。あなたが言うと本当になりそうだから……」

 長谷部さんが悠人の肩を叩いて蹴るのをやめさせると、久弥が意地悪そうに笑った。まだ俺達に聞かせたいことがあるのだが、黙っているのだという。それを聞き、気になってしまった。俺にオバケがついているのだろうか。例えば、後ろとかだ。

「久弥、俺に何かついているのかよ?ここは神社だよ。そういうことはないと思うんだ」
「そうよ。夏樹君。大丈夫よ。久弥さん、やめてあげて!」
「あーーあ、長谷部さんに怒られた。悠人、お前についているオバケのせいだぞ!」
「もうーーーー!」

 意地悪なことを言っているのは久弥の方なのに、身体を引き離されているのは悠人の方だ。それが納得いかないと、悠人が足を振り上げて、何とかして久弥のことを蹴ろうとしている。ここは俺達の他に人が居ないから迷惑にならないと思いつつ、神社の中だと思い直し、悠人に声をかけた。
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