168 / 938
8-12
しおりを挟む
さて、これでみんなの分のお土産が揃った。奥の木の方へ行こう。そう思って久弥達を誘うと、先に長谷部さんが向かっていて、俺達も向かって首を振った。まだだめだという。そして、撮影をしているようだと言った。
「カメラが入っているんだね~。そっか、それなら、また今度にするよ」
「記念撮影っぽくないのよ。どうする?もう少し、ここにいる?広いから、散歩しても良いし……」
「遠藤さん、どうしましょうか?」
「そうだね……。せっかくだから散歩していこう。木の良い匂いがする場所がある。向こうに森のような場所があるよ」
「そうしましょうか……」
大きな木の方に行くのは今日はやめておくことにして、遠藤さんの後に続いて、みんなで歩き出した。すると、目的地がすぐに見えてきた。木が何本も生えていて、枯れた木の葉が何枚が落ちてきた。しかし、しっかり掃除されているから、地面には木の葉が落ちていない。すると、まだ青い葉っぱが風に揺れて、しーんと静まりかえった中を、俺達の足音だけが聞こえてきた。
「広いなあ。悠人が迷子になりそうだよ。ゆうとー、帰り道は分かる?さすがにこの中はアプリの地図がないから、俺でも迷いそう」
「正直に言って、もう方向が分からないよーー」
「そうだろうねえ。遠藤さんのベルトにつかまって歩いたら?」
「うん……」
「ぎゃははは、なんだそれ?」
悠人が素直に遠藤さんのズボンのベルトを掴み、歩き出した。遠藤さんが笑うから、俺達も笑った。悠人が今朝、ここで何かの気配を感じたらしい。そこで、遠藤さんが悠人の肩に触れたことで感じなくなり、ホッとしたということだった。
「さすがは遠藤さんだよねえ。昨日のマイクの調整が上手くいったんだ」
「そうだったね。ああ、たき火の跡じゃないか?」
「あ、ありますね。もう冬だもんなあ」
「健吾さん。これ、焼却炉だよ。たき火じゃないよーー」
「そうだね。神社の中で焼けるのか……」
俺達が眺めているのは、焼却炉のような機械だ。灰が残っている。何かの祭事だろうか。良い匂いがした。
「お香の匂いがします」
「なんだろうね?帰りに聞いてみよう」
焼き芋ではないだろう。俺はそうつぶやくと、みんなから笑いが起こった。そして、久弥が俺に耳元で囁いた。こういう場所には呪いの藁人形が刺さっているのだと言うから、背中がゾッと冷たくなった。
「やめろよ~。罰が当たるよ。コンサートが成功しないよ」
「大丈夫だ。冗談だから。おい、悠人、俺のことを蹴るな」
「ひさやーー、ギターの弦が切れたらどうするんだよーーー」
「ぎゃははは。それは昨日、俺に起きたことだ。お前は今日、起きるんだ」
「やめろよ~」
「久弥さん、やめてください。あなたが言うと本当になりそうだから……」
長谷部さんが悠人の肩を叩いて蹴るのをやめさせると、久弥が意地悪そうに笑った。まだ俺達に聞かせたいことがあるのだが、黙っているのだという。それを聞き、気になってしまった。俺にオバケがついているのだろうか。例えば、後ろとかだ。
「久弥、俺に何かついているのかよ?ここは神社だよ。そういうことはないと思うんだ」
「そうよ。夏樹君。大丈夫よ。久弥さん、やめてあげて!」
「あーーあ、長谷部さんに怒られた。悠人、お前についているオバケのせいだぞ!」
「もうーーーー!」
意地悪なことを言っているのは久弥の方なのに、身体を引き離されているのは悠人の方だ。それが納得いかないと、悠人が足を振り上げて、何とかして久弥のことを蹴ろうとしている。ここは俺達の他に人が居ないから迷惑にならないと思いつつ、神社の中だと思い直し、悠人に声をかけた。
「カメラが入っているんだね~。そっか、それなら、また今度にするよ」
「記念撮影っぽくないのよ。どうする?もう少し、ここにいる?広いから、散歩しても良いし……」
「遠藤さん、どうしましょうか?」
「そうだね……。せっかくだから散歩していこう。木の良い匂いがする場所がある。向こうに森のような場所があるよ」
「そうしましょうか……」
大きな木の方に行くのは今日はやめておくことにして、遠藤さんの後に続いて、みんなで歩き出した。すると、目的地がすぐに見えてきた。木が何本も生えていて、枯れた木の葉が何枚が落ちてきた。しかし、しっかり掃除されているから、地面には木の葉が落ちていない。すると、まだ青い葉っぱが風に揺れて、しーんと静まりかえった中を、俺達の足音だけが聞こえてきた。
「広いなあ。悠人が迷子になりそうだよ。ゆうとー、帰り道は分かる?さすがにこの中はアプリの地図がないから、俺でも迷いそう」
「正直に言って、もう方向が分からないよーー」
「そうだろうねえ。遠藤さんのベルトにつかまって歩いたら?」
「うん……」
「ぎゃははは、なんだそれ?」
悠人が素直に遠藤さんのズボンのベルトを掴み、歩き出した。遠藤さんが笑うから、俺達も笑った。悠人が今朝、ここで何かの気配を感じたらしい。そこで、遠藤さんが悠人の肩に触れたことで感じなくなり、ホッとしたということだった。
「さすがは遠藤さんだよねえ。昨日のマイクの調整が上手くいったんだ」
「そうだったね。ああ、たき火の跡じゃないか?」
「あ、ありますね。もう冬だもんなあ」
「健吾さん。これ、焼却炉だよ。たき火じゃないよーー」
「そうだね。神社の中で焼けるのか……」
俺達が眺めているのは、焼却炉のような機械だ。灰が残っている。何かの祭事だろうか。良い匂いがした。
「お香の匂いがします」
「なんだろうね?帰りに聞いてみよう」
焼き芋ではないだろう。俺はそうつぶやくと、みんなから笑いが起こった。そして、久弥が俺に耳元で囁いた。こういう場所には呪いの藁人形が刺さっているのだと言うから、背中がゾッと冷たくなった。
「やめろよ~。罰が当たるよ。コンサートが成功しないよ」
「大丈夫だ。冗談だから。おい、悠人、俺のことを蹴るな」
「ひさやーー、ギターの弦が切れたらどうするんだよーーー」
「ぎゃははは。それは昨日、俺に起きたことだ。お前は今日、起きるんだ」
「やめろよ~」
「久弥さん、やめてください。あなたが言うと本当になりそうだから……」
長谷部さんが悠人の肩を叩いて蹴るのをやめさせると、久弥が意地悪そうに笑った。まだ俺達に聞かせたいことがあるのだが、黙っているのだという。それを聞き、気になってしまった。俺にオバケがついているのだろうか。例えば、後ろとかだ。
「久弥、俺に何かついているのかよ?ここは神社だよ。そういうことはないと思うんだ」
「そうよ。夏樹君。大丈夫よ。久弥さん、やめてあげて!」
「あーーあ、長谷部さんに怒られた。悠人、お前についているオバケのせいだぞ!」
「もうーーーー!」
意地悪なことを言っているのは久弥の方なのに、身体を引き離されているのは悠人の方だ。それが納得いかないと、悠人が足を振り上げて、何とかして久弥のことを蹴ろうとしている。ここは俺達の他に人が居ないから迷惑にならないと思いつつ、神社の中だと思い直し、悠人に声をかけた。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
きっと必ず恋をする~初恋は叶わないっていうけど、この展開を誰が予想した?~
野々乃ぞみ
BL
渡辺 真詞(わたなべ まこと)は小さい頃から人ではないモノが見えた。
残念ながら話もできたし、触ることもできた。
様々なモノに話しかけられ、危ない目にもあってきた。
そんなとき、桜の下で巡(めぐる)に出会った。
厳しいけど優しい巡は特別な存在になった。
きっと初恋だったのに、ある日忽然と巡は消えた。
それから五年。
地元から離れた高校に入った十六歳の誕生日。
真詞の運命が大きく動き出す。
人とは違う力を持つ真詞が能力に翻弄されつつも、やっと再会した巡と恋をするけど別れることになる話。(前半)
別れを受け入れる暇もなくトレーニングが始まり、事件に巻き込まれて岬に好かれる話。(後半)
・前半 巡(人外)×真詞
・後半 岬(人間)×真詞
※ 全くの別人ではありませんが、前半と後半で攻めが変わったと感じるかもしれません。
※ キスを二回程度しかしないです。
※ ホラーではないつもりですが、途中に少し驚かすようなシーンがあります。ホラーのホの字もダメだという方は自己判断でお願いします。
※ 完結しました。遅くなって申し訳ありません。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる