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それには久弥がNOの方だと返事をした。生みのお母さんがヴァイオリストだから、コラボとか、テレビ出演の話があるといけないという理由からだ。今までにも楽曲を出したことはある。その時は親子だと知られていなかったから、何も起きなかった。
しかし、今年の4月のクラシックコンサートに出かけて、出演者でお母さんである紺野澄香さんと再会して、流れが変わった。紺野さんが久弥ともう一度話したいと雑誌で話したことが広まり、親子なのだと知られてしまった。テレビ出演の話などが多く入り、久弥は疲弊していた。
どうして紺野さんの控え室を訪れたかというと、久弥と親子だと発表するつもりだと、IKUに情報が入り、久弥が直接本人と話すと言って、再会が果たされた。久弥はこう言ったそうだ。自分には母が居るから、もうあなたとは交流しないのだと。病気になって困っても、俺は何の援助をするつもりはない。戸籍の母の欄に名前があるが、それは事実として受け止める。自分は女の子の格好をさせられることも、お人形遊びをすることも断固として拒否していた。それなのに、あなたは俺の髪の毛を掴み、部屋に引きずり戻した事実がある。覚えているのはたった一度だけだったが、自分に深い傷を残している。あなたが出て行ってくれて、ホッとしていた。あなたのことを庇う気持ちなんて、微塵もないのだと。
久弥の気持ちを思うと胸が痛い。紺野さんのことがきっかけで引退を決めたのでは無いかと思った。声帯を痛めていること、気分の上下があること、それが引退の理由だ。しかし、久弥は過去と向き合って戦っている。久弥が精神的に落ち込んでいたディアドロップ時代に支えてくれたのは、今のお母さんだった。元暴走族で、言葉遣いだって荒い。だけど、自分の前では優しい言い方に変えてくれる。そんな母だと言った。だから久弥はある雑誌でこう発言した。僕と母は17歳しか年が離れていません。まだ50歳なのに、腰が重くて旅行に行かない。僕と反対ですと。
「ひさやーー。やっぱり引退はやめておけよ……。昨日なんか、どれだけ泣いている人がいたと思っているんだよ。せめて、動画配信するとかさ。久弥チャンネルとか作ってみたらいいのに。いつまでも待っているっていうメッセージがIKUにいっぱい届いているんだ……」
テーブルに突っ伏した。ポタポタと涙が溢れてきたからだ。まだメイク前だから、今のうちに泣いておこうと決めた。悠人だって、昨日はステージの後で涙を流していた。久弥には仲間がいる。心の傷をなんとかして埋めたいと思っている人達だ。
「聡太郎君だってさ。一緒にやりたいって言うはずなんだ。プロデューサーだから、一緒にやるって事なんだけど、ステージに立つとはまた違うはずなんだ。大和だって傷があるんだ。ベーシストをやめようとしたのを止めたのは久弥なんだ……。あーーあ……」
こんなこと、久弥の前では言えない。よく考えて決めたことのはずだからだ。蔵之介さんともよく話し合ったはずだ。蔵之介さんは、久弥がステージに立とうと、後方部隊に入ろうとも、同じ彼には違いなくて、身体のことをまず最初に考えたという。
耐えきれない思い、飽和しそうな記憶、そこから逃げることは悪いことでは無くて、傷を癒やして他の場所を見つけるのも良いと思う。しかし、彼のことを求めている人達がいるのは事実であり、IKUの方だって、久弥のことを考えて仕事を入れようとしているのが分かる。たしかにビジネスになる。しかし、それはそれだと思う。
しかし、今年の4月のクラシックコンサートに出かけて、出演者でお母さんである紺野澄香さんと再会して、流れが変わった。紺野さんが久弥ともう一度話したいと雑誌で話したことが広まり、親子なのだと知られてしまった。テレビ出演の話などが多く入り、久弥は疲弊していた。
どうして紺野さんの控え室を訪れたかというと、久弥と親子だと発表するつもりだと、IKUに情報が入り、久弥が直接本人と話すと言って、再会が果たされた。久弥はこう言ったそうだ。自分には母が居るから、もうあなたとは交流しないのだと。病気になって困っても、俺は何の援助をするつもりはない。戸籍の母の欄に名前があるが、それは事実として受け止める。自分は女の子の格好をさせられることも、お人形遊びをすることも断固として拒否していた。それなのに、あなたは俺の髪の毛を掴み、部屋に引きずり戻した事実がある。覚えているのはたった一度だけだったが、自分に深い傷を残している。あなたが出て行ってくれて、ホッとしていた。あなたのことを庇う気持ちなんて、微塵もないのだと。
久弥の気持ちを思うと胸が痛い。紺野さんのことがきっかけで引退を決めたのでは無いかと思った。声帯を痛めていること、気分の上下があること、それが引退の理由だ。しかし、久弥は過去と向き合って戦っている。久弥が精神的に落ち込んでいたディアドロップ時代に支えてくれたのは、今のお母さんだった。元暴走族で、言葉遣いだって荒い。だけど、自分の前では優しい言い方に変えてくれる。そんな母だと言った。だから久弥はある雑誌でこう発言した。僕と母は17歳しか年が離れていません。まだ50歳なのに、腰が重くて旅行に行かない。僕と反対ですと。
「ひさやーー。やっぱり引退はやめておけよ……。昨日なんか、どれだけ泣いている人がいたと思っているんだよ。せめて、動画配信するとかさ。久弥チャンネルとか作ってみたらいいのに。いつまでも待っているっていうメッセージがIKUにいっぱい届いているんだ……」
テーブルに突っ伏した。ポタポタと涙が溢れてきたからだ。まだメイク前だから、今のうちに泣いておこうと決めた。悠人だって、昨日はステージの後で涙を流していた。久弥には仲間がいる。心の傷をなんとかして埋めたいと思っている人達だ。
「聡太郎君だってさ。一緒にやりたいって言うはずなんだ。プロデューサーだから、一緒にやるって事なんだけど、ステージに立つとはまた違うはずなんだ。大和だって傷があるんだ。ベーシストをやめようとしたのを止めたのは久弥なんだ……。あーーあ……」
こんなこと、久弥の前では言えない。よく考えて決めたことのはずだからだ。蔵之介さんともよく話し合ったはずだ。蔵之介さんは、久弥がステージに立とうと、後方部隊に入ろうとも、同じ彼には違いなくて、身体のことをまず最初に考えたという。
耐えきれない思い、飽和しそうな記憶、そこから逃げることは悪いことでは無くて、傷を癒やして他の場所を見つけるのも良いと思う。しかし、彼のことを求めている人達がいるのは事実であり、IKUの方だって、久弥のことを考えて仕事を入れようとしているのが分かる。たしかにビジネスになる。しかし、それはそれだと思う。
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