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23時半。
伊吹を家まで送って行った帰りだ。マンションの玄関まで送り届けて、聡太郎にバトンタッチした。彼はリラックスした格好をしていて、すっかり幼馴染みの聡太郎に戻っていたから、懐かしかった。もう外での彼しか見ていなくて、元の姿をすっかり忘れていた。
黒崎の車に乗る前に、マンションの前で空を見上げた。街灯からの明かりがはっきりしているから、星が見えない。道路は昼間のように明るい。俺の心は落ち着いているが、昨日と今日のコンサートを終えた安堵感で力が抜けすぎて、空を見上げたままフラついた。そして、運転席の黒崎に話しかけた。
「黒崎さーーん。俺、ここにいる?ちゃんと立ってる?」
「ああ、ちゃんと立っているぞ。もっと外にいたいのか?」
「ううん。そんなことはないよ。早く帰りたいよ。でもね、なんだか呼ばれている気がするんだ。こっちにおいでって……」
「おい。しっかりしろ……」
黒崎が車から降りてきた。そして、助手席のドアを開けて、俺のことを席に乗せた。そして、静かにドアを閉めた。
「夏樹。まっすぐ帰るだろう?コンビニに寄っていくか?アールグレイティーが飲みたいか?」
「あ、飲みたい。寄ってもらえるかな?」
「もちろんだ。寄っていこう」
黒崎が運転席に乗り込み、車を発進させた。フロントガラスには進んでいく道が見えて、いつものように車が走っているのだと感じることができた。これからまた普段通りの生活が始まり、ホッと一息つく頃だと思うのに、俺の心の中はざわざわし始めた。そして、身体が重くなり、黒崎の話し声が遠くに聞こえた。
「黒崎さん。なんかね、あんたの話し声が遠くに感じるんだよ」
「緊張感が取れたからじゃないか?普段とは別のことをした後だ。心も体も驚いているんだろう。紅茶を飲めば、スッキリするだろう」
「そうだね。数時間前にステージに立っていたんだ。まだ歓声が聞こえているよ」
「そうか。大きなトラブルが起きなくて良かった。天気も良い。縁起が良いじゃ無いか」
「うん。あんたがそういうことを気にするって、なんだか面白いよ」
「俺は縁起を気にする方だぞ」
やっぱり黒崎の声が遠い。しかし、彼は近くに居るから安心だ。最近離れることが多くて、気持ちが安定していないのだろうか。結局のところ、俺は頼ってばかりだ。それは悲しいことではなくて、家族としてここに居るのだという実感が沸き、俺を現実世界に引き戻してくれた。
「あ、あんたの声が元通りに聞こえるよ」
「それはよかった。さあ、もう着いたぞ」
「早いね。こんなに近くにあったっけ?」
「ある。お前、喋ってばかりで道を見ていないからだ」
「そっか。運転はあんたにお任せだもんね」
車がコンビニの駐車場に着いた。さっそく車から降りて、2人でコンビニに入っていった。すると、伊吹が話していたとおり、くじ引きのポスターがあり、棚には景品が並べられていた。
「黒崎さん。俺、やってみたい」
「そうか。700円以上買わないと、引けないぞ。何本か買って行こう」
「うん。お菓子も買うよ。あんパンも食べたいな。あれ?パンが売り切れだよ~」
俺はパンの棚の前に立ち、ガランとした空間を見て、残念だと思って、ため息をついた。この時間は売り切れだ。店内の時計を見て、そう思った。
伊吹を家まで送って行った帰りだ。マンションの玄関まで送り届けて、聡太郎にバトンタッチした。彼はリラックスした格好をしていて、すっかり幼馴染みの聡太郎に戻っていたから、懐かしかった。もう外での彼しか見ていなくて、元の姿をすっかり忘れていた。
黒崎の車に乗る前に、マンションの前で空を見上げた。街灯からの明かりがはっきりしているから、星が見えない。道路は昼間のように明るい。俺の心は落ち着いているが、昨日と今日のコンサートを終えた安堵感で力が抜けすぎて、空を見上げたままフラついた。そして、運転席の黒崎に話しかけた。
「黒崎さーーん。俺、ここにいる?ちゃんと立ってる?」
「ああ、ちゃんと立っているぞ。もっと外にいたいのか?」
「ううん。そんなことはないよ。早く帰りたいよ。でもね、なんだか呼ばれている気がするんだ。こっちにおいでって……」
「おい。しっかりしろ……」
黒崎が車から降りてきた。そして、助手席のドアを開けて、俺のことを席に乗せた。そして、静かにドアを閉めた。
「夏樹。まっすぐ帰るだろう?コンビニに寄っていくか?アールグレイティーが飲みたいか?」
「あ、飲みたい。寄ってもらえるかな?」
「もちろんだ。寄っていこう」
黒崎が運転席に乗り込み、車を発進させた。フロントガラスには進んでいく道が見えて、いつものように車が走っているのだと感じることができた。これからまた普段通りの生活が始まり、ホッと一息つく頃だと思うのに、俺の心の中はざわざわし始めた。そして、身体が重くなり、黒崎の話し声が遠くに聞こえた。
「黒崎さん。なんかね、あんたの話し声が遠くに感じるんだよ」
「緊張感が取れたからじゃないか?普段とは別のことをした後だ。心も体も驚いているんだろう。紅茶を飲めば、スッキリするだろう」
「そうだね。数時間前にステージに立っていたんだ。まだ歓声が聞こえているよ」
「そうか。大きなトラブルが起きなくて良かった。天気も良い。縁起が良いじゃ無いか」
「うん。あんたがそういうことを気にするって、なんだか面白いよ」
「俺は縁起を気にする方だぞ」
やっぱり黒崎の声が遠い。しかし、彼は近くに居るから安心だ。最近離れることが多くて、気持ちが安定していないのだろうか。結局のところ、俺は頼ってばかりだ。それは悲しいことではなくて、家族としてここに居るのだという実感が沸き、俺を現実世界に引き戻してくれた。
「あ、あんたの声が元通りに聞こえるよ」
「それはよかった。さあ、もう着いたぞ」
「早いね。こんなに近くにあったっけ?」
「ある。お前、喋ってばかりで道を見ていないからだ」
「そっか。運転はあんたにお任せだもんね」
車がコンビニの駐車場に着いた。さっそく車から降りて、2人でコンビニに入っていった。すると、伊吹が話していたとおり、くじ引きのポスターがあり、棚には景品が並べられていた。
「黒崎さん。俺、やってみたい」
「そうか。700円以上買わないと、引けないぞ。何本か買って行こう」
「うん。お菓子も買うよ。あんパンも食べたいな。あれ?パンが売り切れだよ~」
俺はパンの棚の前に立ち、ガランとした空間を見て、残念だと思って、ため息をついた。この時間は売り切れだ。店内の時計を見て、そう思った。
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