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伊吹が帰り支度を始めた。俺にお土産があるという。コンビニのクジを引いて当てたグッズだという。
「なに?ぬいぐるみ?」
「いや、タオルハンカチだ。4回引いて、全部同じグッズだったから、全部お前に渡す。使ってくれ。ツキがあるということだ」
「なるほどねえ。すごい確率だよね。4回全部だなんて……」
そのハンカチを受け取った。キャラクター物だ。万理が好きだったと思う。なぜ渡さなかったのだろう。そして、その答えを聞いて、俺は恥ずかしくなった。万理が欲しがるとしたら、小学生の時だということだったからだ。
「夏樹。俺達の妹は成長している。もうキャラクター物は卒業しているんだぞ」
「ああーー、なんか恥ずかしいよ~。万理って、小学生のイメージだからさ~。伊吹お兄ちゃんはまだ高校生の感覚なんだ。俺の中ではさ。俺は中学生の感覚を持っているよ」
「若さを保つ秘訣になるだろう。精神年齢は見た目に影響すると、お兄ちゃんは思っている。お前はお母さんのように、白髪が無いようにしろ」
「うん。ヘッドマッサージを欠かしていないよ。あれ?お兄ちゃん、それ、白髪じゃないの?」
「なんだと?俺はまだ25歳だぞ……。クリスマスで26歳だ」
「誕生日を主張しなくても、プレゼントを渡すよ。見せてよ、頭。ほら、あるってば。ねえ、黒崎さん……」
「ああ……」
黒崎にも伊吹の白髪を見つけてもらった。カラーリングをしていない黒髪の中に、数本の白髪が交ざっているのを発見した。聡太郎に苦労しているのだろうか。会社の苦労もあると思うが、伊吹の周りの人の方が大変なのではないかという思いがよぎり、口を閉じた。俺は言えることではない。何も知らないからだ。どんなことで悩んで泣きそうになっているのか、伊吹は全然打ち明けてくれない。
「お兄ちゃん。中山クロウになって歌うから、白髪が生えたんじゃないのかよ?」
「うぬぬぬぬ。白髪染めをすることにする!」
「まだそんなに生えていないから、部分染めで良いんじゃないのかな?ドラッグストアで、白髪染めがたくさん売っているよ。後ろの方はないみたいだよ。前髪の辺りに出ているよ」
「お前、詳しいんだな。いつからそうなったんだ?」
「最近だよ。俺は人前に出る仕事だろ?ローザーさんから色々と情報を仕入れているんだ。俺も白髪が生えるのが早いと思うから、ヘッドマッサージを始めたんだ。俺、髪の毛が細いから、カラーリングしたら傷みそうだし……」
「うぬぬぬぬ。これでも若さを保っているつもりだったんだが……」
伊吹が珍しく肩を落とした。それを見て、黒崎がため息をついた。一体どうしたのだろうか。何かあったに違いない。俺は急に伊吹に優しくしたくなり、そっと肩に触れた。
「お兄ちゃん、どうしたんだよ。今日は聡太郎君の晴れの舞台が見られて、良かっただろ?腱鞘炎の方も、何とかなっているみたいだし……」
「伊吹君。忙しすぎだ。テレビ出演の回数を減らしたらどうだ?会食の申し込みが多くなっただろう。君と会いたい人が増えすぎだ」
「はい……」
黒崎からの言葉に、伊吹が素直に頷いた。痩せてはいないし、肌つやも良い方だ。しかし、また新しい場所に白髪を発見して、それはさすがに言えなかった。
俺達の他にいるのは5人に減った。そろそろ会場を出ようという話になり、控え室へ荷物を取りに行った。そのほとんどを伊吹が持ってくれた。黒崎は車で出入り口まで運転してきてくれて、俺と伊吹を乗せた。聡太郎は先に事務所の車で帰っている。早く家に帰って身体を休ませるためだ。
「なに?ぬいぐるみ?」
「いや、タオルハンカチだ。4回引いて、全部同じグッズだったから、全部お前に渡す。使ってくれ。ツキがあるということだ」
「なるほどねえ。すごい確率だよね。4回全部だなんて……」
そのハンカチを受け取った。キャラクター物だ。万理が好きだったと思う。なぜ渡さなかったのだろう。そして、その答えを聞いて、俺は恥ずかしくなった。万理が欲しがるとしたら、小学生の時だということだったからだ。
「夏樹。俺達の妹は成長している。もうキャラクター物は卒業しているんだぞ」
「ああーー、なんか恥ずかしいよ~。万理って、小学生のイメージだからさ~。伊吹お兄ちゃんはまだ高校生の感覚なんだ。俺の中ではさ。俺は中学生の感覚を持っているよ」
「若さを保つ秘訣になるだろう。精神年齢は見た目に影響すると、お兄ちゃんは思っている。お前はお母さんのように、白髪が無いようにしろ」
「うん。ヘッドマッサージを欠かしていないよ。あれ?お兄ちゃん、それ、白髪じゃないの?」
「なんだと?俺はまだ25歳だぞ……。クリスマスで26歳だ」
「誕生日を主張しなくても、プレゼントを渡すよ。見せてよ、頭。ほら、あるってば。ねえ、黒崎さん……」
「ああ……」
黒崎にも伊吹の白髪を見つけてもらった。カラーリングをしていない黒髪の中に、数本の白髪が交ざっているのを発見した。聡太郎に苦労しているのだろうか。会社の苦労もあると思うが、伊吹の周りの人の方が大変なのではないかという思いがよぎり、口を閉じた。俺は言えることではない。何も知らないからだ。どんなことで悩んで泣きそうになっているのか、伊吹は全然打ち明けてくれない。
「お兄ちゃん。中山クロウになって歌うから、白髪が生えたんじゃないのかよ?」
「うぬぬぬぬ。白髪染めをすることにする!」
「まだそんなに生えていないから、部分染めで良いんじゃないのかな?ドラッグストアで、白髪染めがたくさん売っているよ。後ろの方はないみたいだよ。前髪の辺りに出ているよ」
「お前、詳しいんだな。いつからそうなったんだ?」
「最近だよ。俺は人前に出る仕事だろ?ローザーさんから色々と情報を仕入れているんだ。俺も白髪が生えるのが早いと思うから、ヘッドマッサージを始めたんだ。俺、髪の毛が細いから、カラーリングしたら傷みそうだし……」
「うぬぬぬぬ。これでも若さを保っているつもりだったんだが……」
伊吹が珍しく肩を落とした。それを見て、黒崎がため息をついた。一体どうしたのだろうか。何かあったに違いない。俺は急に伊吹に優しくしたくなり、そっと肩に触れた。
「お兄ちゃん、どうしたんだよ。今日は聡太郎君の晴れの舞台が見られて、良かっただろ?腱鞘炎の方も、何とかなっているみたいだし……」
「伊吹君。忙しすぎだ。テレビ出演の回数を減らしたらどうだ?会食の申し込みが多くなっただろう。君と会いたい人が増えすぎだ」
「はい……」
黒崎からの言葉に、伊吹が素直に頷いた。痩せてはいないし、肌つやも良い方だ。しかし、また新しい場所に白髪を発見して、それはさすがに言えなかった。
俺達の他にいるのは5人に減った。そろそろ会場を出ようという話になり、控え室へ荷物を取りに行った。そのほとんどを伊吹が持ってくれた。黒崎は車で出入り口まで運転してきてくれて、俺と伊吹を乗せた。聡太郎は先に事務所の車で帰っている。早く家に帰って身体を休ませるためだ。
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