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午前0時。
ちょうど日付が変わったところだ。車が森の中のような場所にたどり着き、うちに帰ってきたのだと実感した。俺は先に降りて、黒崎が車庫に駐車して降りてくるのを待った。外はすっかり気温が下がっていて、コートを着ていても寒く感じた。
「ああーー、すっかり夜更けだなあ。今日一日休みだから、ゆっくりしようっと……」
「夏樹。先にアンを迎えに行こう」
「うん」
黒崎が俺の荷物を手に取って降りてきた。地面には木の葉が落ちていて、歩く度に音がする。来月になれば、木の枝が白っぽく変わる木が多いだろう。そうなると、もう冬という感じになる。
「あんたの誕生日は、どこに行こうか?」
「まだ決めていない。家でゆっくりでどうだ?」
「そうだね。また風邪を引くかも知れないし。あんたも俺もね……。咳は出ていない?今日も大丈夫だった?」
「ああ、発作は起きていない。……この庭に、親戚の子供が遊びに来る日が来るのか。8歳と3歳と2歳の男の子達だ。連れて来られた意味を知ったら、泣くんじゃないのか……」
「親と引き離して、この家で育つわけじゃないし、大人になってからの養子縁組だろ?大丈夫じゃない?」
「いや、親父のことだ。この家で育てそうだ。アレクシスとユーリーの例がある。2人がいたら、俺の子供時代は変わっていただろう。2人が帰国した後で、俺がここに来た」
「うん。不思議だね。お義父さんって、子供が好きなんだね。そんな感じしなくてさ~、話を聞いていたら……。あんたの話を聞いて、震え上がったことがあるんだよ。厳しい人だって分かるんだよ。本人だってそう言っていたんだ。だから、お義父さんは連れて来ないってば」
「いや、そうでもない。そういうことをしそうだ。母親代わりになる人がいない。山崎さん達は忙しい。面倒を見てくれなんて言えない。それでも、育てると言い出しそうだ……」
「そっか……」
黒崎がそう言うのなら、そうなりそうだと、半分だけ思った。2歳の子はここから車で2時間半かかる場所で暮らしている。後の2人は都内に家があるそうだ。頻繁に連れてこれるとしたら、2人だろう。2歳の子は、大人しいタイプだと聞いている。本を読むのが好きなようで、親からの読み聞かせを楽しんでいるそうだ。
(その子になりそうだな。なんか、そう思うんだ……)
まだ3人の名前を聞いていない。法事に出るのは大人だけだし、遠い親戚だから、顔を合わせることがなかった。まずは3人を連れてきて庭で遊ばせて、この家に馴染めそうかを見るそうだ。
黒崎は6歳になるまでに数回、連れて来られている。本人は覚えていない。ただ庭を歩いていただけで、お義父さんと話しただけだそうだ。ママと住んでいた家に、たまに訪ねてくる”おじさん”と歩き、ママと離れて歩いていても泣かないかどうかを見たかったそうだ。ママから行って来なさいと送り出されて、お義父さんの車に乗り、ここまで来たということだ。不安だっただろう。
「黒崎さん。ここに連れて来られたとき、全然、泣かなかったんだってね?」
「あの人と話す機会がなくて、ママだと思っていなかったからだ。お手伝いさんは車に乗っていたんだぞ?彼女がいるから安心していたと思う」
「そっか……。でもさ、若いときのお義父さんと2人で歩いたんだよ?会話なんかなかっただろ?全然知らない場所に連れて来られて、たまに遊びに来るおじさんとなんてさ。誘拐みたいなものじゃないかな?」
「それはそうだ。危ないことだ」
黒崎が笑った。そして、自分ならそうしなくないと言った。それは彼の本音だ。しかし、養子に来る子を選ぶとなれば、お義父さんと同じ方法を取る気がしている。たった一人で広い部屋で眠り、それぞれに部屋があり、そこには重い扉のドアがあり、ノックをしないと話しかけられない家だ。そんなところに、黒崎は来てしまった。
ちょうど日付が変わったところだ。車が森の中のような場所にたどり着き、うちに帰ってきたのだと実感した。俺は先に降りて、黒崎が車庫に駐車して降りてくるのを待った。外はすっかり気温が下がっていて、コートを着ていても寒く感じた。
「ああーー、すっかり夜更けだなあ。今日一日休みだから、ゆっくりしようっと……」
「夏樹。先にアンを迎えに行こう」
「うん」
黒崎が俺の荷物を手に取って降りてきた。地面には木の葉が落ちていて、歩く度に音がする。来月になれば、木の枝が白っぽく変わる木が多いだろう。そうなると、もう冬という感じになる。
「あんたの誕生日は、どこに行こうか?」
「まだ決めていない。家でゆっくりでどうだ?」
「そうだね。また風邪を引くかも知れないし。あんたも俺もね……。咳は出ていない?今日も大丈夫だった?」
「ああ、発作は起きていない。……この庭に、親戚の子供が遊びに来る日が来るのか。8歳と3歳と2歳の男の子達だ。連れて来られた意味を知ったら、泣くんじゃないのか……」
「親と引き離して、この家で育つわけじゃないし、大人になってからの養子縁組だろ?大丈夫じゃない?」
「いや、親父のことだ。この家で育てそうだ。アレクシスとユーリーの例がある。2人がいたら、俺の子供時代は変わっていただろう。2人が帰国した後で、俺がここに来た」
「うん。不思議だね。お義父さんって、子供が好きなんだね。そんな感じしなくてさ~、話を聞いていたら……。あんたの話を聞いて、震え上がったことがあるんだよ。厳しい人だって分かるんだよ。本人だってそう言っていたんだ。だから、お義父さんは連れて来ないってば」
「いや、そうでもない。そういうことをしそうだ。母親代わりになる人がいない。山崎さん達は忙しい。面倒を見てくれなんて言えない。それでも、育てると言い出しそうだ……」
「そっか……」
黒崎がそう言うのなら、そうなりそうだと、半分だけ思った。2歳の子はここから車で2時間半かかる場所で暮らしている。後の2人は都内に家があるそうだ。頻繁に連れてこれるとしたら、2人だろう。2歳の子は、大人しいタイプだと聞いている。本を読むのが好きなようで、親からの読み聞かせを楽しんでいるそうだ。
(その子になりそうだな。なんか、そう思うんだ……)
まだ3人の名前を聞いていない。法事に出るのは大人だけだし、遠い親戚だから、顔を合わせることがなかった。まずは3人を連れてきて庭で遊ばせて、この家に馴染めそうかを見るそうだ。
黒崎は6歳になるまでに数回、連れて来られている。本人は覚えていない。ただ庭を歩いていただけで、お義父さんと話しただけだそうだ。ママと住んでいた家に、たまに訪ねてくる”おじさん”と歩き、ママと離れて歩いていても泣かないかどうかを見たかったそうだ。ママから行って来なさいと送り出されて、お義父さんの車に乗り、ここまで来たということだ。不安だっただろう。
「黒崎さん。ここに連れて来られたとき、全然、泣かなかったんだってね?」
「あの人と話す機会がなくて、ママだと思っていなかったからだ。お手伝いさんは車に乗っていたんだぞ?彼女がいるから安心していたと思う」
「そっか……。でもさ、若いときのお義父さんと2人で歩いたんだよ?会話なんかなかっただろ?全然知らない場所に連れて来られて、たまに遊びに来るおじさんとなんてさ。誘拐みたいなものじゃないかな?」
「それはそうだ。危ないことだ」
黒崎が笑った。そして、自分ならそうしなくないと言った。それは彼の本音だ。しかし、養子に来る子を選ぶとなれば、お義父さんと同じ方法を取る気がしている。たった一人で広い部屋で眠り、それぞれに部屋があり、そこには重い扉のドアがあり、ノックをしないと話しかけられない家だ。そんなところに、黒崎は来てしまった。
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