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黒崎は初めてお義父さんの家で一人で寝た夜は、ぐっすり眠れたそうだ。拓海さんが置いてくれていた楽譜がベッドにあり、それを眺めているうちに眠たくなってしまったという。そして、自分で電気を消して、目覚ましをかけて、朝起きたそうだ。ママは迎えに来ない。お義父さんもだ。ただし、ドアを開けると拓海さんが待っていてくれて、黒崎はその時、恥ずかしかったことを覚えているそうだ。ほんの少し怖い部屋だと思っていたから、知っている人が居てくれてホッとして、泣きそうになったからだという。
「あんたの小さい頃って、可愛いよねえーーー」
「お前と同じだ。引っ込み思案と人見知りだ。それに無口だった。可愛くないだろう」
「ううん。なんか、ユーリーと真逆だよね。お義父さん、面白かったんじゃないの?」
「それは言っていたような気がする。ああ、みんな帰り着いていたのか」
黒崎がお義父さんの家の灯りを見て笑った。誰もが寄り道をしている気がしていたそうだが、そうではなかった。それぞれの部屋に灯りがついていて、みんなまだ起きている。もちろん、アンが待っているリビングにも灯りがついているのが見えた。
「ああーー、帰ってきたなーーー。疲れたよーーー」
「お疲れ様。……おい、まだ早いんじゃないか?」
「あれ?モミの木だね!誰が玄関に置いたのかな?」
「ユーリーじゃないか?彼しか思い当たらない」
「埃取りしたくて陰干しして、家に入れるのを忘れたのかも知れないよ」
さっそく玄関まで行き、150センチの高さのプラスチック製のモミの木を眺めた。たしか、家の奥の物置にあったはずだ。この家は大人だらけだから、誰も飾ろうとしない。たしかに、ユーリーなら飾りそうだ。
「懐かしいなあ。こういうのって……。実家には小さなモミの木があったよ。お母さんが毎年、出窓に置いていたよ」
「うちでも飾りたい気持ちはあるんだがな……」
「アンが倒すに決まっているから、置けないね。うひゃひゃひゃ。観葉植物も諦めたし……。だから、外に置いているのかな?」
玄関を開けると、真っ先に一貴さんが出てきた。アンを抱いている。さっきまで彼の部屋に居たそうだ。寂しそうにしているから、連れて行ってくれたという。
「おっと……。降りるか?」
「ワン!」
アンが、一貴さんの腕から降りて、俺達に向かって走って来た。それは勢いがついていて、キャッチした俺は後ろに倒れそうになった。しかも、コートの匂いをすごい勢いでクンクン嗅ぐから、その力で、ますます倒れそうになった。
「アンーー、君は小型犬だよねーーー。もう大丈夫だよ。俺、しばらく家に居るからね。ただいまーーー」
「アン、ただいま。寝ていたのか?」
「いや、起きていたよ。うろうろして落ち着かなくて、まるで僕みたいだった」
「ありがとう……」
アンのことを抱き上げて、ふかふかの身体の匂いを嗅いだ。朝出てくるときと同じ匂いがして、ホッとした。帰る場所はここにある。そう思うと泣けてきて、アンの身体で顔を拭いてやった。黒崎達から笑われながら。
「あんたの小さい頃って、可愛いよねえーーー」
「お前と同じだ。引っ込み思案と人見知りだ。それに無口だった。可愛くないだろう」
「ううん。なんか、ユーリーと真逆だよね。お義父さん、面白かったんじゃないの?」
「それは言っていたような気がする。ああ、みんな帰り着いていたのか」
黒崎がお義父さんの家の灯りを見て笑った。誰もが寄り道をしている気がしていたそうだが、そうではなかった。それぞれの部屋に灯りがついていて、みんなまだ起きている。もちろん、アンが待っているリビングにも灯りがついているのが見えた。
「ああーー、帰ってきたなーーー。疲れたよーーー」
「お疲れ様。……おい、まだ早いんじゃないか?」
「あれ?モミの木だね!誰が玄関に置いたのかな?」
「ユーリーじゃないか?彼しか思い当たらない」
「埃取りしたくて陰干しして、家に入れるのを忘れたのかも知れないよ」
さっそく玄関まで行き、150センチの高さのプラスチック製のモミの木を眺めた。たしか、家の奥の物置にあったはずだ。この家は大人だらけだから、誰も飾ろうとしない。たしかに、ユーリーなら飾りそうだ。
「懐かしいなあ。こういうのって……。実家には小さなモミの木があったよ。お母さんが毎年、出窓に置いていたよ」
「うちでも飾りたい気持ちはあるんだがな……」
「アンが倒すに決まっているから、置けないね。うひゃひゃひゃ。観葉植物も諦めたし……。だから、外に置いているのかな?」
玄関を開けると、真っ先に一貴さんが出てきた。アンを抱いている。さっきまで彼の部屋に居たそうだ。寂しそうにしているから、連れて行ってくれたという。
「おっと……。降りるか?」
「ワン!」
アンが、一貴さんの腕から降りて、俺達に向かって走って来た。それは勢いがついていて、キャッチした俺は後ろに倒れそうになった。しかも、コートの匂いをすごい勢いでクンクン嗅ぐから、その力で、ますます倒れそうになった。
「アンーー、君は小型犬だよねーーー。もう大丈夫だよ。俺、しばらく家に居るからね。ただいまーーー」
「アン、ただいま。寝ていたのか?」
「いや、起きていたよ。うろうろして落ち着かなくて、まるで僕みたいだった」
「ありがとう……」
アンのことを抱き上げて、ふかふかの身体の匂いを嗅いだ。朝出てくるときと同じ匂いがして、ホッとした。帰る場所はここにある。そう思うと泣けてきて、アンの身体で顔を拭いてやった。黒崎達から笑われながら。
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