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聡太郎がおばあちゃんと住んでいた家は、中山家の近所にある。お父さんはどこに居るのか分からないが、最近になり、連絡が取れるようになった。土地と家の名義はお父さんだ。いい機会だから、家を売ると言っていた。それなら安心して、父達も引っ越せる。聡太郎は伊吹といるし、もう地元には帰らないという意志だ。
「引っ越し先は同じ県内にすると思うよ。お父さんはこっちに来ても良いって言いそうだけど……」
「それなら、万理ちゃんが一人になる。開明高校の教員になるなら、一人暮らしだ」
「それはいいんだよ。そういうこともさせた方がいいって、お父さんは言うと思うんだ。それに、お祖父ちゃん達と離れたいっていう理由もあると思うんだ……。お母さんは同じ県内が良いって言いそうだよ」
「そうだな。お祖父さん達がいる。介護で帰ることを思えば、同じ県内がいいか……。それに、事務所も移転しない方がいいか……」
「お父さんは自由に動き回ると思うよ。お母さんが大変だよ……。ユーリー、うちってね、実はお父さんが強い方なんだ。普段はお母さんが強いんだけどね……」
「夏樹……」
ユーリーが肩を叩いてくれた。そして、両肩をトントン叩いてくれと頼むと、そうしてくれた。すると、俺の足下にいたアンが膝の上に乗ってきた。俺が沈み込む声を出すと、そうしてくれている。俺はアンの背中を撫でて、ホッと息をついた。
「今年のうちに動き出すだろ?倉口さんのこと……」
「ああ、早く解決したい」
「今日、うちのお父さんに伝えるよ。もう家を見つけているかも。お父さんのことだから……。伊吹お兄ちゃんが進めている気がするんだ。ほら、俺、コンサートがあったじゃん。俺に知らせないでやっていると思うよ」
「それはそうだな。頼りになる兄貴だ」
「うん。あんたもね。次男なんていいよね。のんびり出来てさ……。ね、ユーリー……」
「夏樹。僕も次男だ。気持ちはよく分かる」
「だろーー?でもさーー、それぞれの家で違うっていうのが分かってきたよ。兄弟でどの子がしっかりしているかなんて、大人にならないと分からないんだ。大学で学んだよ。友達達の話を聞いてさーー」
はあ。もう一度、息をついた。相変わらず空は晴れ渡っていて、こういう話をするのにはいいのかもしれない。気持ちが違うし、縁起が良いように思った。別離と引っ越し。言葉を思い浮かべると不安な気持ちがあるが、良い方に動くことだってある。
「ねえ、今日はもっとお義父さんと話さなくても良いの?」
「今日はもういい。疲れて寝ているだろう。たまには疲れさせた方が良い」
「お義父さん、疲れない人だもんね。特にさーー、ユーリーが来てから、顔色がいいもんね。手の掛かるメンバーが増えると、生き生きしている感じ」
「ああ、僕はそういうメンバーだ。……二葉は大丈夫なのか?」
「一切関わるなとだけ言ってある。経過も話したくない。結果だけ伝えるかも知れない」
黒崎が言い切った。それなら俺達に出来ることは何だろうか。いつも通りに振る舞うことだ。二葉は今日、大学に行っている。もうすぐで休みに入るから、会社へ通う日が増えそうだ。そして、年末年始の休暇に入り、家に居るようになると、考え込むかも知れない。その時には解決に向かっていると良いと思った。俺も二葉には倉口さんとは話してもらいたくない。朝陽にもだ。春から復学するから、また忙しくなるだろう。今はアパートで一人暮らしだが、また寮に入り直すかも知れない。彼も引っ越しになる。
「そろそろ、倉庫に行こうよ」
「ああ、そうしよう。ユーリー、いいか?」
「僕もいいよ。行こう。アンも行くだろう?」
「ワン!」
それぞれが立ち上がり、のびをしたり、空を見上げたりした。すると、蜂が飛んできたから驚いて走って逃げて、黒崎達から止められた。もう向こうに行ったという。悲鳴を上げなくて良かった。恥ずかしいところだったと思いながら、みんなの後をついて、俺も倉庫に向かった。
「引っ越し先は同じ県内にすると思うよ。お父さんはこっちに来ても良いって言いそうだけど……」
「それなら、万理ちゃんが一人になる。開明高校の教員になるなら、一人暮らしだ」
「それはいいんだよ。そういうこともさせた方がいいって、お父さんは言うと思うんだ。それに、お祖父ちゃん達と離れたいっていう理由もあると思うんだ……。お母さんは同じ県内が良いって言いそうだよ」
「そうだな。お祖父さん達がいる。介護で帰ることを思えば、同じ県内がいいか……。それに、事務所も移転しない方がいいか……」
「お父さんは自由に動き回ると思うよ。お母さんが大変だよ……。ユーリー、うちってね、実はお父さんが強い方なんだ。普段はお母さんが強いんだけどね……」
「夏樹……」
ユーリーが肩を叩いてくれた。そして、両肩をトントン叩いてくれと頼むと、そうしてくれた。すると、俺の足下にいたアンが膝の上に乗ってきた。俺が沈み込む声を出すと、そうしてくれている。俺はアンの背中を撫でて、ホッと息をついた。
「今年のうちに動き出すだろ?倉口さんのこと……」
「ああ、早く解決したい」
「今日、うちのお父さんに伝えるよ。もう家を見つけているかも。お父さんのことだから……。伊吹お兄ちゃんが進めている気がするんだ。ほら、俺、コンサートがあったじゃん。俺に知らせないでやっていると思うよ」
「それはそうだな。頼りになる兄貴だ」
「うん。あんたもね。次男なんていいよね。のんびり出来てさ……。ね、ユーリー……」
「夏樹。僕も次男だ。気持ちはよく分かる」
「だろーー?でもさーー、それぞれの家で違うっていうのが分かってきたよ。兄弟でどの子がしっかりしているかなんて、大人にならないと分からないんだ。大学で学んだよ。友達達の話を聞いてさーー」
はあ。もう一度、息をついた。相変わらず空は晴れ渡っていて、こういう話をするのにはいいのかもしれない。気持ちが違うし、縁起が良いように思った。別離と引っ越し。言葉を思い浮かべると不安な気持ちがあるが、良い方に動くことだってある。
「ねえ、今日はもっとお義父さんと話さなくても良いの?」
「今日はもういい。疲れて寝ているだろう。たまには疲れさせた方が良い」
「お義父さん、疲れない人だもんね。特にさーー、ユーリーが来てから、顔色がいいもんね。手の掛かるメンバーが増えると、生き生きしている感じ」
「ああ、僕はそういうメンバーだ。……二葉は大丈夫なのか?」
「一切関わるなとだけ言ってある。経過も話したくない。結果だけ伝えるかも知れない」
黒崎が言い切った。それなら俺達に出来ることは何だろうか。いつも通りに振る舞うことだ。二葉は今日、大学に行っている。もうすぐで休みに入るから、会社へ通う日が増えそうだ。そして、年末年始の休暇に入り、家に居るようになると、考え込むかも知れない。その時には解決に向かっていると良いと思った。俺も二葉には倉口さんとは話してもらいたくない。朝陽にもだ。春から復学するから、また忙しくなるだろう。今はアパートで一人暮らしだが、また寮に入り直すかも知れない。彼も引っ越しになる。
「そろそろ、倉庫に行こうよ」
「ああ、そうしよう。ユーリー、いいか?」
「僕もいいよ。行こう。アンも行くだろう?」
「ワン!」
それぞれが立ち上がり、のびをしたり、空を見上げたりした。すると、蜂が飛んできたから驚いて走って逃げて、黒崎達から止められた。もう向こうに行ったという。悲鳴を上げなくて良かった。恥ずかしいところだったと思いながら、みんなの後をついて、俺も倉庫に向かった。
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