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俺達はベッドのそばにあるソファーに座った。しばらくここにいたほうが良いと思ってのことだ。黒崎は今、リビングで沙耶さんと電話で話している。そして、お義父さんが付き添っている。
縁というのか、倉口さんの方から沙耶さんがいた地元の事務所に、甥っ子の弁護を頼めないかという連絡が入ったそうだ。しかし、今回はお義父さんが沙耶さんに相談することから、別の事務所を紹介するそうだ。彼女がいた事務所は今、忙しいらしい。下着泥棒の弁護の依頼が来て、押収された下着の数が膨大であり、時間の掛かりそうな事件だという。それを聞いて、人生は色々だと思った。
すると、ユーリーが起き上がろうとした。俺達はそれを止めた。しかし、彼はまた起き上がろうとしている。
「ユーリー。無理するなよーー」
「隆さんが心配する……。君達だって聞いただろう?あの人が、僕に謝ったんだ。ユーリー、ごめんねって……」
「お義父さんだって謝るときがあるよ……」
「いや、そんなことはない。何をしても、謝ることは無かったんだ。圭一だって呆れていた。親父、何を謝っているんだって……。いつものように偉そうにしろって……」
何を想像したのか、ユーリーがこぼれ落ちてきた涙をティッシュで拭いた。お義父さんが病気にかかっていると思ったのだそうだ。俺と二葉も同じ事が浮かんだ。しかし、今それを心配しても仕方が無いだろう。
「ユーリー、心配するなって……。そっか、あんたが長くここに滞在することになったのは、お義父さんに死期が迫っているって思ったんだね……」
「ああ、そうだよ。バーテルス家を代表して、僕がここに来たんだと思う……」
「お義父さん、元気なんだよ?長寿を目指す会のサポーターになったんだし。84歳の人が世話をする側になったんだ……」
それは健康で長生きしようというグループのことだ。公民館で体操をしたり、集まって悩みを打ち明けたりするという。会員数は約80名だ。世話人は10名いて、70歳代が多いという。その中で、お義父さんだけが80歳代だ。主に黒崎製菓グループの社員の家族らしい。
「お義父さん、忙しくなってさ~。アーティスト支援もあるし……」
「おじいちゃんさーー、ユーリーのことが可愛いんだよ。随分と可愛がって貰ったんだね……」
「ああ。飛行機のオモチャを買ってもらった。僕と兄さんのことをおもちゃ屋に連れて行ったんだ。秘書は同行していなかったんだよ。まるで親子みたいだった。でも、圭一はそんな思い出はないんだね。悲しいよ。ほらね、隆さんに死期が迫っているんだ……」
「うひゃひゃひゃーーー」
ユーリーの思い込みの激しさに笑ってしまった。ここに伊吹がいたら、彼にどんな声を掛けるだろうか。きっと、バーテルス家との繋がりが欲しいと言い、あれこれ話を聞こうとするのだろう。なにせ、伊吹はユーリーが勤務している出版社との商談があった。今も付き合いが続いている。
「そうだ、伊吹お兄ちゃんの話をしてよ。元気が出るだろ~」
「いいよ。伊吹社長は新卒の社員に、たった6ヶ月でドイツ語を習得させて、商談の通訳をさせようとした人物だ。伊吹社長はイタリア語専攻だったから、ドイツ語が分からないんだって言っていた。これも覚えているよ。ドイツのイベントで、自社の宣伝をしていた……。観光客向けのイベントでカメラとマイクを向けられて、当社は商談に参りました!って。面白いから、レポーターがずっと彼に喋らせていたんだ。僕たちはドン引きしたよ……」
それは伊吹が初めてドイツに商談に行った時のことだ。ドイツ語は分からないと言いながらも、なんとか覚えたフレーズを使って、ブロッコリー社の宣伝と、世界の平和を訴えかけていた。だから、レポーターが使ってくれたのだろう。
縁というのか、倉口さんの方から沙耶さんがいた地元の事務所に、甥っ子の弁護を頼めないかという連絡が入ったそうだ。しかし、今回はお義父さんが沙耶さんに相談することから、別の事務所を紹介するそうだ。彼女がいた事務所は今、忙しいらしい。下着泥棒の弁護の依頼が来て、押収された下着の数が膨大であり、時間の掛かりそうな事件だという。それを聞いて、人生は色々だと思った。
すると、ユーリーが起き上がろうとした。俺達はそれを止めた。しかし、彼はまた起き上がろうとしている。
「ユーリー。無理するなよーー」
「隆さんが心配する……。君達だって聞いただろう?あの人が、僕に謝ったんだ。ユーリー、ごめんねって……」
「お義父さんだって謝るときがあるよ……」
「いや、そんなことはない。何をしても、謝ることは無かったんだ。圭一だって呆れていた。親父、何を謝っているんだって……。いつものように偉そうにしろって……」
何を想像したのか、ユーリーがこぼれ落ちてきた涙をティッシュで拭いた。お義父さんが病気にかかっていると思ったのだそうだ。俺と二葉も同じ事が浮かんだ。しかし、今それを心配しても仕方が無いだろう。
「ユーリー、心配するなって……。そっか、あんたが長くここに滞在することになったのは、お義父さんに死期が迫っているって思ったんだね……」
「ああ、そうだよ。バーテルス家を代表して、僕がここに来たんだと思う……」
「お義父さん、元気なんだよ?長寿を目指す会のサポーターになったんだし。84歳の人が世話をする側になったんだ……」
それは健康で長生きしようというグループのことだ。公民館で体操をしたり、集まって悩みを打ち明けたりするという。会員数は約80名だ。世話人は10名いて、70歳代が多いという。その中で、お義父さんだけが80歳代だ。主に黒崎製菓グループの社員の家族らしい。
「お義父さん、忙しくなってさ~。アーティスト支援もあるし……」
「おじいちゃんさーー、ユーリーのことが可愛いんだよ。随分と可愛がって貰ったんだね……」
「ああ。飛行機のオモチャを買ってもらった。僕と兄さんのことをおもちゃ屋に連れて行ったんだ。秘書は同行していなかったんだよ。まるで親子みたいだった。でも、圭一はそんな思い出はないんだね。悲しいよ。ほらね、隆さんに死期が迫っているんだ……」
「うひゃひゃひゃーーー」
ユーリーの思い込みの激しさに笑ってしまった。ここに伊吹がいたら、彼にどんな声を掛けるだろうか。きっと、バーテルス家との繋がりが欲しいと言い、あれこれ話を聞こうとするのだろう。なにせ、伊吹はユーリーが勤務している出版社との商談があった。今も付き合いが続いている。
「そうだ、伊吹お兄ちゃんの話をしてよ。元気が出るだろ~」
「いいよ。伊吹社長は新卒の社員に、たった6ヶ月でドイツ語を習得させて、商談の通訳をさせようとした人物だ。伊吹社長はイタリア語専攻だったから、ドイツ語が分からないんだって言っていた。これも覚えているよ。ドイツのイベントで、自社の宣伝をしていた……。観光客向けのイベントでカメラとマイクを向けられて、当社は商談に参りました!って。面白いから、レポーターがずっと彼に喋らせていたんだ。僕たちはドン引きしたよ……」
それは伊吹が初めてドイツに商談に行った時のことだ。ドイツ語は分からないと言いながらも、なんとか覚えたフレーズを使って、ブロッコリー社の宣伝と、世界の平和を訴えかけていた。だから、レポーターが使ってくれたのだろう。
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