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すると、父がこの病院のホームページを表示させた。長く携帯電話を使っていたが、最近、スマホを使い始めた。さっと何かを操作する姿は現役時代の父そのものであり、頼りになる人だと思った。
「聖河の友人が今月から、この病院の精神科を担当しているそうだ。さっきの医師の若い方の先生だよ。町野和富医師だ。二葉に精神的なものがあるとみて、診察に来てくれたそうだ。私は彼が良いと思う」
「そうか……。二葉が今の病院を転院したがっているなら、そうするといいだろう。どうしてこの病院を嫌がったのか、知っているか?」
「いや、分からない。今の病院の方が、自分の悩みに合っていると思って選んだはずだ。ここも良いようだよ。二葉と同じ悩みを持つ患者を診ているだろう。うちの家はこの病院がいい」
「でも、ローザーさんが言うには、厳しそうな先生だって言うんだよ……」
「そうだったな……」
夏樹が言ったことに頷いた。それはTDDのコンサートのリハーサルの時の話だ。聖河とローザー氏が交際を始める前に、友人である町野医師の写真を見て、そう言ったそうだ。彼の勘は当たるのだろう。二葉にとって、どうだろうか。俺のイメージでは、優しい医師が良い。そう思っている。
そこで、ホームページにある町野医師の写真を、もう一度見た。さっき会った時とは印象が違うようだ。たしかに、厳しそうな顔をしている。精神科を担当する前は、外科の担当医だったそうだ。
「お義父さん。ローザーさんがさ~、私は無理って言ったんだ……」
「はははは。いや、私は彼がいい。話した時は優しい感じだったよ。靴も履いていた……」
「どうして裸足なんだろうね……」
ユーリーが笑った。彼はプライベートの町野医師に会っている。聖河がユーリーと食事に出かけたときに、一緒に来ていたそうで、3人で食事をしたそうだ。その時に裸足のことを聞きたかったが、初対面で失礼かと思い、聞くのはまたの機会にしたそうだ。
「ユーリー。どんな先生だったんだよ?」
「ごく普通の人だったよ。聖河君がぶっ飛んでいるタイプだから、余計にそう見えたんだけど。一貴さんの担当医が引退するから、病院を探さないといけないんだろう。ここの病院はどうだろうか?」
「そうだよねえ……」
うちの家には悩みがある。一貴のことだ。人格が分れている状態をかかりつけの医師に伝え、月に一度、カウンセラーのところに通っている。薬は処方されていない。以前は眠剤の処方をされていた。しかし、その医師が高齢であり、引退して生まれ故郷に帰るということで、一貴は次の医師を探している。
その医師からの勧めで、いくつかの精神科を紹介されたが、どれも会社から遠く、迷っている状況だ。そこで、父がこの病院を勧めだが、一貴としては、黒崎家の恥をさらすようで申し訳ないから、うちの家を知らない病院が良いと言っていた。それには父が渋い顔をして、ここにしなさいと強く勧めていた。
ここは黒崎家が代々かかっている病院だ。敷地内にある礼拝堂が建設されたときは30年前だが、純白叔母さんが骨折で入院したときにお披露目されて、できたての建物の中を見学できたという。父も見舞いに来ていて、かつて、曾祖母がここで息を引き取ったのだと、思い出を振り返ったそうだ。
俺は夏樹に一貴の説得を頼めないかと思った。そして、視線を向けると、良いよと言って頷いた。
「黒崎さん。あんたの考えは分かっているよ。俺に、カズ兄さんに、ここの病院にしろって言えって言うんだろ?」
「ああ、頼めないか?医師は9名いるようだ……」
「町野先生にしたら?お義父さん、どう思う?」
「はははは。一貴のことまで預けるようになってしまう。彼にはどの先生が良いだろうか……。年配の先生が良いと思っているんだよ……」
「そうだよねえ。カズ兄さんの希望だもんねえ……」
俺達はそれぞれ、この病院の精神科医の写真を見て、一番年上の医師を見つけた。しかし、夏樹が、一貴こそ、町野医師が良いと言い出した。
「俺、そんな気がするんだ。カズ兄さんには、厳しい顔の先生が良いよ」
「ああ、採血の度に暴れる男の対応には、そういう人が良いか……」
「ぷ……」
ユーリーが吹き出して笑い、肩を小刻みに揺らした。いっそのこと、テレビ出演させてもらったらどうかと言い出して、頷く思いがした。
すると、処置室から出てきたスタッフから呼ばれて、父が立ち上がった。二葉が目を覚ましたそうだ。俺達はそれぞれ荷物を持って、部屋の中に移動した。
「聖河の友人が今月から、この病院の精神科を担当しているそうだ。さっきの医師の若い方の先生だよ。町野和富医師だ。二葉に精神的なものがあるとみて、診察に来てくれたそうだ。私は彼が良いと思う」
「そうか……。二葉が今の病院を転院したがっているなら、そうするといいだろう。どうしてこの病院を嫌がったのか、知っているか?」
「いや、分からない。今の病院の方が、自分の悩みに合っていると思って選んだはずだ。ここも良いようだよ。二葉と同じ悩みを持つ患者を診ているだろう。うちの家はこの病院がいい」
「でも、ローザーさんが言うには、厳しそうな先生だって言うんだよ……」
「そうだったな……」
夏樹が言ったことに頷いた。それはTDDのコンサートのリハーサルの時の話だ。聖河とローザー氏が交際を始める前に、友人である町野医師の写真を見て、そう言ったそうだ。彼の勘は当たるのだろう。二葉にとって、どうだろうか。俺のイメージでは、優しい医師が良い。そう思っている。
そこで、ホームページにある町野医師の写真を、もう一度見た。さっき会った時とは印象が違うようだ。たしかに、厳しそうな顔をしている。精神科を担当する前は、外科の担当医だったそうだ。
「お義父さん。ローザーさんがさ~、私は無理って言ったんだ……」
「はははは。いや、私は彼がいい。話した時は優しい感じだったよ。靴も履いていた……」
「どうして裸足なんだろうね……」
ユーリーが笑った。彼はプライベートの町野医師に会っている。聖河がユーリーと食事に出かけたときに、一緒に来ていたそうで、3人で食事をしたそうだ。その時に裸足のことを聞きたかったが、初対面で失礼かと思い、聞くのはまたの機会にしたそうだ。
「ユーリー。どんな先生だったんだよ?」
「ごく普通の人だったよ。聖河君がぶっ飛んでいるタイプだから、余計にそう見えたんだけど。一貴さんの担当医が引退するから、病院を探さないといけないんだろう。ここの病院はどうだろうか?」
「そうだよねえ……」
うちの家には悩みがある。一貴のことだ。人格が分れている状態をかかりつけの医師に伝え、月に一度、カウンセラーのところに通っている。薬は処方されていない。以前は眠剤の処方をされていた。しかし、その医師が高齢であり、引退して生まれ故郷に帰るということで、一貴は次の医師を探している。
その医師からの勧めで、いくつかの精神科を紹介されたが、どれも会社から遠く、迷っている状況だ。そこで、父がこの病院を勧めだが、一貴としては、黒崎家の恥をさらすようで申し訳ないから、うちの家を知らない病院が良いと言っていた。それには父が渋い顔をして、ここにしなさいと強く勧めていた。
ここは黒崎家が代々かかっている病院だ。敷地内にある礼拝堂が建設されたときは30年前だが、純白叔母さんが骨折で入院したときにお披露目されて、できたての建物の中を見学できたという。父も見舞いに来ていて、かつて、曾祖母がここで息を引き取ったのだと、思い出を振り返ったそうだ。
俺は夏樹に一貴の説得を頼めないかと思った。そして、視線を向けると、良いよと言って頷いた。
「黒崎さん。あんたの考えは分かっているよ。俺に、カズ兄さんに、ここの病院にしろって言えって言うんだろ?」
「ああ、頼めないか?医師は9名いるようだ……」
「町野先生にしたら?お義父さん、どう思う?」
「はははは。一貴のことまで預けるようになってしまう。彼にはどの先生が良いだろうか……。年配の先生が良いと思っているんだよ……」
「そうだよねえ。カズ兄さんの希望だもんねえ……」
俺達はそれぞれ、この病院の精神科医の写真を見て、一番年上の医師を見つけた。しかし、夏樹が、一貴こそ、町野医師が良いと言い出した。
「俺、そんな気がするんだ。カズ兄さんには、厳しい顔の先生が良いよ」
「ああ、採血の度に暴れる男の対応には、そういう人が良いか……」
「ぷ……」
ユーリーが吹き出して笑い、肩を小刻みに揺らした。いっそのこと、テレビ出演させてもらったらどうかと言い出して、頷く思いがした。
すると、処置室から出てきたスタッフから呼ばれて、父が立ち上がった。二葉が目を覚ましたそうだ。俺達はそれぞれ荷物を持って、部屋の中に移動した。
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